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FORU STYLE・平井幸奈さんが見据える飲食店ビジネスの新展開

日本初のブリュレフレンチトースト専門店として、東京・早稲田の地に「ForuCafe」(フォルカフェ)がオープンしたのは、2013年9月のこと。お店をオープンした平井幸奈さんは、当時から「女子大生起業家」として数々のメディアに取り上げられました。オープンから4年――すでに大学を卒業し、2017年にご結婚もされたという平井さんは、同店を運営する株式会社フォルスタイルの代表取締役として 「今、さらなる本質を追求するチャンスだと思っている」と話し、次なるステップへと歩みを進めています。

学生時代の地元・早稲田に出店したのはなぜ?

――ここからは改めて、飲食店経営者としての平井さんに迫ってみたいと思います。2014年に法人化し、株式会社フォルスタイルの代表取締役として新たな道に踏み出しています。個人事業から法人化した理由は?

やはり他の法人成りした社長さんと同じく、課税売上高1,000万円以上になったときの納税義務のことなどを考えると、法人化は避けられませんでした。それに女性で個人事業を展開していくことを考えたら、大きな法人さんと取引をしていくとき、私個人では大きな信頼を得られないと思いました。その後は従業員も増えていきましたし、さまざまな国の制度の適用を受けるためにも、法人化にはメリットがあると考えました。

――飲食店の開業というと「2〜3年以内に半分くらいが閉店する」なんて、ネガティブな面ばかりがフォーカスされがちです。そんな飲食店経営者にとって最初の”腕の見せ所”となる部分のひとつがお店選び。平井さんの場合はいかがでしたか? 特に当時、通われていた大学のあった「早稲田」という地にたどり着いたのはなぜ?

最初は代官山や表参道なんかも視野に入れていたのですが、やっぱり固定費が高くなってしまって……。でも、結果的にこの場所でお店を始めて良かったと思います。なにより家賃が破格だったということもあって、開業資金も450万円程度に抑えられました。1,000万円くらいの開業資金を元手に始めるという選択もあると思いますが、それは非常にリスキーで、小さく始めていろいろな可能性を探り、徐々に投資対効果の大きい事業を進めていったほうがリスクは少ないと思います。

ForuCafe

飲食店経営者に立ちはだかった資金繰りの壁

――これまでお店を経営するなかで、もっとも困難だったことは何ですか?

物件探しも大変でしたが、やはり資金繰りのことでしょうか。実は過去に、黒字倒産しそうになったことがあったんです。

――詳しく教えてください!

はじめてFORU GRANOLAが百貨店の催事に出店することになり、商品を1,000個くらい製造しました。材料費と製造・販売にかかる人件費で数百万円がかかり、その百貨店での販売も無事に終えたのですが、その売上金が入金されるのは2ヵ月半後だったのです。

ForuCafeは飲食店ですから、その場ですぐにキャッシュを得られていたのですが、その感覚でいた私はお恥ずかしながらキャッシュフローを見ていなかった……。給料の振り込みの際に銀行から「資金が足りません」と電話がかかってきたときは正直、焦りましたね。これが黒字倒産か、と――。そのときは私個人が数十万円会社に貸付するという形でなんとか急場をしのぎ、その後すぐ政策金融公庫から運転資金を借り入れして立て直ししました(笑)。それからはキャッシュフローをしっかり見るようにしています。

――そうした困難に直面したとき、平井さんは気持ち的にどのようにそれを乗り越えているのでしょう?

まず、起こることはすべて自分の責任だと考えるようにしています。たとえば社員がミスしたのであれば、「ミスしない環境を整えていなかった私の責任」と考えています。そしてしっかりと反省し、あとは寝ます(笑)。失敗や困難も前向きに捉えられないことはないですから、次につながるものだと考えるようにしています。

ライフスタイルを彩るブランドへと育てていきたい

――2017年にはご結婚もされたそうですね。おめでとうございます! これからはご家庭のこともありながら、起業家・経営者としてまた新たなステップを踏み出されていくと思われますが、フォルスタイルとしての展望をどのようにお考えですか?

開業以来、私個人のこともいろいろなメディアに取り上げていただきました。どうしてもそちらのイメージが強いのか、ForuCafeにご来店いただいたお客様にも「ここ、女子大生起業家の店なんだよ」とか言われることがしばしばありました。それによって多くの方のご来店の機会に恵まれ、たいへんよかったと感じていますが、これからはそうした肩書きに甘んじることなく「ここ、すごくおいしいフレンチトースト屋さんなんだ」って紹介されるようになりたいです。

ForuCafeに関してもここは「0号店」であり、4年間の経験を得た今、もっと大きなハコとしての店舗展開も考え始めています。店舗経営以外の商品開発にしても同様です。そもそもForuCafeの”Foru”は”for you”の意味。フォルスタイルという会社も、お客様のための、ライフスタイルを彩るブランドにしたいし、私や社員のライフステージをも彩りながら、関わる人すべてが幸せを感じられる企業にしたいと考えています。

平井幸奈さん

――最後に、同じ飲食店経営者や起業家の方へのメッセージをお願いします。

そもそも起業することが正解かどうかなんて誰にもわかりません。起業した人が全員幸せになれるかといえば、現実的にはそんなことないと思うし、大きな成果を得られたら幸せかといえば、未来永劫それが続くとも限りません。

私も利害関係者が増えるごとに、この事業の難しさをひしひしと感じています。しかしそんな私にとっての「起業」という選択は「とても良かった」と思っています。世の中の流れがどうなろうとも、なにごとにも絶対的な「正解」はないと思っているし、選んだ道を正解だと捉えるのは自分だけ。結局のところ「選んだ答えがすべて正解」なんだと思っています。

私もまだまだ挑戦中の身ですが、自由で多様な生き方が許される今の時代だからこそ、自分の本当の気持ちに正直に、そして目の前の目標に向かって、のびのびと生きていきましょう!

平井幸奈 ひらい・ゆきな

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1992年生まれ、広島県出身。株式会社フォルスタイル代表取締役。早稲田大学政治経済学部卒。フレンチレストランのキッチンでアルバイトを始めたのをきっかけに、料理の世界に魅了される。2012年8月より2カ月間、単身オーストラリアのシドニー渡り、billsサリーヒルズ店、ダーリンハースト店で修業。帰国後、料理教室・ケータリング・カフェプロデュースなどを手がける。2013年9月大学3年時に、日本初のブリュレフレンチトースト専門店『ForuCafe』をオープンさせる。 黄金比グラノーラFORU GRANOLA、ドラフトコーヒーFORU COFFEEも次々にスタート。 「ドラフトコーヒー」の名付け親でもある。

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