税務調査が入ったらどうなる――税理士が語るリアルな調査実態とは?

2021/03/31更新

この記事の執筆者五島洋

「もし税務調査が入ったら、何をチェックされるのか?」「個人事業主、白色申告なら調査が入らないってホント?」「突然、マルサが押しかけてくることはある?」などなど、ソボクな疑問、カン違いしがちなポイントについて、数々の現場に立ち合ってきた経験から、解説していきます。

POINT

  • 税務調査の大半は「任意調査」。あせらず税理士に代理人を依頼すべし
  • 売上500万円規模の個人事業主であっても、調査が入ることがある
  • 記憶があいまいならムリに答えずにOK。ただし領収書などの保管は厳重に

突然、調査官がやってきても、あらためて日程調整は可能

税務当局が行なう調査には、次の2種類があります。

  • 1.
    強制調査
  • 2.
    任意調査

1.は、国税局の査察部、いわゆる「マルサ」が強制的に行う調査ですが、脱税額が多く、悪質な仮装隠蔽工作がなされたケースに限ります。多くのフリーランス、スモールビジネスの経営者には無縁といっていいでしょう。

大半は2.で、税金に関する質問を納税者に行なうことができる「質問検査権」に基づいて行われる任意調査になります。

原則的には、事前に顧問税理士に連絡がきて、都合の良い日程を決めることになりますが、まれに飲食業などの現金商売においては、突然、調査官がやってくるケースもあります。

しかし、「任意調査」とは、あくまで”任意”であり、業務を邪魔しないというのが原則となります。
よって、無理にその場で対応する必要はナシ。まずは顧問税理士に連絡をとり、税務調査官とあらためて調査日程を相談してもらうことをお勧めします。

突然、税務署から電話がかかってきて、「〇月△日に、調査をさせてください」と言われたケースでも、日程調整は可能です。
ただし、質問の黙秘、虚偽の陳述については、罰則規定もあり、原則的に調査の拒否もできません。事実上は強制調査といってもいいかもしれません。

また、私も「調査が入ったので」と新規のお客様から相談を受けたことがあります。もし、顧問税理士がついてない場合でも、ピンポイントで代理人を依頼することは可能です。自力で対応しようとせず、税務調査に慣れた税理士に相談するのがベターでしょう。

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「個人事業主、白色申告なら調査は入らない」はウソ!

では、どんな企業、個人事業主に調査が入りやすいのか。
一般的には、法人税を納めているような、利益の出ている会社になります。とくに、売上等の数値が急激に変化しているようなケースは要注意です。

個人事業主には入らないと思っている方もいますが、年間売上高が500万円程度の事業主に、調査が入ることもあります。
「白色申告ならば入らない」といった根拠ない噂を信じることなく、誰もが調査のリスクがあると考えておくのが無難です。

では、具体的にはどのような調査が行われるのか。
調査官によっても、”クセ”がありますが、まず一つは先に挙げたように「売上」がチェックされます。3期程度、チェックされるのが一般的ですが、例えば3月決算の場合で、3月の売上などを4月に計上するような「期ズレ」は、要チェックポイントです。外注費、請求書などを紐づけて細かく見られるようなケースもあるので注意しましょう。

二つめには、経費が多い会社の場合、一枚一枚の領収書を細かく指摘されることもあります。
三つめとしては、従業員が多い場合は、人件費もチェックの対象にされやすいといえます。

記憶があいまいなことは、ムリして答える必要はナシ

また、領収書をなくしてしまったり、記憶にないことをあれこれ調査官に問われたりすると、つい焦ってしまいがちですが、あやふやなことをムリに答える必要はありません。

ここで覚えておきたいのは、
・立証責任は税務署側にある
ということです。
記憶があいまいなら、「覚えていません」「調べておきます」といった回答で構いません。

ただし、事前にきちんと正当性を証明、説明できるように、領収書や証明書類の作成、保管は厳重に注意を払っておくようにしましょう。

調査期間は1~2日間が一般的ですが、結果が出るまでに長引くこともあります。
また、申告漏れや間違いが指摘された場合は、調査官と税理士との相談によって、会社側から修正申告を行なうのが一般的で、税務署側からの強制処分として更生が打たれるケースはまれです。

また、税理士のなかには、「税務署出身なので、調査に強い」といったことを謳い文句にしているケースがありますが、いまどき税務署のOBだからといって、”顔が利く”ということはほぼないと考えたほうがいいでしょう。

大前提として、調査官のスキルや考え方、税理士の経験値によっても、調査の状況は大きく異なってきます。
調査に際して、代理人を探す場合は、”肩書”よりも、現場での経験や税務調査への考え方などについてヒアリングし、納得したうえで依頼することをお勧めします。

photo:Getty Images

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この記事の執筆者五島洋

税理士、ファイナンシャルプランナー。150社以上もの顧問経験を武器に、顧客には会計業務以外の経営アドバイスも積極的に行っている。著書として『ゼロから始める会社の数字入門』(KADOKAWAメディアファクトリー)、『身の回りの税金がわかる』(西東社)、『あなたの「年金」がすぐわかる本』(PHP研究所)など。

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