扶養控除の条件とその活用法について

いよいよ確定申告書作成に向けて、いろいろと資料をそろえてきた方も、これからそろえるという方も、ここで一つ忘れてはならないことは、「扶養控除の申請」です。要件を満たしており、申請書に正しく記入さえすれば、特に領収書の提示などは必要なく、ほとんど問題なく受理されるものです。扶養控除は、相互扶助の精神の上に成り立ち、国のお墨付きともいえるものです。扶養控除の基本を知り、自身に該当するかどうかを確認してみましょう。またこの機会に親族の扶養についても考えてみませんか。
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2022年(令和4年)分の所得税の確定申告の申告期間は、2023年(令和5年)2月16日(木)~3月15日(水)です。最新版の確定申告の変更点は「2023年(2022年分)確定申告の変更点! 個人事業主と副業で注目すべきポイントとは?」を参考にしてみてください!
目次
- POINT
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- 扶養控除とは、親族を養うなら税金を安くしますよ!という仕組み
- 扶養控除は、納税者に16歳以上の扶養親族がいる場合、所得金額から一定の所得控除を行うというもの
- 扶養控除は、同居ではなく「生計を一にしていること」が要件
扶養控除の制度について
所得控除は数々あれど、扶養控除はわかりにくいという声を聞くことも多くあります。
基本的に扶養控除とは、納税者(所得税および個人住民税)に16歳以上の扶養親族がいる場合、所得金額から一定の所得控除を行うというものです。
つまり国が、親族を養うなら税金を安くしますよ、というわけですね。
原則として扶養控除は、読んで字のごとく、「扶養していること」、「生計を一にしていること」が条件ですが、実際には、「いくらくらいの援助をしていること」や、「同居していること」という縛りがあるわけではありません。ただし、通例として月額5万円くらいの仕送りをしていることなどを挙げられる場合があります。税法の改正もあり、要件は、その年によって変わりますが、まずはできるだけ正確にご紹介します(2015年時点の税制です)。
それでは、扶養の対象となる親族の条件についてみていきましょう。
扶養親族の要件
扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が死亡、または出国する場合は現況)で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または、都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や、市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。※必ずしも同居とは限りません。
- 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)であること。
- 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。(注)事業専従者とは、青色申告・白色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、年間6か月以上、その事業に専従している人です。
扶養控除額の金額は、一般の控除対象扶養親族で1人38万円が基本となりますが、扶養親族の年齢や、同居の有無等によっても変わります。
扶養控除の適用とメリット
控除の対象は、親が子どもを扶養する場合もあれば、子どもが親を扶養する場合もあります。それ以外の親族ももちろん範囲内で、その時の状況によって、立場が変わるということです。離れた大学に通う一人暮らしの子どもや郷里で別居している年金暮らしの親、ほかに身寄りがなく収入のないおじや、おばなどがなる場合もあります。
詳しくは、「税についての相談窓口」が設けられていますので、国税庁のHP から電話番号等をご確認の上、相談されてみてもよいでしょう。
「生計を一にしていると受けられる控除」は、ほかにもあります。
しかるべき扶養の義務を負っている人は、申請漏れがないようにしておきたいものですが、例えば、共働きの夫婦が生活費を分担している場合は、扶養控除を使えるのは夫婦のどちらかになります。この場合、所得がより多く、税率負担の高いほうが所得控除にするのが得策だといえるでしょう。
また、老親などの面倒を見る際に兄弟などがいる場合は、そのうちの誰か一人だけが扶養控除を使えるということになります。
その点では、よく家族で話し合ってみてくださいね。
まとめ
親族の面倒を見るためには、最低限、必要な節税対策ともいえる扶養控除。社会保険料や医療費などの必要な経費に対して控除が受けられることがわかれば、親族と生計を一にしてみようか、などと積極的な気持ちになった人もいらっしゃるかもしれません。税制度を上手に活用して、少しでも税負担を軽くし、使うべき時に使えるよう準備をしておきたいものです。
photo:Thinkstock / Getty Images