白色申告の収支内訳書(一般用)の書き方

収支内訳書とは、確定申告で白色申告を選択した方が提出する書類の一つ。個人事業主やフリーランスなどご自身で白色申告を作成される方に向けて、収入・売上原価・経費の記入方法や注意点など、収支内訳書の作り方をわかりやすく解説します。
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目次
- POINT
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- 急に事業を始めた人も大丈夫。帳簿を整えて申告の準備をしましょう。
- 収支の計算表の金額が内訳や明細の金額と一致しているかが重要
- 専従者(家族)が働いている場合の控除の取り扱いをしっかり理解しましょう。
収支内訳書とは ~青色申告でない事業者はこちらの書式~
忙しい日々、仕事も限られた時間の中で集中することが出来るのではないでしょうか。充実した毎日を過ごしたいですね。さて、今回は白色申告での収支内訳書の作り方を見ていきましょう。
白色申告を選択した事業者の方が、確定申告の際に提出する書類の一つが収支内訳書です。記入する内容は、一年間の収入、原価、人件費、家賃等やその他の費用を記載し、その年の事業に対しての所得金額(利益)を計算する用紙となります。
収支内訳書の作成では、青色申告の方が作成する青色申告決算書と違い決算時の財産状況を作成する箇所が、シンプルで簡単に作成しやすいところが一番の違いになります。
白色申告を選択した事業者というのは、青色申告をしない事業者のことをいいますが、特に事業を始められた際に何も届出を出されていない方、突然今年の途中から事業を始められた方などは白色申告の対象になります。
その中で、事業所得、不動産所得、山林所得のどれかに該当する事業を行っている方は収支内訳書への記載が必要になります。
内訳書の選択・基本情報の記入
収支内訳書ですが、表と裏に記載箇所があり、2枚での構成になっています。
タイトルの収支内訳書の隣にかっこ書きで、一般用、不動産所得用、農業所得用と種類が分かれていますので、自分の事業にあった書式を選んでください。
今回は一般用での書き方を説明します。
住所、氏名、電話番号、業種等の記載欄が、タイトルの下にありますので、まずはそこ(図の番号1)を埋めましょう。
収入・売上原価・経費の記入について
図の2~5の箇所を記入することが一番重要なポイントになります。
収入金額 番号2
その年の帳簿を元に、収入金額の欄に1年分の収入の合計を記入しましょう。家事消費というのは、飲食店などで発生する収入科目ですが、まかないなどで、事業主やお店のスタッフが消費した分を収入として計上します。
売上原価 番号3
- 今年の初めに存在した在庫(期首商品棚卸高)
- 今年仕入れた金額(仕入金額)
- 今年の末に残った在庫(期末商品棚卸高)
この3つを的確に金額を埋めることが重要になります。1)と2)を合計した金額から3)の金額を引いた額が、今年の売上原価となります。
今年元々あった在庫 + 今年仕入れた在庫 - 今年の残った在庫 =売上原価
経費 番号4
給料・賃金から下に続くそれぞれの費用項目に年間の費用額を記入しましょう。
項目ごとに分けて記載しなければいけないので、記入前に日々の帳簿がきちんとまとまっているか確認しましょう。その後、帳簿の費用の合計額を収支内訳書に転記します。初期設定でよくある費用科目が印字されていますが、そのどれにも当てはまらないような費用がありましたら、新しく費用科目を作成しても大丈夫です。
専従者控除 番号5
一緒にお住まいの配偶者の方や親族の方が、あなたの事業でのお仕事を主として、専属的にお勤めされている様な場合、事業主のみなさんが、これらの人に給与を支払うことがあります。これらの給与は原則として必要経費にはなりませんが、所得に基づいて一定額を事業専従者控除として、所得の計算上取り扱うことができます。
各項目の明細・内訳・計算について
これ以降の記入内容は、これまで記入した内容の詳細を記載します。書き方の注意点としては、内訳の合計額が、先に記入した科目の金額と合っているかチェックしましょう
給与賃金の内訳 番号6
従業員さんの名前、年齢、年間の給与額、賞与額、天引きした源泉所得税の金額を個別に記入します金額の大きい人から順番に書き、書ききらない場合はその他の箇所で合算します
※合計額が、先に記入した経費の給料賃金の額(番号4 11欄)と合っているか確認しましょう。
税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳 番号7
顧問税理士や、顧問弁護士などがいる場合は、お名前、住所と今年お支払いした金額、源泉徴収した金額を記入してください。
事業専従者の氏名等 番号8
今回の申告で事業専従者控除の対象として取り扱った専従者の方の名前、続柄、従事月数を記入します。
売上(収入)金額の明細 番号9
得意先の名前、住所、年間の収入金額を記入します。取引金額の大きな得意先から順番に記入しましょう。
※合計額が、先に記入した収入の額(番号2 1欄)と合っているか確認しましょう。
仕入金額の明細 番号10
仕入先の名前、住所、年間の収入金額を記入します。 取引金額の大きな得意先から順番に記入しましょう。
※合計額が、先に記入した仕入金額(番号2 6欄)と合っているか確認しましょう
減価償却の計算 番号11
減価償却をしている固定資産がありましたら詳細を記入します。
※本年分の必要経費算入額が、先に記入した減価償却費(番号4 13欄)と合っているか確認しましょう
地代家賃の内訳 番号12
地代家賃を支払っている相手先の住所・氏名・賃借物件の内容、金額をご記入します 取引額の大きな、主要な取引分を優先して記入してください。
※その内、事業に対しての経費として扱われる金額を、必要経費算入額へ記入してください。
利子割引料の内訳(金融機関を除く) 番号13
銀行等の融資以外で、資金を借り入れている場合で返済と共に利息をお支払いしている場合は、支払い相手の住所・氏名、期末の借入残高、今年の利子の金額の合計額を記入します。
※そのうち、事業に対しての経費として扱われる金額を、必要経費算入額へ記入してください。
本年中における特殊事項 番号14
こちらには、例えば例年と違う新しい事業を始めたなど、例年と比べて大きな変化が起きた場合や、今年だけイレギュラーで起こった出来事など伝えておきたい事項がありましたら、任意で記入してください。
※絶対に記入しなければいけない事項が決められている訳ではありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
収支内訳書は、比較的小規模な事業主の方が利用されるケースがほとんどだと思います。そのためか期限ギリギリでの申告になっても間に合う可能性が高いです。
日々、帳簿の作成をしておくことで、収支内訳書の作成もスムーズになります。収支内訳書を作成することで専従者控除などの有利な控除も受けられますので、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
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