合同会社の設立方法とは? 株式会社設立との違いやメリットを紹介
監修者 : 中野 裕哲(起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士)

合同会社は、出資者と経営者を分離できない「持分会社」のひとつです。持分会社では「出資者=社員」となり、社員全員が会社の代表として業務を遂行するのが原則となります。ここでは合同会社設立の方法をまとめてみました。
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目次
- POINT
-
- 合同会社の新規設立手順は株式会社とほぼ同じ
- 合同会社設立には、定款の認証が不要
- 株式会社に比べると、設立時の初期コストがかからない
そもそも合同会社とは?
合同会社とは、「持分会社」の形態のひとつです。持分会社では出資者と経営者を分離せず「出資者(社員)が経営も行う」という構造で成り立ちます。
同じ持分会社である合資会社・合名会社と「合同会社」が異なる点は、出資者(社員)全員が「有限責任社員」となる(出資を超える弁済義務なし)という点です。株式会社にとても近い形態であり、かつ、株式会社に比べて新規設立にかかる初期コストが抑えられる点から、持分会社のなかではもっともポピュラーな設立形態となっています。
合同会社設立の方法と手順
合同会社の新規設立の方法・手順は、株式会社の新規設立に準ずるものがほとんどですが、株式会社設立と異なる点として次のことが挙げられます。
株式会社 | 合同会社(持分会社) |
---|---|
定款作成後、認証を要する | 定款認証の必要がない |
株式会社における「発起人」 | 発起人は「設立時社員」の名称に |
株式会社における「株主」 | 株主は「社員」の名称に |
株式会社における「取締役」 | 取締役は「業務執行社員」の名称に |
株式会社における「代表取締役」 | 代表取締役は「代表社員」の名称に |
以上を踏まえ、合同会社の新規設立の方法・手順をまとめると次のようになります。
〈合同会社設立の方法・手順〉
- 設立時社員で会社の基本事項(商号、所在地等)を策定する
- 設立時社員が出資者となり、出資金を準備する
- 損益の分配割合を定める(定めのない場合は、出資価額に応じる)
- 業務執行社員・代表社員を選任する
- 定款作成を行う(有限責任社員であることを明記、認証は不要)
- 出資金を払い込む
- 法務局にて会社の登記申請を行う
合同会社設立に必要な手続き・書類・費用は?
合同会社の新規設立には定款認証は必要ありません。作成後は、登記申請とともに法務局に定款を提出します。そのため株式会社設立と比較しても、初期コストが抑えられること特徴のひとつです。
定款認証の手数料 | 印紙代 | 登録免許税 | |
---|---|---|---|
株式会社(紙定款) | 5万円 | 4万円 | 15万円 |
株式会社(電子定款) | 5万円 | 0円 | 15万円 |
合同会社(紙定款) | 0円 | 4万円 | 6万円 |
合同会社(電子定款) | 0円 | 0円 | 6万円 |
※表は最低限必要となる費用が株式会社15万円、合同会社6万円の場合。
※登録免許税は資本金×0.7%。
なお、登録免許税については、一定の要件を満たした場合、株式会社は(最低)7.5万円、合同会社は(最低)3万円、合資/合名会社は一律に3万円に減額される取扱いがあります。
【参考】中小企業庁 産業競争力強化法における市区町村による創業支援のガイドライン4.支援施策の概要 Ⅲ.特定創業支援事業を受けた創業者への支援
初期コストが抑えられたとしても、合同会社を設立した後に株式会社に変更するとなれば、そこでもまた費用が発生します。株式会社と合同会社、どちらで設立するのがベターなのか、よく考えてから判断するようにしましょう。
photo:Getty Images