スモールビジネス(個人事業主、中小企業、起業家)の
業務や経営にまつわる疑問や課題をみんなで解決していく場
検索
メニュー
閉じる
ホーム 法律・法務 給与を現金支払いから振り込みに切り替える場合の手続きと注意点

給与を現金支払いから振り込みに切り替える場合の手続きと注意点

従業員への給与支払いは、現金でされていますか? それとも銀行振り込みですか? 従業員への給与を現金支払いから銀行振り込みに切り替えるときには、いったいどんな手続きが必要で、何に注意をしたら良いのでしょうか。

POINT
  • 銀行口座は会社が指定してはいけない?
  • 労働基準法に「賃金支払の5原則」がある
  • いろいろな手続き方法がある

突然の社長の発表

ある中小企業のA社長は「そろそろ従業員が増えてきた。今まで給与は現金手渡しをしていたが、銀行振り込みにしたい」と考えました。
そこで朝礼で従業員全員を集め、こう発表しました。


「来月の給与から銀行振り込みに変更します。指定口座は〇〇銀行△△支店なので、口座を持っていない人は新規でつくってください。ご家族が〇〇銀行△△支店に口座を持っていた場合はその口座に振り込みます。その他の支店やその他の銀行口座の場合は振込手数料がかかるので、給与から差し引くことになります」

突然の社長の発表を聞き、従業員は皆驚きました。なかには納得していないような表情の者もいます。
さて、社長のこの発表にはどこか問題があるのでしょうか。

労働基準法には賃金支払の5原則がある

実は、社長の発表は問題だらけです。
労働基準法第24条には「賃金支払の5原則」が定められており、これに反することがいくつかあります。
それでは「賃金支払の5原則」とはどのようなものなのでしょうか。

(1)通貨で支払う

現在では給与を現金で支払う方が少数派かもしれませんが、実はこちらが原則になっています。例外として銀行口座振り込みも認められますが、その際は労働者本人の同意を得て、労働者の指定する口座に振り込むことが定められています。

(2)直接労働者に支払う

現金を直接本人に手渡しするのが原則ですが、振り込みの場合は本人名義の口座です。

(3)全額を支払う

労働の対価としてその全額を支払うのが原則です。例外として、法で定められている税金や社会保険料は給与から控除して良いことになっています。しかし、振込手数料を給与から控除することは許されません。

(4)毎月1回以上支払う

毎月少なくとも1回以上支払うのが原則です。賞与は例外となります。

(5)一定の期日を定めて支払う

給与支払い日を「10日」「25日」「月末」など、毎月一定期日に支払うのが原則です。例えば「毎月第3金曜日」というのは認められません。賞与は例外です。

振り込みに切り替えたいときはどうすれば良いのか

上記から、社長の発表には問題点がたくさんあることがわかりました。ではどうすれば良いのでしょうか。正しい手順は以下のとおりです。

①従業員全員に対し、個別に銀行振り込みの同意書を書いてもらう

まずは銀行振り込みに同意してもらう必要があります。これは必ず個別に行ってください。今のまま現金支払いを希望する場合はその旨を書いてもらいます。
同意書は任意の社内フォーマットでOKです。
なお、学生アルバイトなどの未成年者を雇っている場合は家族と相談してもらうよう促しましょう。

②銀行振り込みに同意する場合は本人名義の口座を指定してもらう

会社が口座を指定するのではなく、どこの銀行・口座にするかは従業員に自由に選んでもらいます。

③振込手数料は会社が負担する

会社にとっては厳しい話になりますが、これはしかたがありません。振り込み手続きの方法によっては手数料が安くなります。金融機関等にお問合せください。

いろいろな振り込み手続き

さて、給与振り込みを希望する従業員の口座がわかったら、A社長が実際に行う振り込み手続きの方法は、主に以下のものが考えられます。

  1. ATMを自分で操作して振り込み手続きをする
  2. インターネットバンキングサービスを利用して振り込み手続きをする
  3. 銀行窓口で振込依頼書に記入して振り込み手続きをする

2と3については、金融機関によって「第〇営業日前までに」等の制約があります。例えば「20日締め、当月25日支払い」のように給与締め日と支払日が近い場合などは、振り込み手続きが間に合うように注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。給与を現金支払いから振り込みに切り替えるにはいろいろなルールがあることがおわかりいただけたかと思います。法律を守った正しい方法で給与を支払うことは、従業員からの信用にもつながります。事前にしっかり確認と準備をしましょう。


弥生の一括振込みサービス

弥生の一括振込サービス」は、
弥生デスクトップ製品のユーザーさま向け導入費用・月額基本料無料のインターネット振込代行サービス。
振込手数料も安く、給与振込なら96円(税抜)~。
「弥生給与」「やよいの給与計算」を使用している場合、ボタン1つで振込用ファイルも簡単に作成できます。

photo:Getty Images

c_bnr_fltpayroll3-2
閉じる
ページの先頭へ