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クリエイター同士の座談会 第1回 「わたしが起業したわけ」

ライター、デザイナー、イラストレーターなど、クリエイティブ系の業界では、多くの個人事業主が働いている。しかし若くして独立するとなると、特にお金のことなど、さまざまな難題に直面することがあるようだ。そこで、独立・開業の経験があるクリエイターを集め、座談会を開催。それぞれ、独立時に起こりがちな悩みを打ち明けてもらった。

4名の起業家、個人事業主が集結! 独立を決断したあのとき

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司会:今日は、クリエイティブ業界で働く起業家、個人事業主の方々に集まってもらいました。まずはそれぞれ自己紹介をお願いしたいのですが・・・、土屋さんと上地さんはどちらも個人事業主として独立された後、会社を起業されているんですよね?

土屋:はい。私は2006年に株式会社を立ち上げています。といっても、社員は私1人。以前は企業に勤めていたこともありますし、フリーランスのライターだったこともあるのですが、現在は代理店や出版社の方から企画・編集・制作などのご注文をいただき、ディレクター的な立場で仕事をしています。

土屋(仮名・写真右)


上地:私は2008年にシーノン株式会社を始めました。私のところも、ほとんど個人でやっている会社です。実は2003年にも一度起業していて、シーノンが2つ目の会社。前の会社はネット通販を専門にしていましたが、通販事業を動かしていく過程でサイト制作もできる技術が備わり、現在は、通販とウェブサイト制作の2枚看板でやっています。

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上地(写真左)

司会:一方で、坂本さんとタカさんは個人事業主。ともに、制作系のクリエイターです。

坂本:はい。以前はCM制作会社に勤め、絵コンテ制作をしていました。そこがなかなかブラックな会社でして(笑)、業界的には潤っていたものの、社員である僕らの給料は安く、週に2〜3日くらいしか家に帰ることができなかった。そうしたこともあって、3年ほど在籍してから2000年に独立しました。

タカ:僕も1年間ほど、エディトリアル系のデザイン会社に勤めていました。坂本さんのいた会社ほどではないにせよ、忙しい会社でしたね。当時、副業で土日にファッション誌の仕事をやっていたのですが、あともう少し稼げれば生活できるなというレベルまでになり、深く考えずに「できるかも」と、結構安易な感じで辞めて、2006年に独立しました。

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タカ(写真右)

司会:4名とも立場はそれぞれ異なりますが、独立ってなかなか決断力のいることですよね? そのあたり、二の足を踏んでしまうようなところはありませんでしたか?

土屋:祖父が編集、父が設計の仕事をしていて、どちらもフリーランスだったんですよね。だから2人の姿を間近にみていて、「いずれは私も…」とは常々思っていました。そんな折、たまたまお仕事をいただける機会に恵まれて、決断したという感じでしたね。

坂本:僕の場合は、独立して間もない先輩と入社する前に話す機会があって「フリーになったらプロ野球選手くらい稼げるぜ!」なんてことを耳にしていた。まあ、それは景気のよい時代の話だったのでそこまで儲かることはありませんでしたが、「独立しても食いっぱぐれることはないんだろうな」と、ひそかに独立は考えていました。

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坂本(仮名・写真上)

決め手はサッカーのユニフォーム? 誰にも使える、営業トークのテクニック

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司会:安田(写真左)

司会:私も昨年まで会社勤めで、個人事業主になったばかりです。フリーランスの先輩たちである皆さんに聞きたいのですが、やっぱり独立の決断を鈍らせる最大の要因って「ちゃんと食っていけるのか」という点ですよね。皆さん、仕事をとるためにどんな営業をかけました?

上地:制作業を始めた当初は、まさに暗中模索でしたよ。最初の会社で通販業だけをやっていたときは、極端な話、サイトさえつくっておけば商品が売れていく、ってところがあるんですが、制作業はお客さんと何回もやりとりしなければいけないじゃないですか。最初の頃はそれが結構なストレスになって、そのストレスが原因なのか、吐いたこともありました(笑)。

坂本:僕もトークが下手で、作品集を持って営業をかけるにしても、会ってみるとどうしても間が持たないんですよね。業界電話帳で「あ」から順に電話をかけてアポをとったんですが、1時間かけて訪問先に出向き、営業トークは数分で終わるという…。なんか無駄なことをしていると感じることが多かったです。

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タカ:僕もどちらかといえば口下手ですが、間をもたせるためにわざわざサッカーのユニフォームを着ていきましたね。それも、ちょっとマイナーなチームのユニフォーム。そこで編集者から「あっ! これ、あのチームですよね!」と言われたら、その人はサッカーに詳しいということ。そこから共通の話題で話を広げるなんてことをしていました。

司会:この業界だと服装もわりあい自由ですし、そういうさりげない営業テクニックは、どんな職種でも使えそうですね! 開業当初はいろいろと大変なこともあったようですが、現在は皆さん、独立していい方向にいっているようですね。僕も頑張ろう・・・。

上地:責任が大きいけど、背負った責任の分だけ得られる自由も大きいですよ。

土屋:でも私の場合、フリーのライターさんやデザイナーさんに仕事をお願いする立場ですから、そうした協業者の人たちから「子供が生まれた」とか「家のローンを組んだ」とか聞くと、ちょっとプレッシャーにはなります(笑)。「本当にこの先やっていけるのか」なんて不安になることもあったり。そこを解消するように頑張っていかないといけませんね。

青色申告の特典「繰越控除」って何?

司会:さて、フリーになって一番気になることって、やっぱりお金の管理ですよね。会社にいれば経理の人がすべてをやってくれますが、個人で事業を運営していくとなれば、すべて自分でやらないといけない! 特に頭を悩ますお金の問題といえば「確定申告」です。

土屋さんと上地さんは法人決算、タカさんは最初の数年が白色で、現在は青色申告ですね。坂本さんは1年目から青色申告なんですね。青色にされた理由はどんなところですか?

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坂本:やはり控除額の大きさですね。でも1年目は赤字だったので、控除の大きさはあまり関係がありませんでした。でも開業後しばらくしてから黒字になったので、1年目の赤字分を繰り越して、差し引けたのは、よかったですね。

司会:青色申告者の特典として「繰越控除」はよく聞きますね。私も昨年、白色申告だったのですが、実はいまいちよくわかっていない…。そこで、今日の座談会にはもう1名参加していただいている方がいるので紹介しましょう。匿名課長SZAKIさん!

SZAKI:はい。匿名課長SZAKIです。私は税理士の資格をもっており、当サイトでもコラムを執筆しています。今日は皆さんと一緒に確定申告の悩みについて考えてみたいと思います。


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司会:では、SZAKIさんに「繰越控除」について聞いてみましょう。

SZAKI:それではお話します!
匿名課長SZAKI(写真右)

SZAKI:個人事業主はまず、開業してから「開業届」を出すことで、青色申告ができるようになります。65万円の特別控除が広く知られているところですが、大きなメリットとしてもう1つ、この「繰越控除」があります。すなわち、その年が赤字決算になってしまっても、翌年以降3年間までは純損失を繰り越しができるというわけです。「1年目はとりあえず白色から」という人も多いと思いますが、初年度は設備投資などで何かとお金が出ていきますから、坂本さんのように開業当初から青色にしたというのは実にいい決断だったと思いますよ!

なるほど! 青色申告にしたほうがよいというのも、それを聞いてうなずけます。次回以降も、SZAKIさんにバシバシ聞いていきますので、よろしくお願いします!

SZAKI:よろしく!

次回は、12月16日掲載予定です。

座談会参加者プロフィール

●土屋(仮名):フリーライターとして独立後、2006年に株式会社を設立。現在は、雑誌・Webサイトの編集・執筆、企業PR誌・販促ツールの企画・制作を行う。

●上地 忍:通販業を経て、2008年にシーノン株式会社を設立。防災グッズなどの通信販売を運営する一方で、ECサイト、医療系サイト、予告編映像などの制作を手がける。

●タカ:制作会社に勤めた後、2006年に独立。イラストレーター兼デザイナーとして活動する。デザイン系の専門学校で講師としても活躍。

●坂本(仮名):映像制作会社に勤めた後、2000年に独立。フリーランスのイラストレーターとして活動する。映像制作に必要な絵コンテ制作を得意とする。

●司会(安田博勇 ):いくつかのプロダクションに在籍しながら、企業系広報誌、雑誌、書籍等で、編集や執筆を担当する。現在、フリーランスとして活動中。

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