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確定申告で年内に済ませておきたい対策

確定申告をする時期になって、「あぁ、何か対策をしておけばよかった」と思っても後の祭り。税金対策などは年内に済ませておきたいものですね。
今回は、確定申告で年内に済ませておきたい対策について解説していきます。

POINT
  • 設備投資などを判断するには、まず現状把握をしておくことが大事
  • 経費が十分であれば、所得控除を充実させることを検討する
  • 消費税の簡易課税は年内に翌年からの適用を判断し決定する必要がある

まずは今年の予測をつけること

「年明けが迫ってきたので何か節税をしなければ!」と、なにかとソワソワしてしまう方がいらっしゃいます。でも、ひとまず落ち着いて考えてみてください。今年はどのくらいの所得(儲け)になりそうですか?
節税といわれるものの多くは、お金を使って経費を増やして税金を低く抑えるものです。そして、経費が増えたことによって減る税金は、基本的に「経費が増えた金額×税率」の分だけです。税率30%の個人事業主が100万円経費を使ったとして、減る税金は30%分の30万円、そして手元の資金は70万円減ってしまいます。将来に有効な支出であればよいですが、ただ税金を減らしたいだけでお金を使ってしまうのはもったいない話です。
まずは、今までの帳簿を整理して、今年の所得がどのくらいになるのかを予測してみましょう。そのうえで、手もとのお金を使ってでも税金を減らす効果があるのかどうかを考えましょう。

必要な設備投資がないか確認する

さて、青色申告をしている場合で一組が30万円未満のモノを購入したとすると、年間300万円までは通常の減価償却によらず、全額をその年の経費とできる「少額減価償却資産の特例」があります。手もとの資金に余裕があり、将来的にも役立つ設備投資であれば、この制度を使うのはかなりの効果があります。
例えば、所得の水準が例年30%税率の個人事業主が、臨時的に売上が上がって今年は税率40%のところになるという予測がつく場合で、事業で使っているPCの調子が悪くなっていて、買い換えた方がよさそうだという状況のとき。私でしたら、PCを新しくすることを迷わずお勧めします。なぜなら、今年のうちにPCを購入して経費にすることができれば例年より高い40%の税率でいくらかの税金を減らすことができます。そして、事業で使用しているPCですから、さまざまな損害のことを考えると万が一のことがあってからでは遅いからです。
【参考記事】
節税に役立つ経費対策「少額減価償却資産特例」って?

所得控除を活用する

事業をやるうえでの経費が十分だということであれば、所得税の計算をするときに所得から差し引ける「所得控除」になるものを活用してみるのもよいでしょう。

社会保険料控除

社会保険料控除は国民年金や国民健康保険などの年間支払額を所得から差し引くことができる制度です。その控除額はその年に実際に支払った金額となりますので、過去に未納となっている国民年金などがあれば納付しておくとよいでしょう。また、前納制度で前払いをすることもできますよ。ちなみに国民年金を前納すると割引があり、2年分の前納もできます。2年前納の場合、「各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法」と「2年分を払ったその年に全額を控除する方法」を選択できます。一括控除の場合、逆に翌年は支払が発生しないので0円になるので注意しましょう。
つまり利益がでないときには、2年前納で一括控除しても節税メリットが受けられないということです。
前納制度は、手元資金との兼ね合いで選択のできる節税方法ですね。
【参考】
日本年金機構:国民年金前納割引制度
日本年金機構:国民年金保険料の「2年前納」制度

小規模企業共済等掛金控除

中小企業基盤整備機構の小規模企業共済や、個人型確定拠出年金(iDeCo)などの掛金は、所得から差し引くことができます。小規模企業共済などは、個人事業主の退職金代わりになる制度でもありますから検討してみてはいかがでしょうか。小規模企業共済にも前納制度があります。利益があるときや手元資金に余裕がある時に1年分支払えば、すべてその年の所得控除にできます。
【参考記事】
個人事業主の節税対策の切り札「小規模企業共済」とは?

また、上記以外に、必要経費になるものとして「経営セーフティ共済」があります。
【参考記事】
「経営セーフティ共済」の節税効果

消費税の課税事業者であるときは簡易課税の判断が必要

消費税は売上等で預かった消費税から、仕入れや諸経費で支払った消費税を差し引いた残りを納めるのが原則です。しかし、2年前の消費税のかかる売上が5千万円以下であるときは、業種別の売上に「みなし仕入れ率」をかけることで消費税を計算する簡易課税制度の適用を受けることができます。
翌年から簡易課税制度の適用を受けるかどうかの判断は、年内にする必要があります。なぜなら、簡易課税制度の適用を受けるには、その対象期間が始まる前までに「簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があるからです。
また、簡易課税制度は一度適用を受けると2年間は止めることができませんので、大きな設備投資を控えている場合など、判断は慎重に行いましょう。
なお、通常の課税対象期間は1年間ですが、年内に簡易課税の適用について判断・提出できなかった場合でも、別途課税期間を3カ月ごとまたは1カ月ごとに短縮する手続き(注)を行えば、年の途中からでも簡易課税の適用を受けられます。ただし、課税期間を短縮した場合は、その期間毎に消費税の確定申告が必要となることにご留意ください。
(注)国税庁:[手続名]消費税課税期間特例選択・変更届出手続

まとめ

いかがでしょうか。
「年が明けたら帳簿の整理を頑張ろう」という方もいらっしゃいますが、上記のように年内でないとできない対策がいろいろとあります。対策が必要かどうかの判断をするためにも、日々の帳簿づけはしっかりと行っておくことが大切ですね。

【関連記事】
・あらためて押さえておきたい所得控除一覧
・確定申告まとめ

photo:Getty Images

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