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請求書に書く? それとも書かない? 源泉所得税の扱い方とは

個人事業主として事業を営んでいると、取引先に対して何かと請求書を発行する機会が多くなります。では、この際に発行する請求書には源泉所得税について記載する必要があるのでしょうか。また反対に、取引先から源泉所得税の記載がない請求書が届いた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

POINT
  • 請求書を発行する際には、「所得税法第204条」規定の報酬は源泉所得税の記載が適切
  • 請求書への記載をうっかり忘れると、「支払者側」に迷惑がかかる
  • 源泉所得税の計算には「消費税」も含めるが、明確に区別していれば含めないこともできる

請求書を発行する際の源泉所得税の扱いについて

フリーランスの方が請求書を発行する際に、源泉所得税を記載するかどうかは、どのような報酬や料金を請求するのかによって変わってきます。フリーランスの方が請求する報酬のうち、所得税法第204条に規定されている8つの項目に当てはまる報酬を請求する場合については、請求書を発行する側が源泉所得税の金額を計算してあらかじめ記載しておくと取引当事者間にとって、税額の確認ができるのでよいですね。
【参考記事】
国税庁HP:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

源泉徴収が必要な報酬と、不要な報酬の両方を請求する場合についても、それらをきちんと分けて記載して、源泉所得税を計算するように注意が必要です。

もしも源泉所得税を記載し忘れたらどうなるの?

では、これらのことを知らずに、うっかり源泉所得税の金額を請求書に記載し忘れてしまったらどうなるのでしょうか。もしも支払者側がそれに気がつかずに報酬を支払ってしまうと、源泉徴収がされないこととなってしまいます。
その場合、あとから金額を調整したりなど非常に面倒な経理作業が必要となります。
また、万が一これに誰も気づかずに、税務調査などで指摘された場合、最終的に責任を負うのは「支払者側」となります。つまり、請求書に源泉所得税を記載しないと、迷惑を受けるのは取引先である「支払者側」ですので十分注意しましょう。

報酬を支払う側の注意点

このように源泉徴収の義務は「支払者側」にありますので、逆にフリーランスの方から請求書を受け取った際には、自分が「支払者側」となるため、必ずその報酬の種類と源泉所得税の記載の有無を確認するようにしましょう。フリーランスの方は、源泉所得税を請求書上で差し引かなければならないことを知らないケースが多々ありますので、くれぐれも請求書を鵜呑みにして振り込まないよう十分注意しましょう。

源泉所得税の計算方法と消費税について

源泉所得税の金額は、次のように計算します。

支払総額100万円以下:支払総額×10.21%
支払総額100万円超:(支払総額−100万円)×20.42%+102,100

このように支払総額が100万円を超える場合、超えた部分の金額については税率が上がりますので注意しましょう。

源泉所得税を計算する際に注意しなければならないのが消費税です。
原則的な方法は、税込金額により源泉所得税を計算することになります。例えば、消費税込みで54万円の報酬を請求する場合の源泉所得税は、次のとおりです。

(例)
540,000円(消費税込み)×10.21%=55,134円
よって、源泉所得税の金額は55,134円

なお、報酬と消費税額を明確に区分して請求(50万円+4万円)している場合は、税抜き金額を元に源泉所得税を計算することもできます。

(例)
500,000円(消費税抜き金額)×10.21%=51,050円

少額ですが税抜金額で計算した方が、手取り金額が増えます。少しでも資金を早めに回収したい場合には、消費税を区分した請求書を作成し、税抜金額を元に源泉所得税を計算するのもよいのではないでしょうか。

源泉所得税の扱いは、事前の取り決めが大切

フリーランスなどの個人事業主や中小企業と取引をする際には、この源泉所得税の扱いを事前に明確にしておくことがとても大切です。できれば、取引契約書に報酬や料金を請求する際の源泉所得税の扱いについて、双方で事前に合意しておくことで、後のトラブルを予防できるでしょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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