アフィリエイトはメリットが大きいビジネス 〜日本アフィリエイト協議会・笠井氏〜

21世紀、インターネット上のビジネスとして定着してきたアフィリエイト。うまく活用できれば、大きな収入源となる可能性を秘めていますが、一方、やり方を間違えると、不正行為につながったり、悪質な詐欺にひっかかってしまう恐れもあります。しかし、適切な情報を知り、正しくアフィリエイトを活用すれば、非常に大きな可能性を秘めたビジネスモデルだと言われています。
これからアフィリエイトを始めてみたい人のために、ビジネスを成功させるための秘訣や、はじめるにあたっての心得、アフィリエイト収入の確定申告について、日本アフィリエイト協議会・代表理事の笠井北斗さんにお話を伺いました。
[おすすめ]法人の会計業務をかんたんに!無料で使える「弥生会計 オンライン」
自分で掲載する広告を選ぶことができるのがアフィリエイトのメリット
――まずは、貴団体が発足した理由、目的などをお聞かせください。
日本アフィリエイト協議会は、2010年の12月に発足したアフィリエイト・プログラムの業界団体です。アフィリエイト・ビジネスが日本で本格始動して成長していくなかで、健全な発展と普及、不正への対応、関係省庁との連携強化などを行い、消費者利益と事業者利益を伸ばすことを目的として立ち上がりました。
――おもな活動として、どのようなことをされているのでしょうか。
協議会の活動は多岐にわたるのですが、まず、アフィリエイトをはじめる方向けの教育、啓蒙活動ですね。セミナーや勉強会、オンラインでのレッスンを通じて、アフィリエイターやブロガーの方に方法を学んでいただき、広告主や事業者側にも同様の取り組みをしています。もうひとつの大きな活動がアフィリエイト関係者同士の情報交換会です。アフィリエイトに取り組むベテランの方から初心者の方まで、知識や考えを共有できる場になるようなSNSを作ったり、全国で集まりなどを催しています。あとは、アフィリエイトが悪質な人たちの儲ける手段にならないように、不正行為を行う人たちのブラックリストとグレーリストを作成し、業界内外に共有する活動、さらに、業界の窓口としてマスコミや行政とのやりとりを請け負わせていただくこともあります。
――そもそも「アフィリエイト」というのは、どういうものなのでしょうか? 改めて定義を教えていただけたら。
ざっくりいうと「成果報酬型のインターネット・マーケティング」で、おもな特徴が2つあります。
まずひとつは、サイトやブログの運営者が広告を選択できること。通常の広告は、広告を出す側が「どこに、どれくらいの期間出すか」などを決めますが、アフィリエイトは、広告を載せる媒体側がどの広告をどこに出すかの決定権を持っています。もうひとつは、”成果報酬”であること。お客様が買い物や申し込みなど何らかのアクションを起こしたときに初めて報酬がもたらされるビジネスになります。
よく勘違いされることがありますが、バナーを掲載するだけ、あるいはクリックするだけで報酬が発生するものは、正規の意味でのアフィリエイトではないのです。ポイントは、収入を得るのに「2クリック以上」必要かどうか。広告を載せただけ、あるいは一度クリックして報酬が発生するタイプのものは、”成果報酬型”ではありません。一方、広告を1クリックし、ジャンプした先での買い物や予約注文の2クリックで成果が発生するモデルは、アフィリエイトと思っていただいてまず間違いないです。
――そうすると、1クリックで報酬が発生するグーグル・アドセンスなどは何に定義されるのでしょうか?
アド・ネットワークの一種でクリック課金型広告ですね。アフィリエイトとの大きな違いでいうと、アドセンスは枠の中にどんな広告が表示されるかわかりませんが、アフィリエイトは、どの会社のどの商品を載せるかを媒体側が選ぶことができます。
――つまり、アフィリエイトは媒体側に選択権があり、より媒体に合致した広告を載せることが可能ということですね。そうすると、自分のサイトやブログへの相乗効果もありそうですね。
まさにそれがアフィリエイトのメリットですね。いわれたものをそのまま載せるのではなく、自分たちが好きなものや紹介したいもの、収益を上げられそうなものを、媒体側が選んで載せることができるのです。
「アフィリエイトで儲かる」イメージは捨てたほうがいい
――アフィリエイトのおもなメリットは何でしょうか? 個人事業主が自分の仕事に活かせる面などはあるのでしょうか。
メリットは、大きな収益を得られる可能性があることです。自分のサイトやブログと相性のいいものや好きなものを継続して紹介する活動が、結果として報酬に結びつくのがアフィリエイトの仕組みなので、自社との相性がいい商品を媒体で紹介して、アフィリエイトの収入だけで会社を作ったり、生活できている人もいます。また、プログラミングや写真撮影、文章作成、データ分析など、アフィリエイトに取り組むうえで学んだ知識や経験は、アフィリエイト以外のビジネスにも役に立ちます。
――なるほど。では実際にアフィリエイトを行うにあたって、どのような準備が必要なのでしょうか?
まず、アフィリエイト専用の銀行口座を作っておくことです。アフィリエイトの収支を理解するのに便利ですし、なにより確定申告がとても楽になります。それと、会計ソフトもはじめたときから使っておくべき。これらを利用せずにアフィリエイトをスタートして、収益が上がってから、専用口座やソフトを使おうとすると、非常に面倒なことになるので、アフィリエイトをはじめる段階からやっておいたほうがいいですね。
また、よく「スマホだけでアフィリエイトはできますか?」と聞かれるのですが、ほぼできないですね。広告タグを入手してブログの記事に入れていく一連の作業は、パソコンがあったほうが間違いなくいいと思います。あとは、常時接続できるネット回線。最後に、アフィリエイトメルマガの受信用と、サイトの訪問者からの問い合わせ用にメールアドレスを2つ作っておくと便利です。
――アフィリエイトをする際に、注意すべきことはありますか?
まず、「アフィリエイトは簡単に儲かる」というイメージは捨てたほうがいいです。何百万も儲かったという話はむしろ特殊なケースで、初めて1年くらいなら、月に数万円レベルの方がほとんどです。だから、安易に儲かると思わないこと。もうひとつは、お金が発生するビジネスなので、当然やってはいけないことがあります。スパム行為や著作権を侵害する行為、ステマなどの問題行為には手を染めないように注意してください。協議会のHPにアフィリエイトでやってはいけない行為をまとめた資料を誰でも読めるように用意しています。
【参考資料】
『正しくアフィリエイトしよう!』
――活動の一環として業界のブラック&グレーリストを作成しているとのことでしたが、違法であったり、悪質なアフィリエイトの被害に遭わないためには、どのようなことに気をつければよいでしょうか?
まず、「甘い言葉にひっかからない」ですね。「誰でも楽して儲かる」「素人でも稼げる」といった言葉に決して惑わされないようにしてください。それと、アフィリエイトは無料ではじめられるもので、契約金や登録料がかかるのはあり得ないので、初期費用を求めてくるサービスは疑ったほうがいいです。