知っておきたい個人情報を扱う際の注意点

個人情報保護法が施行されて来年で早10年。その間、個人情報への意識も大きく変わり、取り扱う事業者には大きな責任が伴うようになりました。個人情報保護法が適用されるのは、5000件以上の個人データを持った事業者ですが、それに満たない場合でも、個人情報への意識が高まるなか、取扱いには注意すべきでしょう。個人情報にはどんなものが含まれるのでしょうか。転ばぬ先の杖として今一度、確認しておきましょう。
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目次
- POINT
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- 人の識別につながるものはすべて個人情報
- 個人情報の収集時には利用目的を明示すること
- 個人情報を提示するときは必ず本人の承諾を
住所や電話番号だけが個人情報ではない
まず、個人情報保護法案が対象とする「個人情報」とは、どんなものを指すのでしょうか。たとえば「A社の田中さん」というのは個人情報に入るのでしょうか、入らないでしょうか。これだけでは、田中さんの住所はわからないので一見、個人情報にはあたらないような気がしませんか。
しかし、「A社の田中さん」という情報だけでは個人を特定できなくても、ほかの情報と組み合わせれば、個人を識別できる情報には十分なりえます。所属する組織や地位や役職、そして趣味嗜好など含めて、個人の識別につながる情報は、すべて個人情報にあたります。
個人事業主の方のなかで、メールマガジンを発行したりしている場合は、会員のメールアドレスやIDを保管しているはず。これももちろん、個人情報にあたりますので、流出させないように管理する必要があります
また、配られた名刺なども、積極的に相手が開示しているものなので、個人情報だという意識が薄れがちです。もちろん、名刺交換は連絡を取り合うために行うものですから、その範囲であれば、わざわざ利用目的を告げる必要はありません。しかし、名刺の情報をもとに、DMなどを発送する際には、事前に伝えておく必要があります。他業種交流会などに出ると、名刺にあるメールアドレスにメールマガジンを勝手に送りつける人がなかにはいますが、マナーの観点からも、個人情報保護の観点からもNG行為です。
アンケート等の利用目的を明確に
「商品を買ってくれたお客さんにアンケートハガキを送って、感想を書いて返送してもらう」。消費者サービスを向上させるためにも、ごく普通に行われていることではないでしょうか。次回の商品購入につなげるためにも、買ってもらったら終わりではなく、感想などをフィーバックしてもらうことは、とても大切なことです。しかし、個人情報保護の観点からいえば、気をつけなければならない点もあります。
それは、個人情報を集める際にあらかじめ「アンケートをとる」という利用目的を明示しておかなければならないということです。また、お客さんが書いたアンケートも個人情報ですから、それをどう利用するのか。そのハガキ自体にも、アンケートの回答の利用目的を明示する必要があるのです。また、送ってもらったハガキをしっかりと管理することは言うまでもありません。
キャンペーンの当選者発表にも注意
キャンペーンもアンケートと同様に、販売促進のためによく行われます。応募券には個人情報が記載されるので、「個人情報使用目的・許可なく第三者へ開示・提供はしない」「目的が終了すれば確実に破棄する」ことなどをことわっておいたうえで、苦情受付窓口の連絡先を明記する必要があります。そして、注意したいのが、当選者の発表です。うれしいことだからといって、住所の一部と氏名だけであっても、提示する場合には、先方の承諾を得る必要があります。当選の連絡をする際に、必ず確認するようにしましょう。
繰り返しになりますが、個人識別につながる情報はすべて個人情報です。そのことを忘れずに、お客様の個人情報はできる限り慎重に扱いましょう。
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