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もっとラクになる? マイナンバーカードと確定申告

平成28年(2016年)1月から開始されたマイナンバー制度。制度の開始に伴って、マイナンバーカードというものがお住まいの市区町村で発行できるようになりました。今後マイナンバーカードでラクになるものが増えていきますが、どんなことに使えるのでしょうか。
今回は、とくに確定申告におけるマイナンバーカードの利用を中心について解説していきます。

POINT
  • マイナンバーカードの電子証明書はマイナンバーを使用しない
  • マイナンバーカードで電子申告が可能になる
  • マイナンバーカードを使ったサービスは民間にも拡大していく

マイナンバーカードでラクになることは?

マイナンバーは、日本国内の全住民に割り当てられた12桁の番号です。社会保障・税・災害対策分野の事務手続に限定して利用されています。例えば税の分野では所得税の確定申告書や個人事業の開業届出書などにマイナンバーを記載して提出する必要があります。
マイナンバーカードは、裏面にマイナンバーが記載されたプラスチックのカードです。表面には顔写真や住所・氏名・性別・生年月日などが記載され、カードそのものには電子証明書が入れられたICチップが内蔵されています。マイナンバーカードは顔写真付きの身分証明書として利用できます。通常、マイナンバーの記載が必要な書類の提出については、マイナンバーの確認(番号確認)と、本人であることの確認(身元確認)が必要となりますが、マイナンバーカードはその両方を確認できるものとなります。

マイナンバーカードの様式について

【引用画像】
総務省:マイナンバー制度とマイナンバーカード

マイナンバーカードでラクになる点としては、身分証明書としての利用はもちろんですが、この内蔵された電子証明書を利用することにより利便性が増すということです。
ここで勘違いをしてしまうのが、マイナンバーカードをあちこちで使うとマイナンバーがダダもれなのでは? ということです。しかし、マイナンバーカードの裏面にマイナンバーが記載されているだけで、ICチップに入っている電子証明書はマイナンバーを使用しません。つまり、「おサイフケータイ」と同じ感覚で利用することが可能なのです。実際に、スマートフォンに専用アプリをインストールすることでマイナンバーカードの情報を転送し、本人確認などを行う機能なども検討されています。

申請・届出もできるe-Tax

さて、税の分野では、マイナンバーカードはインターネットを利用した電子申告・申請のための電子証明書として利用することができます。紙の申告書などを窓口や郵送により提出する場合は、番号確認や身元確認の書類としてマイナンバーカードの写しを添付することになります。
電子申告というと、確定申告のときに利用するものというイメージがありますが、ほとんどの申告・申請手続きはインターネットでできますよ。電子申告には国税の「e-Tax(イータックス)」と地方税の「eLTAX(エルタックス)」があり、それぞれで別の利用者識別番号を取得する必要がありますので注意しましょう。個人事業主の場合、e-Taxでは所得税・消費税の確定申告、源泉所得税の電子納税、法定調書の提出などで、eLTAXでは給与支払報告書の提出や償却資産税の申告などで利用するケースが多いでしょう。
個人事業主が起業したときは、最初に電子申告の利用開始手続きを取っておき、マイナンバーカードに入っている電子証明書を登録しておくと、開業届や青色申告承認申請書、給与支払事務所の開設届や青色事業専従者給与に関する届出書など、起業時に提出するものをe-Taxで済ませることが可能です。

【参考】
国税庁:e-Tax 利用可能手続一覧  申告所得税関係

また、平成31年(2019年)1月以降は、e-Tax利用がより簡便化され、さらにラクになりそうです。つまり、平成30年(2018年)分の所得税の確定申告からは、マイナンバーカードを使用してe-Taxのホームページなどからログインするだけで、簡易な設定で申告等データの作成・送信ができるようになります。今後インターネットを利用した電子申告がもっと簡便化されていく方向です。電子申告なら、確定申告の際に税務署に行かなくてもよくなりますね。
【参考】
国税庁:【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています

マイナポータルをはじめとしてより便利になっていく

このマイナンバーカードを利用した「マイナポータル」が平成29年(2017年)秋ごろをめどに本格運用開始となる予定です。
マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスで、つぎのようなことができるようになります。ワンストップサービスなど一部のサービスを除き、マイナンバーカードの電子証明書を利用したログインが必要です。

  • 行政機関が保有している自分の個人情報や、行政機関同士でやりとりした個人情報の履歴を確認することができます
  • ペイジーやクレジットカードでの公金決済が可能となります
  • 子育てワンストップサービス(子育てに関するサービスの検索やオンライン申請)の利用が可能となります
  • e-Taxと認証連携して、e-Taxのメッセージボックスなどを確認することができます

このほか、つぎのようなことが予定、検討されています。

  • 引っ越しや死亡等のライフイベントにかかるワンストップサービス
  • 医療費控除や寄附金控除の簡素化

また、マイナンバーカードの電子証明書はマイナンバーそのものを使用しないことから、行政サービスにとどまらず、民間サービスにも拡大されていく予定です。行政サービスではすでに住民票や印鑑証明などのコンビニ交付などに対応している自治体が多数あります。わざわざ役所まで行かなくてよいので筆者もコンビニ交付を利用しています。
民間サービスでは、次のようなサービスが予定、検討されています。

  • ネットバンキングでの認証手段として利用
  • 医療データにアクセスする際の本人同意に利用
  • イベント会場などでのチケットレス入場に利用
  • クレジットカードや診察券などの機能を搭載

まとめ

いかがでしょうか。
総務省の発表によると、マイナンバーカードの発行枚数は平成29年3月8日現在でおよそ1千万枚、全人口の8.4%にとどまっているようです。普及しているとはまだまだ言えませんが、これからどんどん便利になっていくことを考えると、取得しておいてもよいのではないでしょうか。
【参考】
総務省:マイナンバーカード利活用推進ロードマップ等 平成29年3月17日

photo:Getty Images

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