確定申告で還付金を受け取る方法

戻ってくると少し得した気分になる還付金。源泉徴収されていることが多い個人事業主にはおなじみの制度ですね。ただ、本来なら戻ってくるべき還付金の申告を忘れていることも?ここではサラリーマンの場合も含めて還付金を受け取る条件について、まとめてみました。
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目次
- POINT
-
- 源泉徴収されている人は還付金が発生する可能性有
- 医療費、住宅ローンなどの所得控除があれば戻ってくる
- 所得控除を受けるには控除証明書が必要になる
還付金につきものの源泉徴収とは
還付金とは、納め過ぎた税金を還元する仕組みですね。確定申告を行うことにより”納め過ぎ”があれば、その分が戻ってきます。
まずは還付金につきものの源泉徴収について、再確認しておきましょう。個人事業主が報酬を受け取る場合、総額から10.21%があらかじめ源泉徴収されていることが多いと思います(報酬が100万円超の場合は計算式が変わります)。
たとえば報酬10万円の仕事で源泉徴収された場合、クライアントからは8万9,790円が振り込まれているはずです。残りの1万210円はクライアントが税務署へ納めています。所得税の徴収漏れを防ぐために、前もって納税しているのが源泉徴収という制度ですね。
この源泉徴収時には必要経費や所得控除が見込まれていません。確定申告時に必要経費を計上したり、所得控除の適用を受けたりすれば「税金を納めすぎていた」というケースが発生するわけです。それを戻してもらうのが還付金です。まずありませんが、逆に源泉徴収分で足りないときは不足を追加で払うことになります。
源泉徴収税額-(その年の所得税+復興所得税)=還付金
という図式ですね。
はその年の年末調整によって戻ってきます。
所得控除の申告を忘れずに!
還付金に大きく関係してくる所得控除には以下のような種類があります。
雑損控除 | 地震や火事、盗難などで損害があった場合 |
---|---|
医療費控除(※1) | 家族と合わせ年間10万円超の医療費を支払った場合 |
社会保険料控除 | 年金や健康保険で支払った分全額 |
小規模企業共済等掛金控除 | 個人事業主の退職金の積み立て分全額 |
生命保険料控除 | 生命保険などの契約がある場合 |
地震保険料控除 | 地震保険の契約がある場合 |
寄附金控除 | ふるさと納税も含め、寄付をした場合 |
寡婦(寡夫)控除 | 配偶者と死別・離別している場合など |
勤労学生控除 | 働きながら特定の学校に通っている場合 |
障害者控除 | 本人、家族に該当する障害がある場合 |
配偶者(特別)控除(※2) | 配偶者の収入がない(少ない)場合 |
扶養控除 | 配偶者以外に扶養親族がいる場合 |
所得控除は自分で申告しなければ適用されません。社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除を申告し忘れている人はまずいないとは思います。年金や健康保険料として支払った分は、全額が所得控除の対象となるので、これを申告しないと大損です。以下、見落としがちなケースを挙げてみます。
【参考記事】あらためて押さえておきたい所得控除一覧
1年間の医療費が家族と合わせて10万円を超えた場合
家族の分も含めて、病院の診察代、薬代のほか、ドラッグストアで購入した風邪薬、病院に行くための交通費も計上してよいことになっています。総所得が200万円以上の場合は、10万円を超える分が医療費控除の対象です。総所得200万円未満の場合は、かかった医療費が総所得の5%を超えた分が対象です。
(※1)平成28年度税制改正による「医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)」と平成29年度税制改正により平成29年(2017年)分から医療費控除の確定申告の方法が変更されております。
記事「セルフメディケーション・医療費控除の明細書の書き方」 もあわせてご覧ください。
(2017年12月13日 『スモビバ!』編集部追記)
ふるさと納税などで寄付をした場合
人気のふるさと納税を利用した場合、個人事業主は、寄附金控除の申請が必要です。
サラリーマンはワンストップ特例制度を使えば、2015年(平成27年)4月以降分からは、5自治体までは確定申告が不要になりました。ただし、ワンストップ特例制度を選択していても、ほかの控除があるなど、所得税の確定申告が必要な場合は、確定申告をしないと適用されないので注意が必要です。
【参照】ふるさと納税トピックス(総務省)
住宅ローンを組んだ場合
住宅ローンを組んだ人は税額控除を受けられる場合があります。
株やFXで損をした場合
あまりうれしくないケースですが、特定口座の取引では源泉徴収されているので、年間で損失が出た場合は申告した方がお得です。
サラリーマンでも上記のいずれかに該当する場合、確定申告を行うことで還付金を受け取れる可能性があります。ただし、年末調整のときに控除を受けていないものに限ります。
【参考記事】個人事業主のための、住宅ローン控除を受ける方法
所得控除を受けるために控除証明書を集めておく
源泉徴収額は、取引先から送られてくる支払調書で確認しましょう。支払調書に送付義務はないため、もし支払調書が届かない場合は自分で源泉徴収額を計算することになります。
【参考記事】支払調書が来ない、届かない。確定申告できない!?
さらに所得控除を受けるためには、対応する控除証明書が必要です。
医療費控除の場合は、診察代や薬代のレシート、領収書ですね。これは自分で集めておく必要があります。年金や健康保険、生命保険などの証明書は、毎年郵送されて届きます。ふるさと納税の場合は、寄付をした自治体が寄附金控除証明書を発行してくれ、これも郵送されます。もしこれらの証明書をなくしてしまった場合は、関係する団体に連絡して再発行してもらいましょう。
所得控除の申告漏れがあった場合は、確定申告してから5年以内であれば(平成23年分以降)、更正の請求が可能です。
この機会に過去の確定申告をもう一度振り返って、所得控除の申告をし忘れていないか確認してもいいでしょう。
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(※2)【平成30年(2018年)3月30日 追記】
平成29年度税制改正により、平成30年(2018年)から配偶者控除(所得控除)38万円の対象となる配偶者の給与収入の上限が、103万円(合計所得金額38万円)から150万円(合計所得金額85万円)に引き上げられました。
配偶者控除等の適用される納税者本人に新たな収入制限が設けられ、給与収入1,120万円(合計所得金額900万円)を超える場合には、控除額が逓減・消失する仕組みになります。
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