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「分とく山」野﨑洋光さん 「自分の分を知ること」それができればきっと成功しますよ。

アテネ五輪では長嶋茂雄氏の要望で野球の日本代表チームの料理番も務めた野﨑洋光さん。料理長を務める「分とく山」の開店から、今年で25年を迎えたが、決して気軽に足を運べる価格の料理店でないにもかかわらず、長きに渡ってお客さんをとらえて離さないその理由とは何なのか。野﨑さんならではの料理人としての哲学、飲食店経営の極意に迫る。

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店を成功させたいなら、人を動かすことが大事

飾らない言葉で真摯に対応する人柄に惹かれ、野﨑さんの元には、独立して店を構えたいという人も相談に訪れる。そんなときは、決まってたずねることがあるという。

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「ひと月、何人動かせるかを必ず聞くんです。20席くらいの店なら、一日10人来て、ひと月に300人のお客さんを動かすことが出来ないと、利益も出ないしお店は成り立たないですから」

そうは言っても、人を動かすのは難しく、人脈をフル活用できている人のほうが少ないだろう。では、人を動かすために大事なこととは何か。「信用を得ること」と「相手を裏切らないこと」と野﨑さんは説く。

「一人の人間には、なんにも力がないんですよ。でも、あなたにお金がなくても、あなたのことを信用している人なら、あなたにお金を出す。銀行だって同じです。信用があれば人は動くし、あいつの店なら食事に行ってやろうと思ってもらえるんです。信用を得たら、それを裏切らない、嘘をつかない、誠実に生きる。たとえ300人のお客さんが動いてくれても、嘘のないキチッとした仕事をしないと、その後は続かないわけです。世の中はこの連続。信用を守り続けなければいけない」

また、「将来、自分の店を持ちたい」という気持ちがあるならば、「ただ夢を見るだけではなく、自分は何がしたいのかを明確にすることも重要なこと」という。

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「自分は社長になりたいのか、一流の料理人になりたいのか、なぜ店をやりたいのかを明確にしておかないと。その上で、それが自分にできるのか自分の器と相談する。自分の器量も把握せずに虚像の中でやってると失敗してしまいますからね。
話が戻るけど、商売をはじめる前に、まず自分を知ることが大事になってくるんです。お金がたくさんあるから大きな商売ができるとは限らないんですよ。大きい仕事をやりたいなら、人に対しての気配りや心の優しさも必要だし、大きい器を持って物事に当たらないと。それは、修業時代から磨かなければいけない」

そして、「修業時代に何を見るかというのが人生の岐路」と野﨑さんは付け加える。

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「私たちは、見えるのに見ようとしていないから、肝心なことが見えてない。日々、勉強しようという姿勢さえあれば、どこでも勉強が出来るんですよ。
例えば刺身の原価率はだいたい決まっています。上身の良いところだけでお金をとろうとするから高価になりますが、頭や骨、魚の皮からお金はとれないのか。修業時代に全体を隅々まで見ていれば、魚の肝もソースになるとわかるし、捨ててしまうような大根の葉っぱだって刻んで使える。商品化するにはどうしたらよいのか、価値を見い出すにはどうしたらよいのかがわかるんです」

横文字でわからないことは、ひらがなで考えてみる

料理人として常に先を見据え、食育や、地方の農産支援にまで活動の幅を広げている野﨑さんだが、料理人になったのは、勉強しなくても済むと思ったからだそうだ。
しかし今では、「店を経営するには、数字も経済の仕組みも把握しなくてはいけない。日本料理は季節ごとに料理の名前も変わるから、俳諧なんかも読みながら、文学的な知識も得て料理を作って行くんです。食文化を知るために歴史も学び、サイエンスの知識もなければいけない。クリエイターでもあるから創造性も必要です。」
「料理人って、そうやって勉強をして、お客さんとコミュニケーションをとりながら、自分たちのお城をどう作って行くかという商売の楽しさもあると思うんです。お客さんからお金をもらって、自分の好きな食材で料理を作って、お客さんにお返しする。こんな素晴らしい職業は他にはないですよ。」という。

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最後に、野﨑さんはこれから店を構えようとしている人に向け、力強いエールをくれた。
「僕ら料理人は、自分の器量や心の置き場所を知った上で職人としての居場所を作ることが起業だと思うんです。だから、自分の分を知っていればきっと成功しますよ。背伸びするから良くない。横文字でわからないことは、ひらがなに変換して、考えてみればいい。人の言葉なんて借りなくていい。言葉を知らなくて少しくらい素人臭くなっても、あなたの誠実さにみんなは共感すると思いますよ」

野﨑洋光のざきひろみつ

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1953年福島県生まれ。武蔵野栄養専門学校卒業後、東京グランドホテル、八芳園での修行を経て、1980年にふぐ料理店「とく山」の料理長を務める。1989年に「分とく山」の料理長に。地産地消、食育推進等の啓蒙活動も熱心に取り組んでいる。著書の数は40冊以上。おもな著書に、「分とく山」野崎洋光の 一汁三菜」(誠文堂新光社)「分とく山」の和食12ヶ月」 (角川マガジンズ)「美味しい方程式」(文化出版局)などがある。

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