意外に知らない!確定申告時に受けられる控除を再確認しよう!

控除とは、「ある金額から一定の金額を差し引く」という意味。例えば、確定申告における所得控除とは、「介護している高齢の親がいたり、病気や災害での出費があったりといった個人の事情に対して、税負担の公平の面から考慮し、一定額を所得から差し引ける制度のこと」。ただし、控除と一口に言ってもたくさんの種類があり、それぞれ条件も違うので、その基本について今回は再確認していきたいと思います。
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目次
- POINT
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- 控除の中には所得控除と税額控除がある
- 所得控除の盲点になりやすい項目をチェック
- 税額控除ならさらなる節税が可能だが、科目は少ない
所得税の控除について再確認しよう!
確定申告をするときの所得税の控除には大きく分けて次の2つがあります。この2つは似ているようで若干性格が異なります。いずれにせよ、こうした控除額が大きいほど税金がかかる課税所得金額が少なくなりますので、その結果として、税額も少なくなるのです。
1.所得控除(所得から差し引ける)
基礎控除(38万円)、医療費控除、扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除など。
2.税額控除(税額から差し引ける)
住宅ローン控除、配当控除、政党等寄附金特別控除など。
所得控除の申告モレがあると税額がアップするので要注意!
所得控除できるものの中でも、ついつい申告を忘れてしまうと、その分税額がアップしてしまいます。そこで、控除できるものは忘れずに申告した方が節税につながるポイントとなりますが、意外にモレがちな所得控除の種類を以下に紹介します。
● 扶養控除
2010年の税制改定で15歳未満は廃止されたので、ひょっとすると、全廃されたかと思っている人もいるかもしれませんので、扶養控除は要チェックです。実は、扶養している子どもが16歳になれば、38万円が控除でき、19歳以上〜23歳未満は63万円の控除ができます。
要するに子どもが小・中学生の扶養控除はなくなったものの、高校・大学生の学費を考えて所得控除は残されているのです。ちなみに、子どもが23歳以上になっても扶養を続ければ、38万円の控除額が適用され、65歳以上の両親や祖父母の年金額が年間158万円以下で扶養に入っていれば同じく38万円が認められます。ただし、親の年齢が70歳以上や同居かどうかで控除額は変わりますので、詳しくは以下をご確認ください。国税庁|扶養控除
● 医療費控除
医療費が年間10万円(年間総所得金額等が200万円未満の人はその5%分の金額)を超える場合は、その超過額について所得控除を受けることができます。
個人だと入院でもしない限り医療費10万円には届きませんが、この医療費には、家族の医療費をはじめ、かぜ薬などの医薬品代、金歯を入れた時の費用、妊娠時の定期検診の費用、病院までの交通費も認められるので忘れないようにしましょう。なお、歯列矯正や人間ドックの費用は、基本、対象外とされていますが、ケースバイケースですので、確定申告時に税理士さんや青色申告会などに相談されてみてはいかがでしょう。国税庁 l 医療費を支払ったとき(医療費控除)
医療費控除の申請方法などについて詳しくはこちらの記事で説明しています。
・医療費控除の確定申告方法と手順【税理士が解説!】
● 寄附金控除
2012年度の税制改正で、適用限度額が引き下げになり、2,000円を超えて寄付すれば寄附金控除が受けられます。ただし、領収書の写しの提出が必要なうえ、寄附金控除を受けられる対象団体も決まっているので、お住まいの自治体のホームページをご確認ください。
ふるさと納税は寄付金控除の対象です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
・5分でわかる!ふるさと納税のポイント
● 雑損控除
台風や地震、火災などの災害、ひったくり、空き巣などの窃盗・盗難、横領などの損害を受けた場合に、一定額を所得から控除できるのが雑損控除です。最近急増している「母さん助けて詐欺」は、被害者本人の意思が介在しているため対象外なのでご注意ください。この雑損控除と似たようなものに災害減免法による税額控除がありますが、これはあくまで災害対象となります。詳細は以下を参考にしてください。
国税庁 l 災害や盗難などで試算に損害を受けたとき(雑損控除)
税額控除はさらにお得!
所得控除よりも節税効果が高いものと言えば、税額控除です。所得税の場合、収入−経費−所得控除=課税所得金額に税率をかけたものが税額となりますが、そこから一定の金額を控除できるのが税額控除だからです。ただし、税額控除の項目は少なく、住宅を購入した時の「住宅ローン控除」や所有する株や投資信託から配当を受けた時の「配当控除」がある程度です。
控除忘れは、所得税だけでなくお住まいの区市町村の住民税にも影響します。そこで、こうした控除の制度をうまく使って、所得税・住民税を含めたトータルの節税アップをめざしましょう!
photo:Thinkstock / Getty Images