マイナンバー制度の導入で、支払調書はどう変わるの?

平成28年からついに運用が始まったマイナンバーの制度。税の分野での導入にともない、企業が税務署に提出する支払調書の様式も変更になりました。支払調書を作成する際、どのような点に気を付ければよいのかを探ってみたいと思います。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- マイナンバーの導入で、支払調書の様式が変更に
- マイナンバーを収集する際は利用目的を明らかにして番号確認と本人確認をする
- マイナンバーが必要なのは、税務署に提出する支払調書のみ
マイナンバーのスタートで、支払調書の様式が変更に
2016年、社会保障、税、災害対策分野でマイナンバーの活用がスタート。事業者は、金銭等の支払等にかかる法定調書に、12桁のマイナンバー(個人番号)、あるいは、13桁の法人番号を記載することが必要となりました。
支払調書についても、すでに個人番号・法人番号を記載する欄ができた新しい様式の支払調書が国税庁HPで公開されています。また事業者がよく利用する報酬等の支払調書も、新様式のものに切り替える必要があります。
マイナンバーを収集する際の注意点
事業者は支払調書の発行のために、業務を委託して報酬を支払う相手のマイナンバーを取得する必要があり、また、委託を受けて報酬を受け取る側も、支払い元の企業にマイナンバーを提供する必要があります。ここで注意したいのが、マイナンバーの収集方法です。
マイナンバーを取得する際には、その利用目的を明確にして本人に通知することが義務付けられており、取得したマイナンバーは相手に対して通知した利用目的の範囲を超えて利用することはできません。また、マイナンバーの利用目的を通知した後に、新たに目的を追加できないという点も注意したいところ。収集する担当者は、税や健康保険の手続きなど、マイナンバーを利用する目的を包括的に明示して相手に伝えることが求められます。
さらに、収集の際には、提供してもらう相手の以下の2点の確認も必要です。
①番号の確認
正しいマイナンバーであることの証明を確認する
②身元の確認
提供者がそのマイナンバーの正しい持ち主であることの証明を確認する
これらの確認を、以下のような方法で行います。
マイナンバーカード(個人番号カード)の提示
マイナンバーを提供してもらう相手がマイナンバーカード(個人番号カード)を持っている場合は、カードに記載された情報から、マイナンバーと写真などにより本人確認ができます。
通知カードと住民票、免許証など各種書類の提示
マイナンバーを提供してもらう相手がマイナンバーカード(個人番号カード)を持っていない場合は、通知カードやマイナンバーの記載された住民票から番号を確認し、本人確認のため、運転免許証、パスポートなどの身元確認書類が必要となります。
マイナンバーを支払調書に記載する際に気をつけること
支払調書にマイナンバーを記載する際に気をつけなくてはならないことがあります。それは、税務署に提出する支払調書にはマイナンバーの記載が必要ですが、報酬を支払った相手に送付する支払調書には、マイナンバーの記載はできないということです。
本人へ書類を交付する際に、マイナンバー情報の漏えいや流出のリスクが高まることを考慮して、平成27年10月の所得税法施行規則等の改正で、従業員や報酬を支払った相手に送付する源泉徴収票や支払調書についてはマイナンバーは記載しないものとされました。くわしくは国税庁HPを参照してください。
支払調書については、報酬を受け取る側にも発送するかどうかは支払う側の任意となっていますが、もしも、相手に支払調書を発送するのであれば、上記したマイナンバーの記載についても注意しましょう。
個人情報漏えいのリスクの高さを考慮し、取り扱い、情報記載に関してさまざまな法律が定められているマイナンバー。支払調書の作成ひとつとっても、手間がかかりますが、個人情報をしっかり守るためにも、収集する側、提供する側がいずれもきちんとした手順を踏んで正しく情報を管理していくことが大切です。
マイナンバー制度は始まったばかり。それだけに、まだまだわかりにくい部分もあり、戸惑うところもあるかと思いますが、クラウドサービスなども適宜利用して、正しく活用していきましょう。
photo:Thinkstock / Getty Images