資金調達にお役立ち!? 事業主が知っておきたい公的助成金・補助金とは

昔から、経営者たちが頭を悩ませる問題が「資金繰り」。事業にはなにかとお金がかかるものですが、その思わぬ助けとなるかもしれないのが、公的な助成金や補助金制度です。今回はビジネスの役に立つ助成金・補助金の制度について探ってみたいと思います!
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目次
- POINT
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- 受給の要件があり、補助金は審査次第で受けられない場合も
- 窓口は、厚生省、地方自治体などさまざま
- 受けるメリットは高いが、「後払い」であることに注意
助成金・補助金 それぞれの違いとは?
助成金、補助金とは、一定の要件を満たしている事業主が受けることができる公的な支援金の制度です。受給するための要件など、それぞれ細かなところで違いがあり、通常、助成金と呼ばれるものは、要件を満たしていればおおよそ受給が可能、一方、補助金と呼ばれるものは、一定の審査を設けていることが多いです。
●助成金とは
助成金は、一定の要件を満たしていれば、原則として受給することが可能となります。代表的なものとしては、厚生労働省による雇用に関連した助成金などがあります。
●補助金とは
補助金は受給できる企業の数や金額に上限があるものが多く、要件を満たしていても受給できない場合があります。通常、補助金は公募期間を設けて審査という形をとることが多いので、受給を希望する企業は、定められた期間内に書類などを提出して、自社の取り組みの内容や意義、妥当性などを明確にすることが必要となります。代表的なものとしては、中小企業庁による創業をサポートする補助金などがあります。
ただし、助成金と補助金は、実際のところ、その違いを明確に区分されているわけではありません。「助成金」と呼ばれてはいても、要件を見ると「補助金」に近いというものもありますので、「助成金」「補助金」という名前だけで判断せず、受給を考えたときは、要件をきちんと確認することが大切です。
助成金・補助金にはどのようなものがあるの?
公的な助成金、補助金には、おもに以下のようなものがあります。
●「雇用」を重視した助成金
雇用の促進に関連した助成金は、厚生労働省が主に設けています。障害者や高齢者などの雇用を行ったり、あるいは離職した人を受け入れたり、また、パートや派遣社員のキャリアアップ支援など、職場環境の改善に取り組むことで受けることができる場合もあります。起業に際して積極的な雇用を考えている人は、ぜひチェックしておきましょう。
【こんな助成金があります】
- 障害者トライアル雇用奨励金
障害者を試行的・段階的に雇い入れた場合に受けられる助成金。 - 労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援/早期雇入れ支援)
離職を余儀なくされた人を早期に期間を定めずに雇い入れた場合に受けられる助成金。 - キャリアアップ助成金
パートや派遣など、いわゆる「非正規雇用」の人たちに向けて、正社員になる助成や職業訓練などの育成、健康診断の導入などの処遇改善を行った場合に受けられる助成金。
雇用に関する助成金についておもな窓口については「ハローワーク 地域名 窓口」などで検索してみてください。
●創業やサービス開発を助ける補助金
起業の促進や、中小企業の活躍、活性化などを目的とした補助金は、おもに中小企業庁や、地域の自治体などで募集をしています。これから、本格的な起業を考えている、あるいは起業したばかりでサービスの開発を考えているという事業主の方は、事業計画とあわせて補助金の申請を検討するのもよいでしょう。
【こんな補助金があります】
- 創業・第二創業促進補助金
新たに創業する人、既に行っている事業を見直したり、新たな事業に進出したりする「第二創業」を行う人を対象に、創業の経費を助成する補助金。 - ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金
中小企業・小規模事業者を対象に新しいサービスや試作品の開発の設備投資を助成する補助金。 - 小規模事業者補助金
小規模事業者が、商工会および商工会議所と協力して経営計画を作成し、それに基づいて実施する
創業に関する補助金のおもな窓口は「中小企業庁補助金等公募案内のページ」から参照することができます。応募期間や補助金の内容には各地方自治体によってさまざまなものがあります。
助成金、補助金は、地方自治体が独自に行っているものもありますが、各地域によって、ものづくり、地域ブランドの活性、地元企業の国際進出など支援する内容も多岐にわたっています。公的な助成金、補助金の受給を考えたときは、公募があるかどうか、起業した市町村の自治体のホームページを確かめてみるのもよいでしょう。
助成金、補助金探しには「助成金・補助金ヘッドライン(ミラサポ 未来の企業 応援サイト内)」が役立ちます。
助成金・補助金を受けるメリット・デメリットとは
助成金や補助金を受ける大きなメリットは、なんといっても返済義務がないこと。また、助成金、補助金を受けるということは、公的機関から「一定の基準を満たしている」という認定がもらえたことを意味します。そのため、企業としての信頼を高めたり、イメージの向上につながることもあるでしょう。
なお、受給するには時間と手間がかかることに留意しましょう。まず、助成金、補助金ともに種類や申請方法を調べて、申請のための書類をそろえなくてはいけません。また、補助金は審査があるので、それにのぞむために前もって入念な準備をしたり、要件を満たすことや場合によっては専門家の助けを借りたりと、相当な努力を要する可能性があります。
助成金も補助金も「後払い」
助成金、補助金の受給に際して一つ気をつけるべき点があります。これらは原則として「後払い」であることです。基本的には、
必要経費の出費→内訳を報告→助成金・補助金が支給される
という流れになります。
そのため、経費としてすぐに必要な現金が足りないからと言って、すぐに助成金、補助金を受給して賄うという活用の仕方はできません。ここは注意しておくべきところですね。
いかがでしたか? 手続きや審査などの手間がかかる場合もありますが、銀行からの借り入れ以外の選択肢として、この助成金、補助金の制度も心に留めておけば、資金が必要なときの大きな助けになるかもしれません。これらを活用したい人は、普段から地元の自治体の情報などを確認しておくとよいでしょう。
photo:Thinkstock / Getty Images