【所得控除の一覧】漏らさず確定申告しなきゃ損です!

個人事業主・フリーランスの方は、所得税の確定申告の際にどれだけ所得控除を適用できるかによって課税所得が変わってきます。課税所得は、収入から必要経費、さらに所得控除を差し引いたものなので、所得控除を多く適用できれば納税額も少なくすることができるのです。
今回はそんな所得控除を一覧でご紹介します。該当するものはすべて漏らさず申告できるように、ひとつひとつ確認していきましょう。
全15種類の所得控除について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
・所得控除の種類と申告できる人まとめ【2022年確定申告】
[おすすめ]確定申告はこれひとつ!無料で使える「やよいの青色申告 オンライン」
目次
所得控除で節税しよう
1月に入ると昨年の売上と経費はもう確定しているため、確定申告で節税する方法は「所得控除」を多く積み上げることくらいでしょう。
そこで「所得控除」には、どういうものがあるのでしょうか?実際には該当する方が多いのに、世間ではあまり知られていない所得控除もたくさんあります。よくある所得控除について紹介します。
ベーシックな所得控除をご紹介
まずは、よく知られているベーシックな所得控除をご紹介します。
基礎控除
基礎控除は、確定申告をする人は、ほとんどの人が受けられます。 合計所得金額が2,400万円以下の人は、48万円です。ただし、合計所得金額が2,400万円を超えると、その合計所得金額に応じて控除額が徐々に減り、合計所得金額が2,500万円を超えると0円になります。詳細は、記事「青色申告特別控除65万円が見直しに!個人事業主は減税になるの?【平成30年度税制改正】」もあわせてご覧ください。
配偶者控除
配偶者控除は、配偶者の年収と申告者の所得によって変わります。
具体的には、申告者本人の所得が1000万円以下であることが条件です。そのうえで、収入が103万円以下の配偶者がいる人が受けられる控除です(※)。配偶者は、妻でも夫でも対象になります。
- 一般の場合は、0~38万円
- 70歳以上の場合は、0~48万円
配偶者特別控除
配偶者特別控除は、申告者本人の所得が1000万円以下であることが条件です。
配偶者の収入が103万円を超えて、配偶者控除が受けられない場合でも、201万5999円以下なら、配偶者特別控除が受けられます。控除額は、配偶者の収入によって段階的に異なります(3万円〜38万円)。
扶養控除
扶養している家族(親族)がいる人が受けられるものです。控除額は、扶養親族一人あたり38万円で、19歳以上23歳未満の扶養親族の場合、63万円、70歳以上の扶養親族では48万円に、70歳以上の同居老親等では58万円になります。対象の家族(親族)とは、6親等以内の血族か、3親等以内の姻族です。※扶養控除については、機会を見て詳しく述べたいと思います。
以上が、一般的によく使われる、よくある所得控除です。ほかにもまだまだある所得控除。次章では、できるだけ簡潔に所得控除の種類をご紹介したいと思います。
所得控除の種類は14種類もあった!
実際には、知られていないものも多くあります。所得控除はすべていれると、14種類あります。前章に続いて、残りの所得控除の項目(内訳)を見ていきましょう。
医療費控除
1年間に支払った医療費が10万円を超える人が受けられる控除です。(総所得金額等が、200万円未満の人は、総所得金額等の5%を超える医療費)。
医療費に対する解釈はさまざま議論の及ぶところではありますが、身近なもので医療費に入るものは意外に多く、病院の領収書だけでなく、ドラッグストアで買った風邪薬・傷薬も対象になります。さらに生計を一にする家族の分もまとめて控除できるのです。
さらに「医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)」があります。これは、申告者自身が健康診断や予防接種など健康に気を使い、軽度な体の不調は自分で「スイッチOTC医薬品」で手当てするなどの場合、受けられます。「スイッチOTC医薬品」の購入費用が1万2000円を超える分(上限8万8000円)が対象です。
「医療費控除」と「医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)」は、併用できないので、どちらかのみの適用になります。医療費控除もセルフメディケーション税制は、明細書の提出を行うことで申告できます。
医療費控除に関しては、記事「セルフメディケーション・医療費控除の明細書の書き方」もあわせてご覧ください。
雑損控除
災害、盗難、横領などで生活上の資産に被害があった場合に受けられる控除。事業用の資産の場合は、事業の損失として計上できますが、雑損控除にはできません。控除できる金額は、(被害額-5万円)です。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、納税者本人やその本人と生計を同じくする配偶者、その他の親族などが1月〜12月までの1年間に支払った社会保険料が全額控除されるものです。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済や、個人型の確定拠出年金、心身障害者扶養共済などに加入している場合、その掛金の全額を控除できます。詳しくは、独立行政法人中小企業基盤整備機構のHPをご確認ください。
【関連記事】
・個人事業主の節税対策の切り札「小規模企業共済」とは?
・小規模企業共済の変更について
寄附金控除
国や地方公共団体、認定NPO法人、学校などに寄付をした場合に受けることができます。控除額は、(寄付金額ー2,000円)です。寄附金特別控除もあるので、詳しくは、国税庁の「寄附金を支出したとき」を参照してください。
生命保険料控除
生命保険や民間の個人年金に加入している場合、年間支払保険料に応じて一定額が控除されます。保健の加入期間(5年未満)などによっては控除の対象にならないものもありますので、詳しくは国税庁の「№1140生命保険料」を参照してください。
地震保険料控除
地震保険に加入している場合、支払保険料に応じて最高5万円が控除されます。
障害者控除
自分自身や扶養している家族が障害者の場合に受けられる控除。控除額は、障害者一人あたり27万円。特別障害者が40万円です。
ひとり親控除・寡婦控除
2020年(令和2年)から「ひとり親控除」が新設されました。
つまり、婚姻歴や性別にかかわらず、同一生計の子(総所得金額等 48万円以下)を扶養していて、申告者本人の合計所得金額が500万円以下の単身者は、35万円の所得控除を受けられます。
対して、申告者本人の合計所得金額が500万円以下で、配偶者と離婚・死別して子以外の扶養親族がいるか、配偶者と死別した単身女性は、寡婦控除として27万円の所得控除が受けられます。
ひとり親控除・寡婦控除、いずれの場合も、住民票の続柄が「夫(未届)」「妻(未届)」など事実婚の場合は対象外です。
詳しくは、国税庁の「№1170寡婦控除」もしくは、国税庁の「№1171ひとり親控除」を参照してください。
勤労学生控除
勤労学生控除とは、納税者本人が働きながら学んでいる学生が対象で、その給与収入が130万円以下の場合に、控除が受けられる制度です。
以上、簡単ではありますが、すべての所得控除の項目(内訳)を紹介してきました。1つ1つ丁寧に確認していくことで、申告漏れを防ぎ、確実に節税に繋がるのが所得控除です。ぜひ、面倒くさがらずに該当する控除がないかどうかを申告前に余裕を持ってチェックしてみましょう!
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