確定申告をラクにするために、今やっておきたいこと

「師走」というだけあって、あっという間に過ぎるのが12月です。また、年明けも仕事始めを迎えるとバタバタします。来たる確定申告の資料作りを少しでもラクに行うために、今から準備できることを今回はご紹介したいと思います。備えあれば憂いなし。今から少しずつ取り組んでおきましょう!
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目次
- POINT
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- 預金出納帳を作成しておく
- 事業用の銀行口座とカードは一つに
- 現金出納帳を作成しておく
銀行通帳に記載された内容を書き写す
確定申告時の作業をラクにするためには、帳簿作りを少しでも進めておくことです。まずは、業務に使っている銀行通帳の数字を、帳簿に書き写していくことから始めましょう。この帳簿を「預金出納帳」と呼びます。
以下が、数年前の私の実際の「預金出納帳」です。
【やよいの青色申告の[預金出納帳]画面より】
「引出金額」の上から見ていくと、まず「3620円」が引き落とされています。これは、執筆資料に使う新聞代の引き落としです。ですので、勘定科目には「新聞図書費」、補助科目には「新聞」と記入して、経費として計上しています。
さらにその下には「クレジットカード」からの引き落としが記録されています。同じ記載が別のところにもありますね。これは事業用に2枚のクレジットカードを使っているということです。クレジットカードのやりとりは「未払金」として処理します。
「預入金額」を上から見ていくと、まず「119円」の利息が振り込まれています。これは、事業以外の収入ですから、勘定科目には「事業主借」、補助科目には「事業資金」と記入します。
あとは日刊紙で書いた食事相談の原稿や、週刊誌で書いた原稿へのギャラが振り込まれています。これは売上げなので「売掛金」として処理していきます。
このように、仕訳を行いながら、銀行口座でのやり取りを書き写しておくと、確定申告の資料作りはラクになります。今から少しずつ進めておくとよいでしょう。
銀行口座やクレジットカードの環境を整理する
勘定科目についての詳しいことは、今回は割愛しますが、もし今の段階ではよく分からないという人も、「銀行通帳でのやりとりを転記しなければならない」ということは、覚えておいてください。
これはつまり「事業で使う銀行口座は一つにしておくとラク」ということです。それも立派な準備です。プライベートで使う口座と別にしておくと、さらによいでしょう。
ただし、例外的に、あえて2つの銀行口座を使う人もいます。それは「入金(売上)用の銀行口座」と「出金(経費)用の銀行口座」に分けるというやり方です。確かにそうすると、帳簿をつけるのが、さらに楽になりそうです。このように意図的に複数の口座を使うのではなく、なんとなく分けていると、記帳が大変になるだけですので、気をつけましょう。
また、同じ理由から、事業用に使うクレジットカードは1枚にしたほうが帳簿はラクです。上記の例では2枚になっているため、1ヶ月に2回記入するという手間が発生しています。そんな反省から、現在では事業の経費を支払うときのクレジットカードは1枚に決めています。
さらに、注意したいのが、クレジットカードでの支払いです。上記のように口座では、1ヶ月で使用した額がまとめて引き落とされることになりますが、経費にするには、今度は「未払い帳」にそれぞれ何に使ったのかを明らかにしなければなりません。
そのため、クレジットカードの明細は毎月分必要になります。手元になければ再発行の依頼をしておくと、あとで余裕を持って資料作りを行えるでしょう。
領収書を整理して現金のやりとりを記録
「預金出納帳」以外に、事業用のお金がどう動いたかを記載する帳簿があります。それが「現金出納帳」です。口座上の動きは「預金出納帳」に、実際のお金のやりとりは「現金出納帳」に記載していきます。
銀行口座で事業用のやりとりを行うと、その証が当然、通帳に残ることになります。しかし、現金の場合は残りません。随時、領収書を発行してもらい、それを「現金出納帳」へと記載していかなければなりません。
ということは、いかに領収書が普段から整理されているかが、ポイントになります。私は「交通費」「新聞図書費」といった具合に勘定科目ごとに領収書を分けて、それぞれクリップで止めています。領収書がたくさんある場合は、勘定科目ごとに封筒やファイルを用意して、領収書を分けていく方法もよいでしょう。さらに、領収書を時系列順にしておくと、帳簿をつけるうえではかなりラクになります。
時系列に分類までしたならば、1ヶ月に1回、帳簿をつけておくのがベストです。しかし、それができれば苦労しないわけで、毎回、確定申告のたびに「これからは毎月帳簿をこまめにつけよう」と決意しては、ゴールデンウィーク明けには、もう続かなくなっているものです(笑)。個人事業主は日々の仕事に忙殺されがちですから、無理もありません。
最近は、下記のような日常の取引データを自動的に仕訳してくれるという、便利なサービスもあります。
こういったものを活用するのも選択肢の一つですね。会計作業にとられる時間を業務にあてられれば、さらに売上げを伸ばすこともできるわけですから……。
どんな実務も最初は厄介でも慣れていくもの。どんな方法を取るにしても、自分のフォームを作って、習慣化してしまうことが大切なのかもしれません。
ストレスフリー、とまではいかなくても、なるべく負担の少ない会計を目指しましょう!
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