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医療費控除の確定申告方法と手順【税理士が解説!】

医療費控除の話となると、『10万円を超えた分が戻ってくる』というフレーズを耳にすると思います。でも、例えば医療費が15万円かかったからと言って10万円を超えた分の5万円が戻ってくるわけではありません。今回は、医療費控除の具体的な計算方法や確定申告書への記入の仕方について説明します。

※平成28年度税制改正による「医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)」と平成29年度税制改正により平成29年(2017年)分から医療費控除の確定申告の方法が変更されております。
従来の医療費控除・セルフメディケーション税制ともに領収書の添付が不要となり、代わりに「医療費控除の明細書」を作成して添付することになりました。
記事「セルフメディケーション・医療費控除の明細書の書き方」もあわせてご覧ください。(2017年12月13日 執筆者:宮原先生監修のうえ、『スモビバ!』編集部追記)

POINT
  • 医療費控除には「医療費控除の明細書」を作成して添付
  • 医療費控除の足きりは10万円とは限らない
  • 10万円超えた分がまるまる戻ってくるわけではない

医療費控除の申告に必要なもの

医療費控除の適用を受けるためには、支払った医療費の領収書の原本(※)を確定申告書に添付する必要があります。日ごろから領収書等は無くさないように取っておくようにしましょう。
さらに、白内障などで治療用の眼鏡の購入する場合や、寝たきり状態でおむつの使用が必要な場合などは、処方箋や証明書などの添付も必要ですのでご注意ください。

なお、給付金を受ける場合などで、他の機関に領収書の原本が必要なときは、税務署へその旨を伝えて原本を提示して確認を受けて、返却してもらうことができます。
また、電子申告の場合には医療費の明細を入力することで添付を省略することができますが、このときは本人が5年間保存しておく必要がありますのでご注意ください。

※平成29年度税制改正により平成29年(2017年)分から医療費控除の確定申告の方法が変更されております。
従来の医療費控除・セルフメディケーション税制ともに領収書の添付が不要となり、代わりに「医療費控除の明細書」を作成して添付することになりました。

もし、税務署長等から当該適用にかかる一定の医療費の領収書または医薬品購入費の領収書の提示、あるいは提出が求められた場合は、原則としてこれに応じる必要があります。
これら一定の領収書等の提出などが求められるのは、確定申告期限等から5年間とされていますので、この間は領収書等もあわせて保存しておきましょう。

記事「セルフメディケーション・医療費控除の明細書の書き方」もあわせてご覧ください。(2017年12月13日 執筆者:宮原先生監修のうえ、『スモビバ!』編集部追記)

医療費控除の計算

では簡単な例をもとに具体的な医療費控除の計算を見ていきましょう。

設例:
事業所得:500万円
各種所得控除は基礎控除のみ。所得2400万円以下なので48万円
支払った医療費は20万円だった
生命保険から5万円の給付金が支払われた

医療費控除の計算は、次の算式で計算されます。

医療費控除の金額=(支払った医療費-補てんされる金額)-足きり金額
※ただし、最高200万円

算式中の、支払った医療費で対象となるものや補てんされる金額については、「医療費控除とは何か?」の記事で説明しています。

医療費控除には、最低限本人が負担すべきものとして一定水準の足きり金額があります。『10万円を超えたら』と言われるのはこのことなのですが、実は所得の少ない人についてはこの足きり金額が少なくなるような計算になっています。

足きり金額は、「所得金額の合計額×0.05」で計算し、10万円を超えるときは10万円どまりとなります。この「所得金額の合計額」は、確定申告書Bの様式では所得金額の合計欄9の金額となります(*)。
ただし、退職所得や山林所得、分離課税の所得金額がある場合はその金額も加算しますので税務署等へご確認ください。

この例では、事業所得500万円のみですので所得金額の合計額は500万円となり、足きり金額は500万円×0.05=25万円>10万円なので10万円となります。よく聞く『10万円』ですね。

所得金額

さて、医療費控除の金額は、

(支払った医療費20万円-補てんされる金額5万円)-足きり金額10万円=5万円

となります。

この計算は、医療費の領収書を入れる封筒になっている『医療費の明細書』の計算欄の手順に従って記入していくと楽に計算できますよ。

なお、医療費の明細書は「医療を受けた人、その続柄」、「病院・薬局などの所在地・名称」、「医療費の内訳(内容と金額)」、「補てんされる金額」を個別に記入する様式になっています。

しかし、すべてを個別に書くのは大変ですから、金額が大きなものを書いた後は人ごとにまとめて「その他」などと記載しても構いません。場合によってはエクセルなどで一覧を作り、「別紙明細」として封筒に入れておくのもよいですね。

医療費の領収書は計算をまとめたものごとに束ねて入れますが、税務署の封筒は小さいですから入りきらないことも多いです。大きい封筒を用意して、表面に医療費の明細書を貼り付けておく形でもよいです。

医療費の明細書

確定申告書Bでは、第二表の医療費控除11の欄に医療費などの金額を、第一表の医療費控除11の欄に計算した医療費控除の金額を記入します。

確定申告書

医療費控除でどのくらい税金が変わるのか?

さて、この医療費控除ですが、冒頭でもお話ししたとおり、10万円を超えたからと言ってその分の税金が減るわけではありません。

税金を減らすことができる制度には、税額そのものを減らす「税額控除」と、税金の対象になる所得を減らす「所得控除」とがあり、医療費控除は所得控除のひとつとなります。

今回の例でいうと、医療費控除は5万円と計算されましたが、税額が5万円減るのではなく、税率をかける対象の所得が5万円減るというわけです。

では所得が減ることによって税額がいくら減るのかというと、所得税は所得が増えるほど税率も上がっていく仕組みになっていますから、確定申告する人の所得によって変わってきます。
この例の税金の対象になる所得は457万円で所得税の税率は20%、住民税は一律10%となりますから、医療費控除5万円の20%である所得税1万円と、10%である住民税5千円のあわせて1万5千円が減る税金となるのです。国民健康保険などで所得を基に計算されるものにも影響してきますね。

この課税される所得金額がいくらかで税率が変わる

「医療費控除の確定申告方法と手順」まとめ

いかがでしたでしょうか。医療費控除の話をしていると、『せっかく領収書を集めて電卓を叩いたのに10万円いかなかったよ』なんて愚痴を聞いたりすることもありますが、あくまでもかかってしまった医療費の負担への配慮として医療費控除があるのです。

個人事業主のみなさんでしたら、健康で医療費控除が使えないくらいの方がよいですよね。

(*)2014年(平成26年)分所得税確定申告書の様式を使用(編集部注)

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