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飲食店の採用を成功させるポイント

飲食店事業者の多くは「人材獲得の面では、有名チェーン店にかなわない……」なんて思われているのかもしれません。しかし小規模や個人経営の店舗でも、大手に勝るとも劣らない人材獲得術がきっとあるはず。今回は効果的な募集広告の出し方を考えてみました。

POINT
  • 求人掲載の方法は主に4つ。自分のお自店に適した方法を併用する
  • 求人掲載の見出しには、応募者にとって魅力的な条件を盛り込む
  • ブラック認定されないためにも、労働条件の自主点検を!

まずは求人掲載の方法を検討しよう

最初に求人掲載の場所を検討しましょう。求人掲載には主に次の4つの方法があり、費用・効果の両面から検討し、自分のお店に適した方法を併用します。

ハローワーク

求人で真っ先に思いつくのは「ハローワーク」です。ハローワークを利用する場合、管轄ハローワークで基本情報、事業内容、会社の特徴、地図情報等を記入する「事業者登録」を行うのも良いでしょう。その後、求人申込書に求人の条件を記入し、窓口で求人申込をすることで求人情報が公開されます。応募者があった場合は、ハローワークから連絡が来て、面接日などを調整します。なお、応募者に対しては、紹介状が発行されます。求人申込みをした事業者が一定の要件を満たす場合は、これ以降、インターネット上からの求人情報仮登録が可能になります。

総合求人サービス

より多くの応募を得るのに有効なのが、民間の総合求人サービスです。掲載料金は、掲載期間やオプション機能によってさまざまな幅がありますが、短期的な掲載であれば数万円から対応しているサービスもあるようです。最近は、飲食店だけを掲載する求人サイトも展開されています。

SNSの利用

民間企業でもソーシャルリクルーティング(SNSを利用した採用活動)に取り組んでいるところが増えています。長期的・大人数の募集には求人用の特設サイトを運用することもありますが、小規模あるいは個人経営の飲食店ならば、自店のSNS(Facebook、Twitter等)で求人掲載することで、来店客や同業のフォロワーさんによる情報拡散が期待できます。

求人ちらしの自作・掲示

飲食店の強みは、求人ちらしを自作し、店内・軒先に掲示できる点です。ちらしの作成にはパワーポイントなどのプレゼンテーションソフトを使用するとよいでしょう。無料のテンプレート・見本もインターネットで公開されています。パソコンで自作する場合は「文字の書体は明朝体よりもゴシックにする」「カラーにする場合は文字・背景の明度差に配慮する」など、視認性を高くする工夫が必要です。

求人を掲載する方法 費用 効果 メリット デメリット
ハローワーク 無料 掲載料が無料。雇入によって助成金・奨励金を受けられる場合がある 求人の情報掲載が管轄地域限定になるため、労働人口の少ない地域の場合、いい人材に出会える確率が低くなる
総合求人サイト 有料 検索性に富んだサービスのため利用者が多く、特に若い人からの応募を期待できる 掲載に費用がかかるうえ、同業による競合の募集が多い
SNS 無料 フォロワーによる拡散が期待できる 検索サイト上での求人検索ではヒットしにくい
求人ちらしの自作・掲示 無料 掲載に費用がかからず、掲示内容の自由度が高い 情報拡散の効果がもっとも低い

応募者にとって魅力的な条件とは?

いずれの方法をとるにせよ、求人情報に過不足があってはいけません。一般的には、応募資格、勤務日数・時間、仕事内容、給与(アルバイト・パート募集ならば時給)等の項目が求人掲載に不可欠な情報となります。この他にお店の特色を出すため、提供している人気メニュー、店内・スタッフの写真などを掲載すると効果的です。

また民間の求人サイトに掲載するときには、応募者の目を惹きつけるような「見出し」に配慮しなければいけません。見出しはシンプルで効果的になるように心がけ、あなたのお店をより魅力的にアピールするようなキャッチコピーを考えましょう。

総合人材サービスを展開する各社が行う「バイト選びの基準アンケート」などによれば、バイト・パート応募者は第一に「給与(時給)が高いこと」を仕事選びの条件にしており、次いで「アクセス(場所)」「シフト(時間)」「仕事内容」「職場の雰囲気」などを気にしているようです。書くことのできる文字数は50〜60文字程度ですが、応募者にとって魅力的な条件をふんだんに盛り込む工夫が必要です。

〈応募者にとって魅力的な条件の例〉

【条件】 【見出しの書き方の例】
時給が高い 時給1000円以上!
駅から近い 駅チカ/○○駅から徒歩○分!
シフトが柔軟 週1・2H〜OK!
スタッフの年齢層が幅広い ○代スタッフが活躍!
その他 賄い付き/交通費全支給/女性スタッフも活躍中/
TV「○○」にも取り上げられた人気店/
未経験者歓迎!/主婦・フリーター歓迎!

<求人掲載時の見出しの例> ※アルバイト・パート募集の場合
【時給1000円以上】雑誌「○○○」掲載で話題に!
20代の未経験者も活躍する老舗レストラン
駅チカ・○○駅からすぐ/週1・2HからOK

学生アルバイトを採用するときの注意点

飲食店で働きたい若い人のあいだでは「ブラック認定」なんて言葉が流行っています。「実際の応募条件と現実が違う!」「1日十数時間も働かされている!」「残業代がいっさい支払われない!」−−。もしもこんなことになれば、すぐにSNSでクチコミが拡散され、お店の評判を落としてしまいかねません。しかしそうした事業者・飲食店が存在することも事実なのです。

厚生労働省では事態の打開を図るべく、学生アルバイトを対象とした意識調査を行い、その結果を踏まえ、文部科学省と連携し、業界団体に対して「学生アルバイトの労働条件確保」を要請しています。それに伴って作成された「自主点検表」は全21項目で構成されており、その要点は次のようなことになります。

〈労働基準関係法令で遵守すべき事項〉

□労働条件を記載した書面の交付
□就業規則の作成・届出・周知(届出は、常時10名以上の場合)
□所定労働時間(週40時間)、時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の遵守
□休憩時間の付与(労働時間が6時間を超える場合は45分以上/8時間を超える場合は1時間以上)
□休日(週1日、4週に4日以上)、勤務日数に応じた年次有給休暇の付与
□賃金の支払い(遅延はないか/全額支払っているか/最低賃金以上の額を支払っているか)
□割増賃金の支払い(週40時間、1日8時間を超えた時間外労働/深夜労働)
□罰金等を課していないか
□解雇予告もしくは解雇予告手当の支払いが正当になされているか

〈労働基準関係法令に違反するおそれがある事項〉

□タイムカード等で労働時間を適正に把握しているか
□準備・片付けの時間をきちんと労働時間内にしているか
□賃金を一方的に引き下げていないか(法律で定められた最低賃金を下回っていないか)
□定期健康診断の実施(1年以内ごとに1回)

〈学業とアルバイトの両立のために特に配慮が必要な事項〉

□退職の申し出に対して継続して働くことを強要していないか
□一方的なシフトの決定・変更をしていないか
□試験準備期間・試験期間の休みの希望に反したシフトの決定をしていないか

※詳しくは、厚生労働省HPをご覧ください。
【参考】
厚生労働省:自主点検表「学生アルバイトの労働条件に関する自主点検表」(PDF)

もちろんこれらは飲食店に限られた要請ではありませんし、なかには「遵守して当たり前」と感じるものもあると思いますが、求人掲載をする前にはこれらの条件を自店で満たせるのか、しっかりと備えておくことが肝心。スタッフの労働条件を確保することが、有効な人材確保につながっていくはずです。

photo:Thinkstock / Getty Images

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