会社設立に必要な「定款の作成」に何分かかるか試してみた 〜後編〜

筆者は2015年に自力で会社設立の手続きを行いましたが、全ての手続きを追えるまでにかなりの時間と手間を要しました。最初に書いておくと、会社設立において最もメンタルが削られるのは書類の不備を市役所や法務局に指摘されて出し直さないといけなくなったときです。
4度目の正直、、ようやく面倒な申請書の修正対応が一息ついた。
無数のトラップが仕掛けられてると噂の登記申請だったけど。本当過ぎて笑った。 pic.twitter.com/lrnGH2cWDl
— 金野和磨 GMA (@konno108) 2015年10月7日
上記は約2年前、登記を行った当時のツイートです。
しっかりと書類を揃えれば法務局に行くのは一度だけで済むんですが、たびたび書類の不備を指摘されたため、結局4回も法務局に行くはめになったのです。法務局は最寄り駅からかなり離れたところにあることが多く、その手間から自力で登記しようとしたことをひどく後悔した記憶があります。
そうした苦い記憶をもった筆者ですが、『スモビバ!』から「会社設立が簡単にできるツールがあるから試してみてほしい。実際に自分で法人登記の経験をしたことのある人に実際の時と比べてみた記事を考えたい」という相談を受けたのでやってみることにしました。
この企画は前編・後編の計2本からなりますが、後編となる今回は、「弥生のかんたん会社設立」を実際に使ってみて、定款作成後に行う「登記の手続き」「登記後の手続き」をやってみようと思います。
ちなみに「弥生のかんたん会社設立」は、”株式会社”設立に必要な書類が、作成できるツールです。
ところが、筆者の会社は合同会社です。合同会社設立には、定款の認証が不要ですが、合同会社でも定款を作るほか新規設立手順は株式会社とほぼ同じなので、今回、編集部の方に確認の上、お引き受けしました。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- 法務局は書類の抜け漏れに対してシビアなのでチェックリストでミスを回避しよう
- ツールを使うメリット①:全ての書類の雛形がダウンロードできるので準備が楽
- ツールを使うメリット②:「書類の記載ミス」を回避できる
法務局の書類チェックは厳しい! チェックリストで必要書類を確実に押さえよう
前編では定款の作成までを行いましたので、後編からは「Step.2 会社登記」(主に市役所と公証役場と法務局が相手)と「Step.3 登記後の手続き」(主に年金事務所や税務署が相手)を行おうと思います。
まずは「Step.2 会社登記」から行きます。ざっくりと手順を記載すると以下の通りです。
- 必要な書類の確認(市役所に行く必要あり)
- 公証役場で定款認証
- 出資金の入金確認
- 法務局で登記
提出書類はちょっと不備があるだけで再提出するはめになるので、正確な情報を頼りに確実に書類を揃えたいところです。
「弥生のかんたん会社設立」では以下のとおり、必要な書類のリストを見ることができます。1〜4の手順で進めていけば雛形はダウンロードできます。
少し字が小さくて見にくいかもしれませんが、登記するだけでもこれだけの書類を揃える必要があります。加えて、各書類の押印には代表者個人の実印と会社の実印が必要なので、それぞれ購入しておく必要があります。
印鑑まわりは少々面倒ですが、以下の記事が参考になるのでご興味ある方は読んでみてください。
【参考記事】
・【買ってみた】実印の選び方のコツ
・印鑑証明書の発行の方法と手順
しかし、便利な世の中になりましたね……筆者が登記した2015年当初はこういったツールがなかったので、検索でいろんなサイトを見てはひとつずつ雛形をダウンロードして記入していましたが、そもそもダウンロードした必要書類の雛形が間違っていたので、提出し直しを要求されたりしていました。ひとつのツールで全部の書類が揃うであればこれほど便利なことはないと思いますね。
必要書類を一括ダウンロードできる機能が便利すぎる
さて、次に2.に移行します。公証役場で定款認証をしましょう。
上記のような感じで、「弥生のかんたん会社設立」が持ち物や公証役場の場所などをナビしてくれるのでだいぶ助かると感じました。
スマホで見れば、MAPを頼りに目的地までいけますね。
同様に、法務局に書類を持っていく際も「弥生のかんたん会社設立」がナビしてくれます。
提出書類の製本方法も補足されているので、なかなか便利です。「弥生のかんたん会社設立」、なかなかやるじゃないか。
あと、個人的に「これは便利!」と思ったのが上記の図の赤枠で囲ってある「必要な提出書類の一括ダウンロード機能」。この機能のお陰で登記の面倒さがだいぶ払拭されるのではないでしょうか。
しかも、実際に書類をダウンロードして印刷してみると、すでに所在地や会社名などが入力されているではありませんか(定款作成のときに登録した項目が自動で転記されたんだと思います)。登記を行った当時、いちいち全ての書類に同じ項目を書くのが面倒だったので、これを見てちょっとテンション上がりました。ダウンロードもpdfではなく、Word形式なので、項目以外の追記や修正もかんたんにできます。
また、各書類にどの印鑑を捺印すればよいかなどを補足してくれる機能もあるので、ミスなくスムーズに書類を揃えられると思います。実際にStep2.に必要な書類を全て揃えるのにかかった時間はだいたい1時間くらいでしたので、自力で全部揃えるよりも断然早かったと思います。
これにてStep.2は完了です!
▲必要書類があっさり揃ってドヤ顔の筆者
ちなみに1点だけ補足すると、法務局に提出する必要のある書類のなかでひとつだけ異質なものが「登記事項を記載したCD-R」です。
CD-Rに登記事項を入れて提出する必要がある(※)んですが、法務局にはWindowsしかないので、Macで作成したCD-Rを持っていっても読み込めず、当時Macで作成したものを持っていった際に再提出しなさいと言われ、ひどく落ち込んだ記憶があります。当時の筆者は、知らなかったのですが、そもそもCD-Rは、WindowsのPCで読み込める形式が条件のようです。
法務局に書類を提出する際は筆記用具とPCとWi-Fiルーターと個人の実印と会社の印鑑を持っていけばだいたい対応できるのですが、このCD-Rだけは現地で修正することが難しいので、あらかじめWindowsのPCで作成しておくことをオススメします。
※マイナンバーカードとICカードリーダーライターなどを用意すれば、オンライン申請も可能です。(編集部注)
【参考】
法務省 商業・法人登記申請における登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出について
法務省 OCR用申請用紙の配布の終了について
法務省 商業・法人登記のオンライン申請について
▲CD-Rの認証に失敗した当時のツイート
登記後の手続きも同様の手順で進めよう
Step.2まで完了すればめでたく登記は完了ですが、まだStep.3、つまり各種公的機関に書類を提出する段階があります。
銀行(口座開設)、年金事務所、税務署、都道府県税事務所は必須で、登記した時点で従業員を雇っている企業の場合はさらに労働基準監督署とハローワークへの申請も必要となります。また、登記してから提出するまでの期限が短い書類もありますので、面倒ではありますが全ての手続を一気にやってしまった方が良いです。
登記の手続きと同様に、各機関に提出する必要がある書類も一括ダウンロードが可能なので、焦らずにひとつずつ揃えていけばOKです。当時、僕はこの書類も全てネットで拾った情報をもとに揃えていきましたが、「弥生のかんたん会社設立」を使用すれば、基本的な書類のフォーマットがすべて用意されているし、それにいちど入力した情報を自動的に転記してくれるところなんて最高に良いですね。間違っていたらどうしようと不安にならなくて済みます。
今回は労働基準監督署とハローワーク向けの書類は作成しませんでしたが、終始さくさくと書類作成を済ませることができました。筆者が設立したのは比較的設立が容易な合同会社でしたが、「弥生のかんたん会社設立」のサポートがあれば株式会社の設立もスムーズにできるんじゃないかなと思います。
あと、一連の作業を全部やってみて思いましたが、やはり必要書類の雛形の一括ダウンロード機能と各書類への自動記入機能が一番ありがたかったですね。会社を設立するまでに必要な書類を合計すると数十はありますが、それらをひとつのツールで集められて、内容に間違いがなくて、かつ必要な情報まで記入してくれるとなると、もはや使用しない理由はないと思います。しかも無料ですし。
これから会社設立を検討している人はぜひ使ってみてください。
【関連記事】
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