経費の計上漏れはありませんか。確定申告前にもう一度見直そう!

個人事業主に毎年必ず訪れるのが、所得税の確定申告です。所得税は利益に対して課税されます。利益は売上から経費を引いた額なので、経費が多いほど税金も安くなります。事業の経費として計上できるものはもれなく計上することは、税金の額を少なくするための基本です。どのような支出が経費として認められるかを見ていきましょう。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- 経費として計上できるものは、売上獲得のために支出した金額である
- 実際に支払っていない未払い分も経費計上できる
- マイカーや電話なども事業に使用していれば経費計上できる
売上獲得のための支出は経費計上できる
当たり前のことですが、経費として計上できるものは、事業に関連したものに限られます。具体的には、直接的、または間接的に、売上を獲得しようとして支出したものかどうかが判断基準となります。
直接的というのは、飲食店の材料費や、雑貨店の商品といった原価となるものが当てはまります。間接的にというのは、たとえば顧客や見込み客との打ち合わせ時の飲食代や交通費など幅広い経費が当てはまります。こうした間接的な経費は一般的には販売管理費と言われていますが、どこまでが売上獲得のための経費なのかといったことは一言で表すことはできません。事業形態は事業者ごとに違うので、同じ出費でも事業経費として認められる場合と認められない場合があるのです。
例えば、映画評論家がコラムを書くため映画を見に行った場合、そのチケット代は経費となります。コラムの原稿料を得るために支出した金額だからです。
しかし、飲食店の経営者が映画を見に行っても、そのチケット代は経費にはなりません。個別の経費を判断する前に、まずはこの売上を獲得しようとして支出したかどうかという基本を押さえておきましょう。実際は、売上獲得のための支出かどうかは事業を行っている本人が一番よくわかります。税務署から尋ねられたときに自信をもって事業用だと答えられるなら、それは事業のための経費です。
未払い分の経費計上も忘れずに
経費として計上できるのは、その年中に発生したものに限られます(会計の発生主義といいます)。
ここで、発生というのは、モノを引き取ったり、サービスの提供を受けたりしていることをいいます。例えば年末時点では未払いでも上記の基準に該当すれば経費計上できるのです。この基準に当てはめれば、12月末締1月末払の仕入れや、12月使用分の水道光熱費などはすべて経費として計上できます。
従業員への給料も12月分を翌年1月に支払うような場合は経費計上できます。
また、毎月クレジットカードで引き落とされている経費も、年内の利用分であればその年の経費となります。クレジットカードは明細の発行が翌月以降になるので計上を忘れがちですが、確定申告書を作成する前に今一度明細を見直して計上漏れがないかチェックしてみましょう。
その他経費計上できる主なもの
経費計上できる主なものとして、事業用資金の借入金の利息があります。
創業融資のように明らかに事業のために借りているお金にかかる利息はもちろんのこと、知人などから事業のために借りた場合は、必要経費に算入できるのです。一方、消費者金融のように、生活のためのローンにかかる利息はもちろん経費としては認められません。また、夫や妻など生計を同じくする親族からの借入金の利息も経費計上できません。夫が妻に利息を払っても、結局夫の生活費になってしまうためです。
この他にも事業実態に照らして、経費として計上できるケースはあります。迷ったときは、税理士に相談するなどして、税金特有の計算にも配慮しつつ、漏れなく経費を計上しましょう。
経費計上を忘れずに行う基本は、事業用の口座や事業用のクレジットカードをしっかりと区別することです。こうすることで、そこから支払ったものや、クレジットカードの明細に載ってくるものは経費と考えることができます。
また、どんな領収書も時間が経つと、いつ、誰といっしょのときに使ったかといったことは忘れてしまします。少なくとも毎月記帳して、領収書もしっかりとファイリングする時間を作りましょう。
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