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「経営セーフティ共済」の節税効果

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先の倒産の影響などによる連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度です。
今回は、経営セーフティ共済の節税効果について解説していきます。
経営セーフティ共済の概要については、「中小企業なら活用すべき! 「経営セーフティ共済」とは?」も併せてどうぞ。

POINT
  • 支払った掛金が経費になるので節税効果が高い
  • 経費にするためには明細書を作成して確定申告書に添付する必要がある
  • 解約手当金は収入になるので、タイミングを誤ると高い税率で課税される

支払った掛金が経費になる

経営セーフティ共済の節税効果としては、なんといっても「支払った掛金が経費になる」ということです。
例えば取引先の倒産に備える場合、万が一のときに資金繰りに困らないように、運転資金を手厚くしておく、定期預金などに預けておくなど、お金を多めに持っておくことが考えられます。しかし、手もとに置いておけるお金はそんなにありませんし、利益を上げるためにお金を回すということから考えると効率も悪いです。
これに対して、経営セーフティ共済の掛金は支払った掛金が経費になり、その分の税負担が減りますし、万が一の時には被害額を限度として掛金総額の10倍まで貸付けを受けることができます。
掛金は将来の月分まで含めて前納することができ、うち1年以内の部分については支払時の経費とできますから、利益が多く出た年度で資金の余裕のある時には前納をしてみるのもよいですね。
例えば、個人事業主で課税所得(所得の合計から基礎控除などの各種控除を差し引いた所得税の対象になる金額)が500万円の方が、経営セーフティ共済を年60万支払っていた場合、所得税・復興特別所得税で20.42%、住民税で10%、個人事業税で5%(※1)の合計35.42%、金額にしておよそ21万円の節税効果があります。
(※1)税率は業種によって異なります。また、個人事業税では青色申告特別控除の適用がなく、代わりに年290万円の事業主控除があります。

経費にするための手続きに注意

さて、この経営セーフティ共済の掛金ですが、単に帳簿への記帳で「保険料」などの経費としただけでは経費として認められませんから注意しましょう。

個人事業主の場合

個人事業主の場合は事業所得の経費として記帳した後、所得税の確定申告書に任意の様式で「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を作成して添付する必要があります。とくに定型の様式はありませんので、以下の中小企業基盤整備機構が提供している様式例を参考にしてください。

中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書

余談となりますが、同じ中小企業基盤整備機構の共済で個人事業主の勇退に備えるための「小規模企業共済」というものがあります。こちらは、確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除として適用できるものですから、事業の経費としないように注意しましょう。

法人の場合

法人の場合は、法人の経費として記帳した後、法人税の確定申告書に法人税別表十(六)という様式の「Ⅲ 特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」を作成して添付する必要があります。また、この経費にできる制度は「租税特別措置法」に基づくものですので、別途「適用額明細書」も添付することになります。

適用額明細書

解約手当金は課税対象になる

さて、経営セーフティ共済について気をつけておきたいことがあります。当然ですが、掛金の支払いが経費になるということは、その逆に解約手当金の入金があった場合は収入になるということです。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、解約手当金の入金は「雑収入」などとして、「事業所得」の収入になります。一時貸付制度を利用していて、解約時に相殺されるような場合は、相殺分も含めた総額が収入となります。
気を付けておきたいのは、個人事業主が死亡した場合です。個人事業主が死亡して承継者がいなかった場合は「みなし解約」となります。このとき、解約手当金は亡くなった個人事業主の事業所得の収入として所得税の対象になるとともに、解約手当金そのものは相続財産として相続税の対象にもなります。

法人の場合

法人の場合、解約手当金の入金は「雑収入」などとして収入となります。個人事業主と同様、一時貸付金の残高などが相殺される場合は、相殺分も含めた総額が収入となります。

任意の解約では、業績が低迷していて資金繰りが厳しいなどという場合が想定され、赤字を補てんする効果が期待できます。しかし、黒字基調の時に単純にやめたいというような場合、黒字の上に解約手当金が収入として上乗せされますので、場合によっては高い税率で税金がかかってしまうことも考えられます。

まとめ

いかがでしょうか。
掛金が経費になるものは、その逆の解約などは収入になるということで、経費にして納税を先延ばしにした分が後から跳ね返ってくる「課税の繰り延べ」ということを意識しておく必要があります。
経営セーフティ共済は、「いざというときのために加入している」ということを忘れないようにしておいて、資金繰りが苦しいときは解約だけでなく、掛金の減額や掛け止めという方法も考えてみましょう。

(※)平成30年(2018年)9月25日に、経営セーフティ共済が改正されました。共済事由の追加と共済契約の解除の取扱いが緩和されています(2018年10月18日編集部追記)。
【参考】中小企業基盤整備機構:平成30年9月からの経営セーフティ共済の改正について

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photo:Getty Images

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