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飲食業の勘定科目について「サービス費・衛生管理費・燃料費・福利厚生費」

確定申告のときに困るのが「どの勘定科目に振り分けるのか」ということです。業種の特性とそれに対応する勘定科目をきちんと理解しておかないと、とんちんかんな振り分けを行ってしまい、不正確な帳簿になってしまいます。今回は、個人事業主が開業することが多い「飲食業」の勘定科目について、解説したいと思います。

POINT
  • お客さんのための出費は「サービス費」や「販売促進費」
  • ガス・木炭・練炭などの調理用燃料は「燃料費」
  • 賄いは一定の条件下で「福利厚生費」に

おしぼりや新聞、雑誌代は?

飲食業といってもさまざまありますが、多くの形態で必要なのが「おしぼり」です。「消耗品」の勘定科目に振り分けてもよいですが、「お客さんのためのサービス」ととらえて、「サービス費」の勘定科目に振り分けることも多いです。

ほかに、有線放送の利用料、新聞、雑誌なども「お客さんがお店にいる間に快適に過ごすためのサービスや販促」と考えることができるので、「サービス費」や「販売促進費」を使用することが多いようです。そのほか、お花なども、同じ考え方で「サービス費」になります。

お花については、季節の花を綺麗に生けてあるような飲食店もあります。また、お客さんが待ち時間に読むための雑誌やスポーツ新聞なども、日々かかってくる経費です。これらは、経営者自身の好みも反映されるために、つい、「自分のための出費」と錯覚しがちです。顧客サービスとしてやっていることを意識して、経費をかけていくようにしましょう。

来店するお客さんに喜んでもらえる、あるいは、リラックスしてもらうためにかかる経費というのは、飲食業の場合、どうしてもかかってきます。それだけに「サービス費」や「販売促進費」は、飲食業では、使いやすい勘定科目だといえそうです。

殺虫剤や洗剤は?

先日、馴染みの飲み屋に行ったのですが、虫が壁をつたっていて、ちょっと嫌でしたね……。料理は抜群なのですが、やはり衛生面は気になります。当然、経営側からすると、そのためのコストもかかってきます。

殺虫剤、生ゴミの処理費、白衣クリーニング代など、お店の衛生状態を保つために必要な経費については「衛生管理費」という勘定科目に振り分けましょう。日々の雑務のなかで、領収書をもらい忘れたりしがちなところです。

洗剤もおしぼりと同様に「消耗品費」としてもよいですが、使用意図で考えるならば、「衛生管理費」に振り分けることができます。こうしなければならない、という正解はないですが、年度によって、同じ内容の経費が、違う勘定科目に振り分けられていることがないようにしましょう。

【参考記事】
職場の掃除費用は何費で計上すればいいの?
【かんたん検索】スモビバ!勘定科目・仕訳大全集「粗大ごみの処理代を支払った。」

そのほか、飲食店のなかでも、焼肉屋のように、木炭などを使用するケースもあるでしょう。そういった調理のために使う、ガス・木炭・練炭などの調理用燃料は「燃料費」という勘定科目が便利です。見落としがちですが、「出前」を行っている場合は、配達の際のガソリン代も「燃料費」や「車両費」として計上します。

【参考記事】
車両費?それとも旅費交通費?ガソリン代の勘定科目は何か?
自動車にかかる経費の計上方法
【かんたん検索】スモビバ!勘定科目・仕訳大全集「営業車両のガソリン代を支払った。」

「賄(まかな)い代」はどうする?

飲食業ならではの経費が「賄い(まかない)」です。私が学生時代にアルバイトしていたたこ焼き屋さんも、やはり賄いがあって、ありがたかったですねえ。

ただ、当時ちょっとケチだなと思っていたのが、賄い代の半分を払わされてしまうということ(笑)。別に食べ物は余っているのだし、無料でくれてもいいのになあ、って思っていました。そう、今の今まで。

ところが、これには理由があったのですね。従業員等に対する賄いの勘定科目は「福利厚生費」か「給与」になりますが、給与扱いとなると、源泉徴収もしなければなりませんし、経理が非常に複雑になります。

そこで賄いについては、「従業員等が食事の価額の50%以上を負担すること」もしくは、「会社の負担額が1カ月3,500円(税抜)以下であること」のいずれかを満たしていれば、給与にはなりません(あくまでも原則で、例外はあります)。

【参考記事】
個人事業主なら知っておきたい! 「自家消費(家事消費)」ってなんだ?
飲食の確定申告ガイド

私のアルバイト先の店長が、従業員の賄いに半額を負担させていたのは、そういう事情があったからなのですね。税金の仕組みを知ることで、思わぬ社会の仕組みを知ることができました。

以上、飲食業でよく用いる勘定科目について、解説しました。どんな業種でもそうですが、どの勘定科目であっても継続的に使用し、変更はしないようにしましょう。「先月は○○費として処理したけど、今月は△△費にしよう」ということは認められません。

もちろん、事業のなかでその使い道に大きな変更があったり、見直しがあった場合は勘定科目を変更することはあり得るので、変更理由を説明できる状態にしておくことが大事です。
ともあれ、自分の業種ではどんな勘定科目の経費が多いのか、考えてみても面白いかもしれません。

photo:Getty Images

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