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ちゃんと把握していますか? 従業員の労働時間

従業員の労働時間をきちんと把握することはできていますか? 「要注意!ブラック企業にならないために」でもとりあげましたが、従業員を雇ううえで守らなければならないことが沢山あります。今回は、従業員の労働時間を把握することの重要性についてお話します。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • そもそも「労働時間」とは、業務から完全に解放されていない状態のこと
  • 厚生労働省のガイドラインを確認しよう
  • 労働時間を把握することはなぜ必要かあらためて考えてみよう

タイムカードを押すタイミング

突然ですが問題です。朝出勤した時に会社の制服に着替えることになっているA子さん。タイムカードを押すタイミングは次のうちどちらでしょうか?

ア:制服に着替える前
イ:制服に着替えた後

この問題を考えるにあたっては、まず「制服に着替える時間は労働時間か否か」がポイントになるでしょう。

そもそも「労働時間」とは?

実は、労働基準法のなかで労働時間の定義は明文化されていませんが、厚生労働省が公開したガイドラインには以下のように記されています。


労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。

【参考】
厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

上記のガイドラインは平成29年(2017年)1月20日に公開されたものです。大手広告代理店の事件などをきっかけに、長時間労働による過労死がおこらないよう、労働時間を適正に把握するなどの適切な方法を厚生労働省が指示しているものです。

労働時間に該当するもの

「使用者の指揮命令下」とは、業務から完全に解放されず、使用者から拘束を受けている状態をいいます。ただし、「拘束されていても直接に指揮命令下になく業務から解放されている休憩時間等」は労働時間とはいいません。
こう書いただけでは非常にわかりづらいですね。ガイドラインのなかでは、「使用者の指揮命令下」という状態について、具体的に例を挙げています。

  • ①使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
  • ②使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
  • ③参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間

いかがでしょうか。着替えや後始末、待機時間、参加義務のある研修の時間なども本来は労働時間として扱わなければならないという認識がある会社は少ないかもしれません。実は、労働時間に該当するか否かを争う労働トラブルは後を絶たないのです。
つい先日も、こんな報道がありました。上記の②のケースです。

「警備員に対する「休憩時間」が実際には労働時間に当たるとして、ガス会社の子会社である警備会社が、所轄の労働基準監督署から未払い賃金を支払うよう是正勧告を受けた」
【参考】
毎日新聞:淀川労基署「休憩も労働時間」大阪ガス子会社に是正勧告

労働時間の把握のしかた

ガイドラインでは、労働時間を把握するためには始業時刻・終業時刻を記録しておくべきだとしています。その方法は原則として次の2つです。

  • ①使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること
  • ②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録

この他、自己申告制とする場合の注意点が細かく挙げられています。

労働時間の把握はなぜ必要か

労働時間を把握することはなぜ必要なのでしょうか。まずは、従業員が働いた分だけの賃金を支払わなくてはいけないという義務が会社にあるからです。また、それだけではありません。従業員の健康確保も必要です。ですから「残業手当がつかない」という立場である管理監督者やみなし労働時間制の方の場合でも、労働時間の把握は必要です。
また、労働時間の把握は義務であることを省令に明記する方向へ向かっており、今後ますます注目されることでしょう。

まとめ

タイムカードが無い会社だからといって即「ブラック企業」と呼ばれるわけではありませんが、きちんとした労働時間の把握は必要です。「この業界だから、しかたない」というのは理由になりません。いま一度、正確に労働時間の把握が行われているか確認しましょう。

photo:Getty Images

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