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飲食店や小売店ならではの経理処理

飲食店では集客やリピーター創出のために、ポイントカードの加盟店になったり、スタンプカードや大食いチャレンジなどの仕掛けを行うことがありますね。このようなサービスを行った場合、どのように取引を仕訳したらよいのでしょうか。今回は、特に飲食店などで多いこれらのサービスの経理処理について解説します。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • ポイントサービスでの支払いは、会計時の売掛金処理
  • スタンプカードで無料サービスをしたときは、カードを取っておく
  • 大食いチャレンジの賞金などは広告宣伝費

提携ポイントカードのポイントで支払われた場合

自社で発行していないポイントカードサービスと提携しているような場合には、お客さまが貯めたポイントを飲食代の支払いに充てることができますね。このポイントは、あとから提携のカード会社から支払いを受けることができます。
このとき、カード会社から入金されたときに収入とする方もいらっしゃいますが、本来は「売掛金」や「未収金」といった性質のもので、お会計をしたときの収入になります。そして、ポイント分が入金したときには売掛金などの入金として経理することになります。

例:1000円の飲食代のうち、300円がポイントで支払われた
現金 700 / 売上 1,000
売掛金 300 /

例:ポイントで支払われた300円分がカード会社から入金された
預金 300 / 売掛金 300

日常の取引のなかでは現金をもらった分だけ売上としておき、ポイント分が入金されたときにポイント分を売上とする簡便な方法でもよいです。ただし、期末の決算時には期末に未入金となっているポイントについて売掛金として収入を上げる必要があります。

スタンプカードがたまって1食分を無料にした場合

リピーター販促の一環として、お客さまにご利用いただくごとにスタンプを押して、スタンプカードがいっぱいになったら1食無料というようなサービスを行うことがあります。
この場合、お金をいただかないわけですからレジを打っても打たなくても売上はゼロ円です。しかし、ここで売上が上がっていなかったら、使用した食材などの分だけ見た目の原価率は上がってしまいます。
このような場合には、いったん1食分の売上を計上し、その分を全額値引きした、というように分けて経理してみるのもひとつの手です。

例:1,000円分の飲食代を無料にした
現金 1,000 / 売上 1,000
売上値引 1,000 / 現金 1,000

上記は飲食代1,000円を受け取って、すぐに1,000円値引きしてお金を返したという形になっています。
なお、単に売上を上げないだけの経理でもよいですが、その場合は売上除外を疑われないよう、スタンプカードを取っておくなど、無料サービスをしたことがわかるようにしておきましょう。

大食いチャレンジなどで賞金を出した場合

集客等のイベントとして、「メガ盛り30分で完食したら1万円」などといったチャレンジ企画を行うことがあります。成功したら飲食代無料で1万円の賞金を出し、失敗したらそれ相応の飲食代がかかるというものです。
成功した場合、飲食代無料なのは先ほどのスタンプカードと同じようなことですが、今回はさらに賞金1万円を出すことになります。
この場合は、1万円の支出について、「広告宣伝費」などの科目を使って処理するようにしましょう。

例:大食いチャレンジに成功したお客さまへ1万円の賞金を渡した
広告宣伝費 10,000/ 現金 10,000

なお、広告宣伝のための賞金等を支払うときは、源泉徴収の対象となります。ただし、源泉徴収が必要となるのは賞金等が50万円を超える部分になりますので、大食いチャレンジの賞金程度では通常は該当しない金額かと思います。

まとめ

いかがでしょうか。事業においては新規獲得、リピーター創出の両輪が売上アップの鉄則です。そのためにはさまざまな仕掛けが必要であり、またそのための経理もさまざまです。仕掛けにあわせて経理を工夫すると、その仕掛けの効果を数字として「見える化」することにもつながりますよ。

photo:Getty Images

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