白色申告の専従者控除とは?青色申告の場合は?詳しく解説

個人事業主の方のなかには、一緒に暮らす家族に事業を手伝ってもらっている、というケースも少なくないはずです。従業員に支払う給与が経費として認められる一方で、家族への給与は経費にできないのが原則。しかし、白色申告には「専従者控除」という制度があります。青色申告の「専従者給与」との違いも含めて、説明していきます。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- 「専従者」とは個人事業主と財布をひとつに生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、年間6カ月超その事業にもっぱら従事している人のこと
- 白色申告では「専従者控除」、青色申告では「専従者給与」の制度が活用できる
- 配偶者控除や配偶者特別控除などが受けられなくなるというデメリットもある
専従者給与と専従者控除
個人事業主と財布をひとつにする配偶者や15歳以上の親族で、年間6カ月以上その事業にもっぱら従事している人のことを「専従者」と呼びます。原則的には、家族への給与は経費として扱えませんが、手続きを踏めば「専従者」へ支払った給与が経費として認められることになります。
白色申告の場合は「専従者控除」、青色申告の場合は「専従者給与」の制度を活用できます。両者を見ていきましょう。
「専従者控除」の仕組み
白色申告者が行う「専従者控除」では、以下のいずれか低いほうの金額を控除することができます。
- 専従者が配偶者ならば86万円、配偶者でなければ専従者1人につき50万円
- 『所得の合計(専従者控除前)÷(専従者の数 +1)』で計算した金額
ただし、「専従者控除」を受けるには、下記を満たす事業専従者が存在しなければなりません。
- 生計を一にする配偶者その他の親族である
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
- その年を通じて6カ月を超える期間、事業にもっぱら従事している
上記にすべて該当する場合、確定申告書に専従者控除を受ける旨と、その金額など必要な事項を記載すれば、専従者控除を受けることができます。届出は特に必要ないので、活用しやすい制度だと言えるでしょう。
「専従者給与」の仕組み
一方、青色申告者が行う「専従者給与」は、支払った給与を経費とすることができます。専従者控除のような上限はなく、届出をした一般的な給与の金額の範囲内で支払えば、経費にすることができます。
専従者給与では、下記を満たす事業専従者が存在しなければなりません。
- 生計を一にする配偶者その他の親族である
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
- その年を通じて6カ月を超える期間(従事可能期間の2分の1を超える期間)、事業にもっぱら従事していること
事業専従者の条件としては、さきほど、解説した「白色申告者の専従者控除」とほぼ同じです。両者の大きな違いは、「専従者給与」では、届出が必要だということです。「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
提出期限は、「専従者給与」を支払う年の3月15日まで。もし、その年の1月16日以後、新たに事業を始めた場合や、新たに専従者がいることになった場合については、その日から2カ月以内までとなっています。
【参考】国税庁HP:[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続
節税効果の高い「専従者給与」
「専従者控除」に比べて、「専従者給与」は節税効果が高いというメリットがあります。白色申告では事業専従者控除の最大限が86万円ですが、青色申告なら届け出額まで控除することができます。
一方、「専従者控除」と「専従者給与」に共通するデメリットは、事業専従者である人は、控除対象配偶者や控除対象扶養親族にはなれないということです。ただし、38万円以上の所得がある場合は、いずれにしても、控除対象配偶者や控除対象扶養親族にはなれないので、このデメリットはそれほど大きなものではないとも言えそうです。
「かんたん税金計算」などを利用して、青色申告のメリットを踏まえたうえで、節税効果の高い専従者給与の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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