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クリエーター同士の座談会 第3回 「ぶっちゃけ!フリーランス・個人事業主のお悩み相談」

勤めている会社を辞め、フリーランスになりたい。とはいえ、うまくやっていけるものなのか——。その決断に踏み切れないでいる人も結構いるのかもしれない。座談会の最後となる今回は、消費税や、会計ソフト、退職後のお金のことなど、特に個人事業主がかかえがちな諸問題を取り上げ、独立歴の長い先輩たちやSZAKIさんにその解決方法を教えてもらった。

消費税は請求できるものなのか?

司会:クリエーター同士の座談会も、第3回で最後です。今回は、個人事業主が陥りやすい悩みをSZAKIさんや皆さんの経験から解決していきたいと思います。まず、何かと話題になっている消費税について。2014年4月に消費税が8%に引き上げられましたが、そのときにお困りになったことはありませんでしたか。特に法人として納める立場である、上地さんと土屋さん、いかがでしょう?

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上地:消費税は私からするとなかなか難解なものなので、基本的には税理士さんにお任せでしたね。

土屋:私は消費税の納税時期になって、少し驚いた記憶があります。2年前の事業年度が課税対象になるじゃないですか。消費税は忘れた頃にやってくる!

上地:企業として、納税分のお金をストックしておくはもちろんですが、税率が変わった今年なんかは特に気をつけなければいけませんよね。その取引が税率改正前のものなら5%、改正後のものなら8%と、きっちり仕分けておかなければいけません。

SZAKI:消費税について少し補足すると、消費税がかかる「売上」が1,000万円を超える方は個人事業主であっても納税の義務が発生します。それ以下であれば免除されます。

タカ:それと、消費税のことで思い当たるのが、請求する際に「内税」にするか「外税」にするかです。客先によって対応は変わります。「内税」と「外税」、どちらで請求した方がいいんでしょう??

SZAKI:請求方法は、取引先との契約なのでどちらでも問題ありません。ただ、今回の消費税率UPにより、増税分の上乗せを承諾いただけずそのまま請求したという話も聞きますね。もちろん消費税転嫁対策特別措置法という法律もありますが、先ずは消費税UP分を上乗せできない、皆さんが消費税を負担することがないように、前回の支払いサイトの問題と同様、仕事を受注したときにきちんと交渉しておくのがいいと思います。消費税というのは消費者が支払うもので、企業はその消費税を「預かっている」という立場です。結局のところ企業は預かった分の消費税を納めなければいけないというしくみですから、消費税分を請求されても、損するわけではないんですよね。それを相手に理解してもらえば、すんなりと話が通るかもしれません。

坂本:僕の場合はそうでしたね。増税前は上乗せしていませんでしたが、増税後から交渉するようになりました。まわりの同業者から「絶対とらないとだめだ! とらないなら俺が代わりに交渉してやる」っていう助言もあったんですが(笑)。でも意外なことに、拒否されるケースはほとんどありませんね。

SZAKI:消費税については、簡易課税方式の適用を受けた事業者であれば税率の計算も簡易的になりますし、場合によっては節税できることもあります。事業者が消費税で損をするということは、基本的にはないといっていいでしょう。

Macでも使えるようになった「弥生」

司会:僕もお金にまつわる悩みとして一つ。「帳簿」って皆さんどうしていますか? ちょうど確定申告の時期が近づいていて、いよいよ会計ソフトを入れようかどうか悩んでいるんですが…。

タカ:僕は青色申告に切り替えたときに青色申告会へ行ったら、そこの担当の方から「会計ソフトは弥生しかわからないんですよね」って言われました。普段はMacを使っていたので「弥生」が対応しているWindowsの中古パソコンを買いましたよ。

司会:うちでも「弥生」を使いたいんですが、家のパソコンはMacなんですよ。今日の座談会には弥生の担当者も同席していますので・・・そのあたりはどうなんでしょう?

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弥生の担当者:はい。店頭などで販売しているパッケージ版は今でもWindows OSのみに対応していますが、2014年10月にサービスを開始した「やよいの青色申告 オンライン」は、Mac OSで使用することができます!さらに、1年間無料でお使いいただけます。

司会:Mac使用者が多いクリエイティブ業界では「弥生」のMac対応は、なかなかのビッグニュースですね!「これを機に青色にしよう」と決断する人も多いかもしれません。ウェブから入力ができる「クラウド会計」は以前から別メーカーさんからも出ていますが、弥生シリーズはユーザーが多いですから安心です。

上地:税理士さんも「弥生」使っている人多いですよね。

SZAKI:私も仕事のなかで「弥生」のユーザーさんに会うことがありますが、もう会社なら定年を迎えているようなご老人でも、テキパキと帳簿をつけていますからね。「かんたん取引入力」なんて機能もあるので、使いやすいようです。

離職したときのお金はどうすればいいの?

司会:あと悩みがちな問題といえば、老後や廃業時の生活ですよね。会社に勤めていれば退職金制度がありますが、個人事業主はそれがないし、年金だけでは心許ない。そのあたりも個人事業主になるかどうかの悩みどころだと思います。

SZAKI:そうした方には「小規模企業共済」がおすすめですよ。

司会:それはどんなものなんですか?

SZAKI:事業をやめたときや廃業したときのために積み立てておく共済制度です。掛金は1,000円から7万円の範囲で選べます。なんといっても大きいのは、これらの掛金は全額が所得控除の対象になるということ。また、共済金を受け取るときも、勤続20年までは1年あたり40万円、21年以上なら、越えた分については1年あたり70万円が退職所得控除になります。定番といえる共済制度はこのほかにも「国民年金基金」や「付加年金」などがありますから、一度検討してみるのもいいんじゃないですか。

司会:なるほど。今日のお話を聞いていると、確定申告や税金のことなどを含め、フリーランスにもいろいろとやることがあるんですね。でも、それを差し引いても楽しい仕事のはずです。皆さんはどうですか?

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土屋:もちろんよかったことばかり感じていますが、初めにお話した通り、外部の協力スタッフの方々が生活できるようにしていかなければいけないという責任があります。プレッシャーを感じながらも、頑張っていきたいですね。

上地:責任は大きいけど、背負った責任の分だけ得られる自由も大きいですよね。たいへんさがそのまま得がたい喜びになるというか…。今後はオリジナルで何かつくっていくようなことをやってみたいと思っていますが、もしも会社にいたとしたら、そうした好き勝手なことはできません。

タカ:僕は会社員だった期間が短いので単純に比較することはできないですが、やはり個人事業主でよかったと思いますよ。性格的に毎日同じことの繰り返しがあると、嫌になってしまうタイプなんです。でも今の仕事は毎日少しずつでも違いことができる。気持ち的には充実はしていると思います。なんとかこの仕事を死ぬまでやっていられたらいいなと思います。

坂本:仕事が不安定なのは変わらないけど、極端な話、半月働いて、もう半月は好きなことの時間に充てられます。僕も仕事のないときは、オートバイで遠出してけっこう自由にやっているんですよ。まあ、たまに得意先から携帯電話で呼び出されて、速攻で事務所に帰ることはありますけどね(笑)。

SZAKI:平日にゆっくりする時間が取れるのはいいですね。私はふだん会社務めなんで、そういう話を聞くとうらやましいです…。

司会:お金の問題も、しっかりと知識を身につけておけば心配することはなさそうですよね! これからも、みんなでクリエイティブ業界を盛り上げていきましょう。本日はありがとうございました。

座談会参加者プロフィール

●土屋(仮名):フリーライターとして独立後、2006年に株式会社を設立。現在は、雑誌・Webサイトの編集・執筆、企業PR誌・販促ツールの企画・制作を行う。

●上地 忍:通販業を経て、2008年にシーノン株式会社を設立。防災グッズなどの通信販売を運営する一方で、ECサイト、医療系サイト、予告編映像などの制作を手がける。

●タカ:制作会社に勤めた後、2006年に独立。イラストレーター兼デザイナーとして活動する。デザイン系の専門学校で講師としても活躍。

●坂本(仮名):映像制作会社に勤めた後、2000年に独立。フリーランスのイラストレーターとして活動する。映像制作に必要な絵コンテ制作を得意とする。

●司会(安田博勇 ):いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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