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個人事業主が結婚した年のチェックポイント(公的手続き)

筆者は昨年末に結婚をしました。妻は会社勤めのいわゆる「夫婦共働き世帯」のため、配偶者控除・扶養控除といったものには該当しないのですが、社会保険のことなど、結婚したことで多少の変更点が生じました。そこで個人事業主が結婚した場合に生じる手続きや変更点についてまとめてみました。

POINT
  • 結婚したら「世帯合併」の手続きが必要となる
  • 国民健康保険は世帯合併後の「世帯主」に支払い義務が生じる
  • 「屋号(ペンネーム)」を使えば、旧姓のまま活動できる

結婚に必要な届出は婚姻・転入と”世帯合併”

結婚すれば、本籍を置く役所へ婚姻届を提出し、新たに2人で居を構える役所で転入の手続きを行います。そこで婚姻届が受理され、本籍地に2人の戸籍が置かれると、自動的に「本籍のある市町村」から「住民票を置いている市町村」にそのことが伝わります。

ここで注意が必要なのが「世帯合併」です。世帯合併とは、住民票上の住所にある”2つの世帯”を1つに合併する手続きのこと。役所で住民異動届を提出することで、世帯合併が完了します。世帯合併することで、住民票の配偶者の欄に「続柄:妻」と記載されます。

役所へ転入の手続きがある場合は、転入届を提出する際、一緒に世帯変更(世帯合併)の手続きができますが、すでに結婚前から同棲しているカップルの場合、世帯合併を忘れてしまうケースがあると聞きますのでご注意ください。

また、引っ越しを行うことで所管の税務署が変わる場合は、これら役所での手続きのほか、それまで管轄していた税務署と、新たに管轄となる税務署へ「所得税(消費税)の納税地の異動に関する届出書」を提出する必要がありますので、こちらもお忘れなく。

【参照】引っ越しした時の確定申告のやり方

結婚したら国保、年金、マイナンバーはどうなる?

さて、世帯合併でチェックしなければいけないのが「国民健康保険」です。
国民健康保険には「扶養」という概念がありません。しかし同じ世帯に入った配偶者の保険料の支払義務は、住民票上の「世帯主」に生じます。配偶者が国民健康保険に加入している(もしくは結婚を機に加入する)場合は、たとえ「共働き世帯」でも納税通知書は「世帯主」のほうに届くことになります。もちろん配偶者が会社の健康保険組合に加入していれば、特に手続きは必要ありません。

なお、同一世帯になることで、国民健康保険では医療費控除を合算することができるようになります。これは医療費控除が「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます」としているためです。医療費控除や配偶者控除・扶養控除については、以下の記事を参考にしてください。

【参照】医療費控除の確定申告方法と手順【税理士が解説!】

【参照】「所得控除」を活用して節税する方法

【参照】青色事業専従者給与と配偶者(特別)控除。節税効果の違いは?

国民年金については、配偶者が被扶養者になる場合、「被扶養者届」「国民年金第3号被保険者該当届」を提出しなければいけません。配偶者が第1号被保険者の場合も、住所・氏名の変更には手続きが必要となります。

もう1つ気になる公的な手続きが、マイナンバーです。
マイナンバーでは「情報に変更があった場合、14日以内に、市町村にて、通知カードまたはマイナンバーカード(個人番号カード)の記載内容を変更してもらう」としています。マイナンバー自体は結婚しても変わることがありませんが、住所・氏名が変わった場合は、こちらも忘れずに変更手続きを済ませておきましょう。

〈結婚・転居にともなう公的な手続き〉

□婚姻届⇒本籍を置く役所
□転入・転出届、世帯合併届(住民異動届)⇒住民登録をしている役所
所得税(消費税)の納税地の異動に関する届出書⇒管轄税務署
□国民年金・マイナンバー⇒住民登録をしている役所、管轄事務所

“新姓”に切り替わった年の確定申告

さて、私の場合は妻が私の籍に入ったため、私は同じ名字のまま、これまでのビジネスを継続することができます。しかしもし姓を変えて事業を続ける場合は、どんな手続きが必要なのでしょうか。ここに改めてまとめておきます。

〈氏名変更にともなう届出〉

□運転免許証・パスポート(各変更手続きに写真付き身分証明証が必要です)
□取引先への連絡(支払調書などが変更になります)
□個人事業の開業・廃業等届出書(氏名が変わったことも税務署に申請します)
□事業用銀行口座・クレジットカード
□事務所の公共料金(電気・ガス・水道・通信費)
□控除対象となる各種民間保険
□ネット通販等の登録名義(事業に使用し、領収書を発行している場合)

※このほか、新姓になってからは「領収書」の宛名が変わるので注意しましょう。

確定申告に関しては、年の終わりに入籍し変更手続きが済んでいないときなど、生命保険料控除の書類などが旧姓のままになっているケースがあります。その場合には、確定申告書の備考欄、もしくは、同封する文書に「○月○日入籍」と一文を添えるか、新姓になったことがわかる運転免許証の写しを添付することで、多くの税務署が旧姓のままでも受理してくれます。ただし、控除書類の再発行を求められたというケースもあると聞きますので、あらかじめ、管轄の税務署に確認しておきましょう。

旧姓のまま事業をしたいなら”屋号”を活用

とはいえ、せっかく取引先に名前を覚えてもらったのならば、新姓に切り替えてビジネスをしていくことに、いささか抵抗がある人も多いでしょう。日頃の取引先とのやりとりや、特に確定申告に支障が起こりそうです。

そこで活用したいのが「屋号(ペンネーム)」です。

旧姓での名前を屋号(ペンネーム)として使用すれば、ビジネス上のやりとりはこれまでと変わりません。一部、報酬振込先の銀行口座の名義が新姓のものに変わるときなど、取引先に伝えることはありますが、それ以外は特に大きな支障もなく、今まで通りのビジネスが継続できるはずです。実際に旧姓をペンネームとして活動しているフリーランスの方は、私の知り合いにもたくさんいます。ただし、確定申告時、還付金の振込口座と屋号が異なっていると混乱をきたしますから、この場合は、旧姓で事業を行っていることを通達しておく必要があります。

photo:Thinkstock / Getty Images

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