領収書はデータで保管できるの?

会社は営業年数が長くなればなるほど、保管する書類の量がどんどん増えていくことになります。得てして創業当初はこのことにあまり関心が及びませんが、数年経過したあたりから、領収書などの保管場所の確保に苦労するようになります。そこで今回は、領収書をデータ化して保管するための方法や手続きと、今後の法改正の動向について解説したいと思います。
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目次
- POINT
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- 領収書はデータで保管することができる
- 領収書をスキャナ保存する際の要件と事前の申請手続きに注意
- 2017年1月から、スマホやデジカメで領収書を取り込めるようになる予定
領収書をデータで保管することは許されるのか
領収書などの証憑書類については、原則として紙での保管が義務づけられています。ただ、これらの書類を長期間保管することになると、その保管コストが企業に重くのしかかってきます。領収書は法人税申告期限から7年間は保管しなければならないため、大量の書類を保管しておく場所を確保しなければなりません。
そこで、国がついに動きました。2005年にスキャナによる保存制度が導入され、領収書のうち「3万円未満のもの」については、スキャナで取り込んでデータとして保存することができるようになったのです。これにより、領収書の保管が飛躍的に改善すると期待されたのですが、そもそも領収書を金額別に分類すること自体が手間となってしまうことや、スキャナによる保存要件が厳格化されていたため、紙で保存する以上に大変な作業となってしまい、結果として領収書をデータ化して保存する方法はあまり浸透しませんでした。
また、この制度が導入された後も、領収書の紙による保管が大原則であることにかわりはなく、本制度を利用して領収書をスキャナ保存する場合は、スキャナ保存を始める日の3ヶ月前までに以下の書類を所轄税務署長宛に提出しなければなりません。
- 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書
- 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類
- 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理に関する事務手続きの概要を明らかにした書類
- 申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類
「領収書のスキャナ保存」が法的にも緩和へ
このように、一時は領収書のデータ化推進に走り出したかに見えたわけですが、上記のような理由から、その利用は思うように伸びませんでした。これを受け、2015年に電子帳簿保存法が改正され、主に次の点が緩和されました。
- 従来設定されていた「3万円」という基準が廃止され、金額を問わずスキャナ保存の対象となった
- スキャナで取り込む際の電子署名が廃止され、領収書の電子化が容易になった
これにより、2016年1月1日からは領収書の金額に関係なく、スキャナ保存による領収書の保管が可能になったのです。
スキャナ保存にさらなる追加緩和が
スキャナ保存については、2016年度においても税制改正がされており、さらに要件が緩和されました。
2016年度の改正の最大のポイントは、領収書の取り込み方法です。
従来までは原稿台と一体となっているスキャナで保存しなければ、スキャナ保存は認められませんでしたが、これではあまりに厳しいということで、今回の改正でスマホやデジカメのカメラで撮影したものについても認められました。
これにより、社員にこれらのツールを持たせれば、外出先で直接データ化することができるため、業務効率が飛躍的に向上することが期待され、領収書の電子化はさらに促進することが予想されます。
なお、この改正については2016年9月30日以降の申請から適用される予定です。
photo:Thinkstock / Getty Images