個人事業主や中小企業の事業計画に役立つ「3C分析」「SWOT分析」とは?

個人事業主やスモールビジネス事業者にとって「自身の課題を見つけ、解決策を見つける」ことはビジネスを継続的に成長させていくにあたり大事な仕事です。
今回は、思考を整理し自身のビジネスの展望を見つけるのに役立つ「フレームワーク」の中から、個人事業主やスモールビジネス事業者の課題解決に役立つ代表的なものを2つピックアップします。主な活用シーンや使い方のヒントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
- POINT
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- フレームワークとは、問題を解決するための「思考の枠組み」のこと
- 代表的な「3C」「SWOT」は戦略の立案や事業計画を強力にサポートする
- 目的に応じてこれらを使い分け、施策立案や改善などに活用しよう
フレームワークを使いこなそう
「フレームワーク」(戦略フレームワーク)とは、論理的思考のパターンを定型化し、標準化したもので、主にマーケティングの分野などで、事象を論理的に漏れなく、構造的に捉えることを容易にするツールとして活用されます。
これから紹介する各フレームワークを、実際のビジネスでの利用シーンで分類すると以下のようになります。
- 現状把握や競争力の分析:3C
- 現状把握と今後打ち出していくべき戦略の立案:SWOT
3C:顧客、自社、競合の関係から現状を把握するのに有効
3Cは、顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)の3つの視点から現状を把握するフレームワークです。
顧客の不満や不安などの課題を洗い出すことや、競合と比較した際の自身の競争力を把握し、戦略の妥当性を確認すること、新しいアイデアの立案などに役立てることができます。
それでは、具体的な活用事例について紹介していきましょう。
下記はとあるカフェを例にした3C分析の図です。
このように、3つの大きな視点から現場を見ることで、普段なかなか見えない自身のビジネスの現状、競争力、改善を要する点を把握できる点が3Cの良いところです。たとえば、この事例からは下記のような打ち手を考えることができるでしょう。
現状1
仕事場所としてのニーズが高く、ランチタイムを除けば利用客は男性がメイン
- 打ち手1:平日に仕事で利用するビジネスマン向けに、フリーのWi-Fiや電源を完備し利便性を上げつつ、混雑時は2時間制にして回転数を確保する。
- 打ち手2:打ち合わせスペースとしての「場所貸し」で客単価を上げる。
- 打ち手3:顧客の長時間利用による回転率の少なさをカバーするため、「コーヒーおかわりは半額」などの単価を上げるサービスを新設してみる。
現状2
ランチタイムは女性客の利用が多い
- 打ち手:競合店のメニューを分析し、スイーツをはじめとしたサイドメニューを開発し、単価を上げる。
SWOT:現状分析に加え、戦略の方向性を絞り込みたいときに有効
SWOTは、自身のビジネスの成否を左右する内部要因と外部要因を4つの象限(マトリクス)で分類し、今後打ち出していくべき戦略を考える際に有効なフレームワークです。
<内部要因>
- 強み(Strengths):競争力となる内部要因、今後伸ばしていくべき要素
- 弱み(Weaknesses):今後カバーしていくべき内部要因
<外部要因>
- 機会(Opportunities):今後のビジネス展開にあたりプラスに働くと予想される外部要因
- 脅威(Threats):今後のビジネス展開にあたりマイナスに働くと予想される外部要因
上記のように、複数の項目から現状をチェックすることで、これまでは見つけられなかった発見があったり、モヤモヤしていた思考を整理したりすることができます。
さっそく実例を挙げて紹介していきましょう。
下記では、フリーランスのプログラマー「Aさん」が案件の質の向上と売上のアップを目的にSWOTを洗い出しています。
<Aさんの内部要因>
- 強み(Strengths):アプリ開発に強い。セキュリティの領域に豊富な知見がある。
- 弱み(Weaknesses):知名度が低く、フリーランスのためヒト・モノ・カネも限られている。
<Aさんの外部要因>
- 機会(Opportunities):スマートフォンの普及による周辺ビジネスの拡大。
- 脅威(Threats):参入障壁が低い職種のため、競合が多い。
これらの要因を踏まえ、クロス分析を行って今後のビジネスの方向性を整理したのが下記の図です。
注目すべきは「強み×機会」の項目と、「弱み×脅威」の項目です。
このように、クロス分析することで「これから注力して行くべきビジネス」や「今後捨てていったほうが良い案件」がハッキリと見えてきますので、事業計画の見直しを考えている方や新たな戦略を打ち出したいと思っている方におすすめです。
1点、SWOT分析を行ううえで踏まえておきたいのは「事前に分析の目的を明確にしておくこと」です。「自社の売上を20%上げる」なのか、「既存サービスの利益率を10%改善する」なのか…それらによって「強み」や「弱み」は変動します。ですから、予め何を目的にSWOTを行うのか設定したうえで各項目の洗い出しを行うことが肝要と言えるでしょう。
これらのフレームワークを上手に活用することで、自分たちのビジネスが市場や競合とどのように関わっているのかを明らかにし、有効な施策を見つける助けになります。ぜひ、今後の戦略や方向性を見出したいときに活用してみてください。
photo:PIXTA