青色申告会とは?入会するメリット・デメリットについて解説

2024/01/18更新

この記事の監修齋藤一生(税理士)

個人事業主として事業を営む中で「青色申告のやり方」や「記帳の方法」に悩んだことがある人もいるのではないでしょうか。そういう場合の強い味方となるのが「青色申告会」です。

本記事では、青色申告のサポートをしてくれる青色申告会について、メリットとデメリット、加入方法などを詳しく紹介します。青色申告に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

青色申告会とは、正しい申告・納税をすすめる団体

青色申告会は、主に個人事業主を対象とした納税者団体です。各地域の税務署ごとに組織されていて、個人事業主の正しい申告と納税のために活動を行っています。

なお、関西地域には、「納税協会」と呼ばれる同様の目的のもとで結成された団体があります。地域によって具体的な名称や活動内容は異なるものの、個人事業主の青色申告をサポートし、正しい申告と納税を推進するという目的に変わりはありません。

青色申告は確定申告の方法のひとつ

青色申告は、確定申告の方法のひとつです。事前に税務署長の承認を得たうえで、一定の要件を満たす形式で記帳された帳簿をもとに税金の計算を行い、申告と納税をします。

青色申告には法人と個人の両方がありますが、青色申告会では個人事業主の青色申告をサポートしています。個人事業主が青色申告をしたい場合は、原則として申告したい年(確定申告の対象年)の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書新規タブで開く」を管轄の税務署に提出しなければいけません。

所得税の青色申告承認申請書

その年の1月16日以後に開業して事業を開始したり、不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2か月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば開業年から青色申告ができます。また、確定申告時には、所得税の確定申告書と併せて「所得税青色申告決算書新規タブで開く」を提出します。

所得税青色申告決算書

所得税青色申告決算書
国税庁「所得税の確定申告新規タブで開く

なお、所得税の青色申告承認申請書を提出していない個人事業主は自動的に白色申告となり、青色申告決算書の代わりに「収支内訳書」を提出します。

収支内訳書(一般用)

収支内訳書(一般用)
国税庁「所得税の確定申告新規タブで開く

青色申告と白色申告のどちらを選択するかは、事業主の自由です。しかし、青色申告をすることで、個人事業主は「最大65万円の青色申告特別控除」「青色事業専従者給与」「純損失の繰越控除と繰戻し還付」「少額減価償却資産の特例」などといった青色申告のメリットを得られます。

青色申告についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

青色申告会に加入するメリット

青色申告会に加入することで、個人事業主は多くのメリットを得られます。青色申告のやり方や方法に不安や疑問を感じている人、他の事業者とのつながりを広げていきたい方は、青色申告会への加入を検討してみましょう。

青色申告に関する相談ができる

青色申告会に加入する一番のメリットは、青色申告に関する相談ができる点です。青色申告会では、青色申告の個別相談を受け付けています。

「仕訳の方法がわからない」「こういうときはどうやって処理すればいいんだろう」といった悩みや不明点を一人で解消しようとすると、莫大な時間を要するうえ、結局正しい答えが見つからないこともあります。青色申告会では、個人の記帳や確定申告の相談に乗ってもらえるため、正しい申告を行うことができるのです。

青色申告会はあくまでも青色申告会の会員に対して、記帳から決算・申告までのサポート・相談に乗ってくれる場所ですが、記帳の代行などは行っていません。青色申告の正しい進め方を教わって、自分で記帳と申告を行います。

研修会がある

青色申告会では、複式簿記の記帳の仕方や確定申告の方法などに関する研修会を開催しています。また、税金に関する法律が変わった際も、必要に応じて研修会が開催されます。e-Taxの利用に関するサポートも行っているため、「e-Taxのやり方がわからない」といった事業者にとっても便利です。具体的な研修会の内容や開催頻度などは、それぞれの地域の青色申告会によって異なります。管轄の地域の青色申告会で確認が必要です。

なお、青色申告会では、青色申告に関連するソフトウェアの利用を推進しています。これらの会計ソフトを利用して確定申告をしたい場合も、青色申告会でサポートを受けられます。一方で、青色申告会で推進していない会計ソフトを使っている事業者は、ソフトの細かい使い方といったサポートを受けることはできません。青色申告会によっては、地域独自の会計ソフトの提供やサポートを行っているところもありますから、まずは確認してみましょう。

融資の相談ができる

青色申告会では、日本政策金融公庫や地域の金融機関などによる事業者向けの低金利融資の紹介も行っています。事業を行ううえで、資金繰りは非常に重要なポイントのひとつです。キャッシュ不足に陥らないためにも、余裕のある資金を持っておくことが大切です。自分に利用できる制度があるか知りたいといった、気軽な相談もできます。

異業種交流ができる

青色申告会には、同じ地域で事業を行っているさまざまな業種の個人事業主が参加しています。研修会や懇親会に参加することで、地域の事業者たちとのつながりを持つことができるでしょう。個人事業主ならではの悩みを分かち合い、励まし合えるだけでなく、交流から新たなビジネスが生まれる可能性もあります。

また、青色申告会では、知名度向上を目的としたイベントの開催や、サークル活動なども行っています。このような活動に参加する中で、個人事業主として独立を目指すフレッシュな人材に出会って刺激をもらったり、青色申告会の知名度アップに貢献してやりがいを感じたりもできるでしょう。

共済などの福利厚生がある

青色申告会には、会員向けの「青色共済」という共済制度があります。青色共済は、月額1,000円の掛金で、死亡や高度障害、入院などに備えられる共済制度です。加入にあたって医師の診察を受ける必要はなく、地震や天災が原因の障害や死亡であっても保障を受けられます。

青色共済の会費は、全額を経費として計上できます。通常は、一般的な民間保険やその他の共済の掛け金を経費にすることはできませんから、この点も、青色申告会と青色共済の大きなメリットだといえるでしょう。

その他、青色申告会が主催する青色ドックの利用や、地域のレジャー施設の優待、会員向け機関誌「BLUE RETURN 青色申告」など、さまざまな福利厚生制度や特典を利用できます。なお、青色申告会では小規模企業共済の受付も行っていますが、小規模企業共済は青色申告会の会員でなくても加入が可能です。

税理士・弁護士などの専門家に相談できる

青色申告会では、税理士や弁護士などの専門家に経営相談をすることもできます。経営に詳しい会員に相談を行ったり、地域の税理士や弁護士を紹介してもらったりすることも可能です。ただし、本格的に業務を依頼する場合は、別途費用がかかります。

青色申告会に加入するデメリット

個人事業主にとって多くのメリットがある青色申告会ですが、デメリットもあります。加入するかどうか検討する際に留意しておきたい、2つのデメリットを見ていきましょう。

入会費・月会費がかかる

青色申告会に参加するためには、入会費や会費がかかります。具体的な費用はそれぞれの地域の青色申告会ごとに定められているため、個別に確認が必要です。

一例として、渋谷青色申告会の入会金は1,000円、月会費は1,500円です。品川青色申告会の入会金は1,000円、月会費は2,000円です。この金額をどうとらえるかは事業主次第ですが、一般的な税理士などに決算と確定申告の代行を依頼するよりは、コストを抑えられます。

費用面に関しては、青色申告会の入会金や会費は事業に係る必要な費用として、経費に計上できます。「諸会費」の勘定科目で計上することが一般的です。経費に計上できますので、デメリットとも言い難くなりますね。

なお、青色申告会には、賛助会員という会費を抑えた会員制度もありますが、賛助会員は決算や記帳のサポートが受けられません。一般的な青色申告事業者が青色申告会の会員になるのであれば、正会員を選ぶのがおすすめです。

詳しい相談はできない

青色申告会は、税理士など専門家の集まりではなく、青色申告をおこなう個人事業者による個人事業者のための納税者団体です。そのため、青色申告会では、一般的に税務や確定申告に関する一般的な相談しか受けられません。個別の特殊な事情を踏まえた仕訳や申告に関する相談は対象外です。あくまでも「仕訳のルール」や「申告のルール」「e-Taxの方法」といった、青色申告に関する基本的な知識を教えてもらえる場で、顧問税理士への具体的な相談とは異なるということを踏まえて利用しましょう。

青色申告会の入会方法

青色申告会は、青色申告事業者にとってさまざまなメリットがあります。青色申告会に入会したい場合は、下記の2ステップで手続きを行います。

1. 納税地(管轄税務署)の青色申告会を検索する

青色申告会を束ねているのは、一般社団法人全国青色申告会総連合です。同連合の公式サイトでは、全国の青色申告会を探せる窓口検索新規タブで開くページが用意されています。都道府県や住所を入力して、近隣の青色申告会を探すことが可能です。

なお、一部地域については、青色申告会が組織されていないところもあります。そのような地域には、納税協会のような類似組織がありますから、別途探してみてください。

2. 該当する青色申告会のウェブサイトで入会手続きをする

地域の青色申告会が見つかったら「会名」をクリックして詳細を表示します。Webサイトがある青色申告会なら、Webサイト上に入会手続き方法が記載されています。各青色申告会の案内に従って入会手続きをすることが可能です。

青色申告会によっては、入会前の無料相談を行っているところもあります。このような制度が設けられている場合は、積極的に活用してみることをおすすめします。実際に入会した後どのようなサポートを受けられるのかを、実感しやすくなるのではないでしょうか。また、Webサイトのない青色申告会の場合も、住所と電話番号が記載されていますから、連絡してみてください。

青色申告会の特徴を調べてみよう

いずれの地域の青色申告会であっても、個人事業主の正しい申告と納税のためのサポートを行っている点は同一です。しかし、具体的に受けられるサポート内容や福利厚生は、青色申告会ごとに異なります。まずは、地域の青色申告会がどのようなところなのか調べてみることが大切です。

青色申告会の中には、弥生製品による確定申告のサポートをしているところもあります。このような青色申告会を利用すれば、「やよいの青色申告 オンライン」をはじめとした弥生製品を活用した確定申告を、より安心して行えるでしょう。「青色申告推奨会サーチ」で、近隣の青色申告会がないか探してみてください。

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自動集計されるレポートで経営状態がリアルタイムに把握できる

日々の取引データを入力しておくだけで、レポートが自動で集計されます。確定申告の時期にならなくても、事業に儲けが出ているのかリアルタイムで確認できますので、経営状況を把握して早めの判断を下すことができるようになります。

この記事の監修者齋藤一生(税理士)

東京税理士会渋谷支部所属。1981年、神奈川県厚木市生まれ。明治大学商学部卒。

決算書作成、確定申告から、起業(独立開業・会社設立)、創業融資(制度融資など)、税務調査までサポート。特に副業関連の税務相談を得意としており、副業の確定申告、税金について解説した「副業起業塾 新規タブで開く」も運営しています。

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