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これで楽チン! 領収書・請求書の保管テクニック

領収書やレシート、請求書などの書類は、保存義務があることはもちろん、仕事におけるお金の流れを把握するための大切なもの。それだけに、普段から整理しておくことが重要です。スモビバ!調査隊で実施したアンケート結果「領収書をどうやってわけていますか?」をもとに、今回は領収書やレシートの管理方法についていろいろと考察してみたいと思います。

POINT
  • レシートや領収書、請求書は一定期間保管することが義務付けられている
  • レシート、領収書、請求書は自分に合った形で管理しよう
  • レシートは印字が消える場合もあるが、コピーでもOK。電子保存の選択肢も

レシート・領収書、請求書などは一定期間保管が必要

事業主の業務として欠かせない、請求書、領収書、レシートといった書類の管理。売り上げや支出がどれだけあったかの証明となるだけに、これらなくして確定申告はできないといっていいですし、また、税務署の調査などが入ったときに、売り上げや経費の証明ができずに困ってしまう……ということにもなりかねません

請求書、領収書、レシートなどの書類は、法律において一定期間保管することが義務づけられていますが、その保存期間は法人であるかどうか、個人事業主なら青色申告と白色申告のどちらをしているかによって異なります。

請求書や領収書、レシートなどの保存期間について

法人の場合 原則として7年間の保存が必要(※1)
個人事業主の場合 青色申告の場合:7年間の保存が必要(※2)
白色申告の場合:5年間の保存が必要

(※1)欠損金がある場合の保存期間は9年。平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する欠損金額の生ずる事業年度においては、領収書を含む帳簿書類の保存期間が10年間に延長されています。
(※2)領収書・請求書以外の注文書・納品書などの保存期間は5年。

領収書、レシート、請求書……どのように管理していますか?

領収書やレシートは自分がわかればOK。負担のない方法で管理を

領収書やレシートは、一枚一枚は薄く小さな書類ですが、1年たつと結構な量になってくるもの。それだけに、整理せずに放置しておくと、後々、山積みの書類を前にして大変な思いをすることになりかねません。ですから、面倒でも日ごろからある程度整理しておくことをおすすめします

とはいっても、これはあくまでも「ある程度」でOK。もちろん、細かく分類してきれいに整理できるなら、それに越したことはありませんが、事業主の多くは、日々忙しいため、領収書を整理する時間を長くとるのは現実問題として厳しいでしょう。また、これらの書類は確定申告が終わったあとは、自分が確認したいと思ったときや税務署の調査が入った場合を除けば、利用することはほぼないでしょう。ですから、使うときに「あの領収書、どこだっけ?」と右往左往せずにすむ程度に、月別、費目別などでおおまかに整理しておけば大丈夫です。
領収書を月別にわけておくと、あとから特定の取引について内容を確認したくなったときに、比較的探しやすいというメリットがあります。また費目別にわけておくと、費用ごとにかかったボリュームも把握しやすく、会計ソフトに続けて入力しやすくもなります。

領収書やレシートの保管方法の定番としては、以下のようなやり方があります。

封筒にまとめておく
月別、費目別など、専用封筒をいくつか用意して、領収書やレシートをもらったら、封筒に入れておく手軽な方法です。ただ、枚数が多いと封筒から出し入れする際にごちゃごちゃになってしまったり、うっかり落としてなくしたりしてしまう恐れがあるので、ホッチキスで止めておいたり、たくさん入る大きめの封筒を使うといった工夫も必要です。

ノートに貼っておく
専用のノートを作って、領収書やレシートをそのつど貼り付けていく方法です。封筒のように出し入れすることがないので、こちらのほうが紛失などのリスクは低いといえるでしょう。また、作ったノートを開いてページをめくると、いつどこでどうお金が動いたかを順を追って確認できるので、経費の流れも把握しやすそうですね。ただ、貼り付けたレシートがはがれてしまわないように、糊付けをきちんとするのだけはお忘れなく。

ファイリングして収納する
最近は、領収書保管に特化したファイルが出てきているので、ファイルにまとめておくのもよい方法です。いわゆる専用ファイルだけでなく、クリアファイルに分けて入れておいたり、ファイルボックスを使って収納したりするのもよいでしょう。ファイルに月や科目のインデックスをつけておけば、確認がよりわかりやすくなります。

なお、領収書の保存方法について、先日『スモビバ!』の実施したWebアンケートではこのような結果が出ています。
月別に分けている人が多いようですね。

アンケート画面

請求書は月別・取引先など、自分に合った方法で管理

領収書やレシートとともに、大事な業務上の書類である請求書。請求書も一定期間の保管をしなくてはいけませんが、管理方法として一般的なのは、月別あるいは得意先別に分けておく方法。こちらはそれぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。

月別に管理する場合
メリット……月間の仕事やお金の流れが把握しやすい。その月に発行されたものをまとめればよいので、分類する手間が少ない
デメリット……取引先が多い場合、特定の会社の請求書を探しだすときに、時間がかかる。

取引先別に管理する場合
メリット……各取引先とのお金の流れを把握しやすい。
デメリット……請求書を定期的に分類する手間がかかる。月間でのお金の流れが把握しにくくなる場合も。

請求書の保存方法については、どちらがより正しいということはありませんので、月間の請求額を把握したいのなら月別、取引先ごとの状況をわかっておきたいなら取引先別など、自分がやりやすい形で管理をするとよいでしょう。

感熱紙レシートの文字消えに注意!その対策とは

前述したようにレシートや領収書は5年または7年間保存しておかなくてはいけません。しかし、ここでちょっと問題となるのがレシート。最近のレシートは感熱紙であることが多く、これは時間がたつと印字が消えてしまいます。そのため、感熱紙のレシートをもらった場合は、印字が薄くなってしまっても経費であることを証明できるように、以下のような対策をとっておくことをおすすめします。

  • レシートの余白に金額や買った日にち、買ったものなどを書いておく
  • レシートをコピーしておく
  • レシートをスキャンして電子保存する
  • レシートをデジカメ、スマートフォンで撮影しておく

レシート現物でなければ、経費の証明にはならないのでは……と心配になる人もいるかと思いますが、「経費の証明についてはレシート現物でないと絶対にだめ」ということはなく、また、「感熱紙で印字が消えるのでレシートをコピーした」ということで、レシートのコピーを保存しておくことで、問題ないとされるようです。ただし、できる限り熱や光のない場所に保存しておいたり、印刷が薄くなったり消えている原本も一緒にとっておくようにしましょう。

なお、2015年の税制改正によって、それまで3万円未満のものでしかできなかった領収書やレシート、請求書などのスキャナーでの保存が3万円以上のものでも可能になり、電子署名の付与もいらなくなりました。さらに、2016年の改正で、領収書やレシートをデジカメやスマートフォンで撮影した画像データで保存することも可能となりました(※3)。上記の感熱紙レシート対策、さらに紙で保存する手間やコストの削減という点から、今後は、紙だけでなく電子保存するというのも管理方法として視野に入れていったほうがよさそうです。
(※3)税務署に対して事前の申請が必要です。

photo:Getty Images

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