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一億総起業家時代に向けて『起業 失敗の法則』に学ぶ

日本経済を活性化させたい政府の後押しによって、税制の優遇や補助金の拡大など、年々、起業しやすい状況が整えられつつある。年功序列制度が崩壊した今、会社組織に長くいても待遇がよくなるとは限らず、むしろリストラの危険性が高まることを考えみても、起業する人はこれからも増えるだろう。

しかし、忘れてはならないのは、当然のことながら、起業してからが本当の正念場ということである。「石の上にも三年」ということわざがあるが、その3年を続けられているベンチャー企業はどのくらいあるのだろうか? 驚くべきことに、それはたったの「2割弱」だといわれている。裏を返せば、創業した事業のうち、8割以上が3年以内に頓挫しているということだ。

そんな個人事業主ならば誰もが抱く不安に答えてくれるのが、『起業 失敗の法則』(ディスカヴァー社)だ。著者の鈴木健介氏は、全国各地の商工団体の講師を務めながら、起業の支援を行っているコンサルタントで、本書では「何をすべきか」よりも「何をすべきでないか」という観点で、起業に失敗しないための心得を指南している。

お知らせ

2021年(令和3年)分の所得税の確定申告の申告期間は2022年(令和4年)2月16日(水)~3月15日(火)。確定申告のやり方は、「知っておきたい基礎知識|確定申告」をぜひ参考にしてみてください!

「やりたいこと」で起業することの落とし穴

起業をしようとする人のなかには、「これで自分の長年の夢を叶えられる!」と考える人も少なくないだろう。そこまでの思い入れはないとしても、自分のやりたいことで起業しようとするのが当然と考えがちだ。しかし、本書は「やりたいことで起業してはいけない」と冒頭から、意外な「失敗の法則」を挙げている。

確かに自分がよいと思うものは、どうしても他人にとってもよいものだと思いがちだ。起業の時点で、「わかる人には良さがわかるはずだ」という自分の思い込みにとらわれてしまっては、正しい現状認識は難しいだろう。

そのビジネスを待っている客はいるか?

しかし、自分のやりたいことで起業してはいけない、となればどうすればいいのか。まさか、自分のやりたくないことであえて起業するというわけではないだろうし……。その点についても、著者は明快に答えてくれている。

それは「客がいる仕事」で起業するということだ。自分のやりたいことで起業する場合は、そのあとに「客を探す」という段階に移るはず。しかし、それは「客がいるだろう」という可能性に賭けているに過ぎず、本業でやっていこうとするビジネスのスタートとしては、あまりにも心もとない。本書では、次のように書かれている。

《失敗しないためには、「客が待っている仕事」で起業して、あなたの存在を「客に見つけてもらう」ことが重要なのです》

もちろん、自分のこだわりで起業して、お客を探した結果、意外とうまくいったというケースもなくはないだろう。だが、それはあくまでも偶発的な出来事に過ぎず、ある時点で行き詰ってしまう可能性が高い。確実に3年以上続く事業にしたいならば、立ち上げる段階で「そのビジネスには、本当に客がいるのか?」を客観的な視点で、見極める必要があるだろう。

財布の紐が固い今だからこそのビジネスがある

「やりたいことで起業する」と同様に、著者がやってはいけないこととして挙げているのが、「時流を無視して起業する」ことだ。時代の流れを読むなんて当たり前のこと、そう思う人もいるかもしれないが、単純に、”流行のアンテナを張る”、というような話ではない。

たとえば、売り上げ不振の理由について「不況で消費者の財布の紐が高いから」と説明する声を、経営者からよく聞かないだろうか? しかし、「不況で消費者の財布の紐が高い」のもまた「我慢」という今の時流の一つだと、著者は書いている。

《収入が上がる見込みはないが、増税や物価の上昇は十分に考えられる……そんなとき人は将来に不安を感じ、無駄遣いはできません。では我慢を続けていると、その人はどうなるでしょうか? どんな人でも我慢をすると、不満が増えてきます。それを踏まえてみれば、「我慢の分野」でもビジネスを成功させるヒントがわかるでしょう。負担にならない範囲内で、その不満を解消していきましょう。》

具体例として、著者は「結婚式は挙げたいけど、お金がない」という女性の不満を満たした格安プランを用意し、成功した結婚式場の例を挙げている。確かに、これは「客が待っている仕事」であり、また財布の紐が固い今だからこそ、ニーズが高いビジネスだといえるだろう。

このように、起業における「失敗の法則」を挙げながら、どうすれば成功できるかが、丁寧に書かれている本書。「起業に必要なチェックリスト」「交渉を成功させるための6つの段階」など実践的な内容が多く、個人事業をこれから立ち上げようと考えている人はもちろん、すでに事業を立ち上げたが思ったような結果が出ていないという人にも、役に立つ1冊だ。

それにしても、「デメリットから始めよ」という項で、文豪・芥川龍之介のラブレターが例に出てきたのは驚いた。発想の転換を促す内容と、それをわかりやすい事例で裏付けてくれるところも本書の魅力の一つだと、最後に付け加えておこう。

『起業 失敗の法則』
鈴木健介著/ディスカヴァー社(amazon書籍紹介ページ)

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