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家賃を経費で落とすポイント。教えて、税理士さん!

自宅を事務所としてお仕事をしているSOHOスタイルの個人事業主の方にとって気になるポイントの一つが自宅家賃の経費計上についてです。どのようなケースで、どれだけの金額を経費で落とすことができるのか、見ていきましょう。

POINT
  • 経費計上できるのは、事業使用割合 にかかる金額である
  • 賃貸と持ち家で経費計上の計算が異なる
  • 事業使用割合 は住宅ローン控除を受けられない

事業使用割合 を決める

SOHOスタイルの個人事業主にとって、自宅はプライベートの場であると同時に仕事の場でもあります。自宅にかかる費用(自宅費用)のうち、仕事で使用している割合については、所得税の計算上経費計上することができます。

経費計上にあたっては、まず事業使用割合 を決定します。

仕事で使用している割合の決め方にはいくつかの方法がありますが、最もわかりやすく、広く用いられているのは、仕事で使っている空間と、プライベートの空間の床面積を用いる方法です。仕事の部屋とプライベートの部屋が同じであることは、情報管理などの点からも望ましくないので、まずは仕事用の部屋を決め、その床面積を事業使用割合 とするのがよいでしょう。トイレや廊下などの共用部分は仕事用の面積とプライベート部分の面積の比率で分けます。具体的な計算については、のちほどご説明します。電気代やガス代、水道代などの光熱費も同様の割合で経費計上することができます。電話料金は床面積というわけにはいかないので、料金のうち事業用の通話分を経費計上する形になります。

経費計上できる金額

事業使用割合 が決まったら、次は自宅費用を計算します。

賃貸住宅の場合は、家賃や管理費などがそのまま自宅費用となるので簡単です。実際に支払う家賃等に事業使用割合 をかけて経費計上額を算出します。
一方、持ち家の場合は、少々計算が複雑になります。

まずは固定資産税や、所定の方法で計算した自宅の減価償却費、住宅ローン金利、火災保険料といった住宅を保有することで発生する金額を合計します。その金額に事業使用割合 をかけることで経費計上額を算出します。
具体的な数字で見ていきましょう。ここでは2LDKの間取りで、1部屋を事務所として使用するケースを想定しています。

2LDK間取りの例
分類 部屋 面積
事務所部分 オフィス 20㎡
プライベート部分 寝室 20㎡
リビングキッチン 28㎡
浴室 5㎡
共用部分 トイレ 3㎡
廊下 4㎡
総計 80㎡

この場合、各面積は次のようになります。

  • 事務所部分 20㎡
  • プライベート部分53㎡
  • 共用部分7㎡

共用部分は事務所部分の面積とプライベート部分の面積の比率で分けます。

  • 共用部分のうち、事務所部分にあたる面積
    7㎡×20㎡/(20㎡+53㎡)=1.92㎡
  • 共用部分のうち、プライベート部分にあたる面積
    7㎡-1.92㎡=5.08㎡

共用部分が按分できたら、合計して事務所部分とプライベート部分を計算します。
今回のケースでは、

  • 事務所部分 20㎡+1.92㎡=21.92㎡
  • プライベート部分 53㎡+5.08㎡=58.08㎡

となり、事業使用割合は21.92/80と計算できます。
この割合を、上で書いた自宅費用の額に掛けて経費計上額を算出します。

自宅の事務所費用計上にあたっての注意点

自宅費用を経費計上するにあたっては、注意すべき点があります。

まず、持ち家の場合で住宅ローン控除を受けている方は、事業使用割合 については住宅ローン控除を受けられません。さらに事業使用割合 が50%以上の場合は、そもそも住宅ローン控除を受けられないことになります。

そのため、住宅ローン控除を受けられる場合は、自宅費用の金額によっては、経費計上せず、住宅ローン控除を受けたほうがかえってお得な場合もあります。ただし、事業使用割合 が10%以下であれば、住宅ローン控除の計算上、100%居住用として取り扱われます。この取扱いを利用して事業使用割合 を10%以下に設定して節税することが可能です。

ここまで見てきたように、自宅家賃を経費で落とすことは賃貸でも持ち家でも可能です。事業使用割合の計算が一つのポイントですが、賃貸借契約書や、割合の算出過程が分かる資料の保管も重要です。飲食費や交通費などと同じように、経費として計上するにはもちろんその根拠となる書類はそろえておかなければいけません。

事業使用割合の計算はやや手間がかかりますが、一度算出すれば基本的にずっと変わりません。自宅家賃を経費計上して、賢く節税しましょう。

photo:Thinkstock / Getty Images

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