スキャナ保存制度が使いやすく!

事業を行っていると、いつの間にか山積みになっているのが、紙の書類です。日々の取引のなかで、契約書や領収書、請求書、見積書などが、どんどん増えていきますよね。保管場所に頭を悩ませている事業主の人も多いことでしょう。そんななか、スキャンデータによる証憑保存制度の条件が緩和されました。どのように変わったのか、解説していきたいと思います。
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目次
- POINT
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- 3万円以上を含め金額にかかわりなく全てスキャナ保存の対象になった。
- タイムスタンプは必要だが、電子署名は不要になった
- カラー保存も不要で、グレースケール(モノクロ)での保存もOKに
金額の上限は撤廃、重要書類以外のデータは白黒(モノクロ)でもOK
一定期間の保存が法律で義務づけられています。保存期間は、法人であるかどうか、個人事業主の青色申告か白色申告かで異なりますが、いずれにせよ複数年の保管となると、膨大な量の紙の書類になりますよね。保存期間は、記事「これで楽チン! 領収書・請求書の保管テクニック」を参照してみてください。
そこで、事業者の負担を考慮し、一定の条件下ではスキャナを利用して作成された電磁的記録で保存することが、平成17年から認められています。
さらに、平成27年の税制改正では、従来設定されていた「3万円」という基準が廃止され、金額を問わずスキャナ保存の対象となったうえ、スキャナで取り込む際の電子署名も廃止されました。それと同時に適正事務処理要件が課されるようになりました。
次の平成28年の税制改正では、スマートフォンやデジタルカメラで撮影したものについても認められるなど、従来の条件が緩和されて、活用しやすくなりました。
なお、適正事務処理要件とは、相互牽制、定期的なチェック、再発防止策を社内規程などで整備し、それに基づいた事後処理ができている環境のことを指します。平たくいえば、相互チェックができるように社内でルールを取り決めましょう、ということで、それがクリアされていれば、すべての領収書・契約書が電子化保存できるようになったということです。
電子署名付与が撤廃された
また、ID等のログ情報・タイムスタンプは従来どおり必要ですが、電子署名は不要となりました。個々人の電子証明書の取得が不要となったのです。
加えて、重要書類以外(※)の書類については、カラー保存も不要となり、白黒(グレースケール)での保存がOKになりました。これにより、スキャンデータを保存にするためのデータ容量も大幅に削減できるでしょう。
(※)重要書類は、領収書・契約書及びこれらの写し、資金やものの流れに直結・連動する書類(請求書・納品書等)が該当します。
【参考】
国税庁:スキャナ保存要件一覧表(平成28年9月30日以後申請分)
スマートフォンのカメラでもOKに
さらに、利用するスキャナに関しての要件だった「原稿台と一体型に限る」が廃止され、デジタルカメラやスマートフォンのカメラなども、利用可能になりました。
そのうえ、個人事業主のような、小規模企業者の場合は、税理士の定期的なチェックを受ける体制をきちんと整えれば、受領と入力を同一人物が行うことが認められるようになりました。これにより、スキャナ保存制度対応の最低人数が、3人から2人になったので、個人事業主でも導入しやすくなったといえるでしょう。
ハードルが下がって活用しやすくなった、スキャナ保存制度。
紙の書類にまみれた煩雑な日々にサヨナラするためにも、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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