小規模事業者やスタートアップにも必要なマイナンバー対策

いよいよ始まったマイナンバー制度。番号の取得や管理などマイナンバーに関するさまざまなルールが定められています。それなりの人数がいる会社にスポットが当てられがちですが、従業員が2人しかいないような小規模な会社やスタートアップ企業ではどのように取り扱えば良いのでしょうか? 最低限知っておくべきことを見ていきましょう。
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目次
- POINT
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- 従業員100名以下の会社ではマイナンバーの管理には特例がある
- 2人しかいないような小規模事業者でも、外部への漏えい対策する必要がある
- マイナンバーは法定の保管期限を超えて保管しない
小規模事業者のマイナンバーの管理の特例
マイナンバーは、「社会保障・税番号」とも呼ばれるように、個人の税金や年金などと紐づけられる重要な情報です。従業員の社会保険や所得税関連の業務のためにマイナンバーを取り扱っていく中で、情報漏えいを防ぐためにしっかりした対策を立てる必要があります。これは会社規模にかかわらず必須です。
ただ、従業員が2人しかいないような小規模な会社で、大企業と同じような管理体制を求めることは現実的ではありません。そのため、従業員の数が100人以下の中小規模事業者については、一定の特例が認められています。
例えば、社内におけるマイナンバーの取扱規程は原則義務となっていますが、中小規模事業者については、取扱い方法をマニュアル化するなどの対応をとればよいことになっています。また、退職者などのマイナンバーを廃棄・削除する場合も原則として記録保存義務がありますが、中小規模事業者については、責任者が確認する形も認められています。
ただし、この特例には以下の者には適用されません。
- 委託に基づいて個人番号関係事務又は個人番号利用事務を業務として行う事業者(税理士事務所や社会保険労務士事務所など)
- 金融分野の事業者
これらに該当する場合は、例え従業員が2名でも大手並の管理体制を整える必要があります。
自社管理する際の注意点
大企業であれば、大手セキュリティー会社に管理を委託するなど、漏えいに対する対策にそれなりのコストや人員を充てることができるでしょう。しかし、小さな会社ではそうはいきません。自社で管理する場合がほとんどだと思います。
最低限、対策しておきたいのが情報漏えい対策です。
会社のパソコンに不正アクセスされて、情報が抜き出されるということも考えられますが、最も気を付けなければならないのは、ヒューマンエラーです。
例えば、マイナンバーが書かれた書類を机の上に置いておいたため、来客に見られたような場合も漏えいになります。マイナンバーは税務署やハローワークなど行政手続き以外にはいかなる場合でも使用したり、見られたりしてはいけません。
たとえ2人しかいない会社でも、いつ社外の人の目に触れるかは分かりません。マイナンバーが記載された書類は鍵付きのキャビネットや金庫に保管し、マイナンバーが確認できる電子データはパスワードをかけて、決められた管理責任者のみアクセスできるようにするなどの対策が必要です。
マイナンバーは必要がある場合だけ保管が可能、必要がなくなったら廃棄
マイナンバーは源泉徴収事務や社会保険関係などに使用しますが、従業員が退職すれば会社にとってはマイナンバー自体を保管する必要はなくなります。そうした場合は、電子データについてはすぐに削除したほうがよいでしょう。
ただし、マイナンバーが記載された法定の書類については、保管期限が別途定められているので、そちらの保管期限に従う必要があります。
例えば、扶養控除申告書は7年間の保管義務が課されていますので、その期間は先ほどの方法と同様、漏えいを防ぐため厳重に保管する必要があります。
とはいえ、マイナンバーが書かれている以上、この期間を超えて会社の手元に置いておくのは管理上も非常に負担がかかります。法定の保管期限が過ぎたら廃棄したほうがよいでしょう。廃棄については、シュレッダーなど復元不可能な方法で廃棄する必要がありますが、分量が多ければマイナンバーの廃棄にも対応可能な業者の溶解処理を利用するのもよいでしょう。
photo:Thinkstock / Getty Images