年内に買ったものどれくらい経費になる? 個人事業主の減価償却

いよいよ年末商戦まっただ中の12月。ボーナスのない個人事業主でも確定申告前のこの時期は、今年頑張った自分へのご褒美に、仕事で使う機材を新調したり、これまで我慢していたりしたものを奮発してみたくなるものですね。そんな個人事業主の年末商戦、どんなものを買えば効果的な節税につながるのか、実際の減価償却を考えながら、お買い物を考えてみましょう。
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目次
- POINT
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- 減価償却ってなんだろう
- 減価償却には定額法と定率法がある
- 節税のポイント
減価償却の基本
たった1年に1度の確定申告ですが、税理士さんや税務署に確定申告の相談をすれば一度は聞くであろう「減価償却」。何となく言葉の意味はわかるのですが、はっきりとした対象や線引きのようなものが曖昧だったりしませんか?
たとえば仕事で使う車や、マンションを買った場合など、1、2年で償却できるような安価なものではありませんね。この場合、「何年にもわたって使う高価なもの」ということで、買った年に一括計上するのではなく耐用年数に応じて費用化していく、というのが「減価償却」です。
具体的には、耐用年数が10年の機械を100万円で購入した場合、1年間に10万円ずつ、10年間にわたって費用を計上していきます。
※ただし、減価償却するものは、取得価額10万円以上の固定資産です。
10万円未満のものを購入した場合には、金額すべてをその年の費用として計上してよいのです。つまり、消耗品として処理してよいということですね。
また、取得価額が10万円以上20万円未満であれば、減価償却をせずに、使用した年以降3年間にわたり、取得価額の3分の1相当額ずつを必要経費にしていく事もできます。主な減価償却資産(器具・備品)の耐用年数については、国税庁のサイトを参照してください。
ポイントだけを押さえておこう!(定額法と定率法)
先の章で「減価償却の基本」についてみてきましたが、減価償却には、二通りの処理方法があることにも触れておきましょう。
償却費の処理方法には、「定率法」と「定額法」があります。
「定額法」は、耐用年数に応じて、「毎年同じ額だけ」の減価償却費を計上し、「定率法」は、資産の残存価値(ターミナルバリュー)に一定の率をかけて、毎年の減価償却費を計上していきます。
「定額法」は、毎年、同じ額の減価償却が出来るのに対して、「定率法」は、購入した時点での減価償却額が大きく、年々、少なくなっていくという方法です。つまり、早く減価償却費を計上したい場合には、「定率法」を選ぶべきですね。
ただし、「定額法」にするか、「定率法」にするかは事業者が自分で選ぶことができますが、「定率法」にしたい場合は、変更しようとする年の3月15日までに税務署に届出書を出さなくてはなりません。届出を出さなかった場合は、自動的に「定額法」になります。平成26年に起業した方は、平成27年3月16日までに届出をすれば、「定率法」で平成26年分の確定申告ができます。国税庁のサイトを参照してください。
※尚、モノ(不動産や無形固定資産、ソフトウェアなど)によっては、無条件で「定額法」が採用されるものがあり、「定率法」は選べませんので、ご注意ください。
いざ、お買い物へ
これまで減価償却の基本や償却の方法をみてきましたが、つまり、この豆知識は、お得なお買い物をするための知識です。
残り少ない2014年、なにを買ってどれだけ経費として計上するか。せっかく、一生懸命働いて得たお金ですから、効果的な節税を心がけたいものです。
ここまでで導きだされるアドバイスとしては、仕事に関係するものであれば、パソコンであろうが、机であろうが、ソファ等の家具でも構わないのですが、ポイントは一つです。「10万円未満のものを買おう!」ということです。※ただし、青色申告者は、30万円未満の資産は全額その年の経費にすることができます。
白色申告の場合、10万円未満のものであれば、買ったその年に全額を経費に計上することができますが、10万円以上のものは、「固定資産」として、購入費を耐用年数に応じて経費化しなくてはなりません。
つまり、その年の税負担を少しでも軽くしたいのであれば、12〜3万円のパソコンを購入するよりは、10万円未満に納まるパソコンを購入する。そして、残りの予算は、オールインワンプリンターなり、カメラなり、別のデバイスなりを購入して、いずれも10万円未満であれば経費としてそのままの額を計上することができるというわけです。ソファーとテーブル、机とイスなどセットで使う場合は「一式」として考えますので、ご注意を。
あくまで、経費として計上する事を前提にした選択肢の提案ですが、その年の経費としてみたときには、節税効果が高いですし、IT機器のスペックの向上が格段に早い今日、20万、30万円の高いパソコンを無理して購入する必要がなければ、それなりにコスパのよいものを素早く購入して、消耗品として償却していく。そうすれば、お金の負担も少なく、ストレスフリーなお買い物を楽しめるのではないでしょうか。
あくまでこれは消耗品として経費を消化していく上での考え方の一つですが、ご参考までに。今年、後残りわずか、何をどう工夫して経費を積み上げていくか、これもまた、お買い物とあわせて考える楽しみの一つではないでしょうか。
photo:Thinkstock / Getty Images