スモールビジネス(個人事業主、中小企業、起業家)の
業務や経営にまつわる疑問や課題をみんなで解決していく場
検索
メニュー
閉じる
ホーム 消費税 消費税│個人事業主が今すぐとるべき対策

消費税│個人事業主が今すぐとるべき対策

10%に引き上げられる見込みの消費税。「経費がかさむなあ」と嘆きたくもなりますが、個人事業主は受け取った消費税を税務署に支払う立場にもなり得えます。今回は、消費税を納めるときのルールを確認しながら、個人事業主がとるべき対応をまとめていきたいと思います。

お知らせ

2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!

POINT
  • 売上1,000万円以上で課税事業者となる
  • 簡易課税と本則課税の2種類がある
  • 簡易課税を選択すると2年間は変更できない

消費税の支払いが免除される場合とは?

消費者の立場ならば、消費税は支払えばそれで完結しますが、消費税を受け取った事業者はそれを税務署に納めなければなりません。事業者は、消費者が支払うべき消費税を先に預かって納付しているということです。

少しややこしいですが、売上げの消費税額から仕入れの消費税額を差し引いたものが納付税額になります。原材料販売から製造業者、卸売業者、小売業者と、各事業者が納付した消費税を合わせると、消費者が支払う消費税額が一致する仕組みになっているのです。

小規模事業者には消費税支払いの事務負担は大きくのしかかりますが、「小規模事業者の納税義務の免除」が認められており、2年前の課税売上高が1,000万円以下の個人事業主と法人であれば、その年の消費税の支払いは原則として免除されます。

納税義務があるかどうかを判断する基準は2年前の事業年度の売上となっており、例えば2014年の売り上げが1,000万円を超えた場合、2年後の2016年から課税事業者になります。

【参照】売上1,000万円を超えたら注意すべき、個人事業主の消費税処理のポイント

「簡易課税」を活用するメリット

ただし、売上げが1,000万円超の課税事業者でも、課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下であれば、「簡易課税制度」を活用することができます。

消費税の納付税額は通常、「(売上にかかった消費税)―(仕入にかかった消費税)」の計算を行わなければなりません。これでは、仕入にかかる消費税額を科目ごとに算出する必要があり、事務負担が大きなものになります。
そこで、「簡易課税制度」では、課税売上高に対してある一定の率(これを「みなし仕入率」と呼びます)を掛けることが認められており、これによって計算を簡略化することができます。

みなし仕入率は以下の6つに区分されています。

事業区分 みなし仕入率 該当する事業
第一種事業 90% 卸売業
第二種事業 80% 小売業
第三種事業 70% 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)(※※)
第四種事業 60% 飲食店業など(※)
第五種事業 50% 運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)
第六種事業 40% 不動産業

※ 第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業、第六種事業のいずれにも該当しない事業は第四種事業です。
※※2019年10月1日の消費税率10%導入後は第三種にある農業、林業、漁業のうち軽減税率適用分について第二種に引き上げられ、みなし仕入率80%になります
(平成30年度税制改正により、消費税の簡易課税制度について見直しがされました。なお、同日前における食用の農林水産物を生産する事業については、従来の第三種事業でみなし仕入れ率70%のままとなります。

2019年7月30日 スモビバ!編集部追記)

もし、仕入れなどに使うお金が少ない場合、簡易課税制度を使うことで税額が有利になる場合もあります。

手続きは、適用を受けようとする年の前年までに「消費税簡易課税制度選択届出手続」を持参もしくは郵送によって税務署に提出することで可能です。

【参照】消費税簡易課税制度選択届出書

ちなみに、簡易課税制度をやめて、実額による仕入税額の控除を行う場合には、やめようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することになります。ただし、最初に簡易課税制度を選択してから2年間は、この制度による申告が強制適用されるので、頭に入れておきましょう。

本則課税のメリットもある

みなし仕入率による仕入税額の控除を行う「簡易課税」に対して、実額による仕入税額の控除を行うのが「本則課税」です。
課税売上高が5,000万円超の事業者は、本則課税を適用しなければなりません。しかし、それ以外にも、簡易課税ではなく本則課税を行ったほうがよいケースがあります。

高額な設備投資などをしたり、消費税のかからない輸出取引をしたりした場合が、それにあたります。簡易課税では実際に支払った額にかかわらず、みなし仕入率を用いて計算することになります。上記のように消費税が還付される場合は、本則課税を行ったほうがよいでしょう。

また、繰り返しになりますが、「簡易課税」は一度選択すると、2年間は変更することができません。もし、先にあげたような消費税が還付されるような場合を想定するのであれば、最初から本則課税を選択しておいたほうがよいでしょう。具体的には、突然多額の設備投資が必要になる可能性が少しでもあれば「簡易課税」を選択することはリスクになりそうです。

課税事業者の条件を満たした場合は、「消費税課税事業者届出書」を速やかに税務署に提出しましょう。提出は持参でも郵送でもOKです。

【参照】消費税課税事業者届出書(基準期間用)

たとえ、今は課税事業者の条件を満たしていなくても、消費税について知ることは、税の仕組みについて知ることでもあります。また、なにかの機会で売上高が伸びる可能性は、どんなビジネスにもあるでしょう。

課税事業者になってから慌てなくてもよいように、消費税への対応は、普段からしっかりと考えておきましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

c_bnr_fltblue_online-2
閉じる
ページの先頭へ