スモビバ流PRの極意:ニュース性がなくてもメディアに取り上げられる法則とは?

知名度の低い個人事業主がメディアへアピールするには、まず業界紙を狙うのがおススメと、前回書きました。では、そもそも何をアピールすればいいのでしょうか。今回は、マスコミが記事にしたいと飛びつく「法則」について見ていきたいと思います。
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目次
- POINT
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- 「ニュース」は、「新しい何か」を取り上げることが基本
- 商品やサービス自体に新しさがないときは、商品以外の新しさで勝負
- 本業には関係のない「スタイル」だけでアピールすることも可能
何が「ニュース」なのか
新聞やテレビ、ネットには、多くの「ニュース」が溢れています。では、メディアがある情報を「これはニュースだ」と判断する基準は、何なのでしょうか。
最もわかりやすく、大きな基準は「新しいかどうか」です。世の中で、初めて起きた出来事。まだ、誰も伝えたことがない事実。あくまで「新しさ」が判断の分かれ目になります。ニュースの語源は「NEW」の複数形で、「NEW”S”」と言われています。今も昔も「ニュース」が「新しさ」にこだわるのは、基本なのです。
ある出来事が、記事で取り上げるにふさわしいかどうか。新聞社であれば記者は「デスク」と呼ばれる中間管理職に、確認を取ります。「どこが新しいの?」、「他社は取り上げていないの?」と、経験の浅い若手記者であれば、デスクにこの2点を確認されることは間違いないでしょう。
「商品」以外の「新しさ」で勝負
「ニュース」は新しいかどうかが基準だと書きました。当然、「王道」は新しい商品やサービスということになります。
とはいえ、個人事業主が本当に新しい商品やサービスを手掛けるのは、至難の業。商材に「新しさ」がない場合は、どうすればいいのでしょうか。たとえばこんな例があります。
過去、多くの新聞やテレビのニュース番組で取り上げられた居酒屋がありました。外観も内装も、ごくありふれた居酒屋です。メニューも何の変哲もありません。値段も標準的。格別おいしいと評判になっているわけでもありませんでした。では、なぜニュースに取り上げられたのでしょうか。それは、従業員が全員「リストラされたサラリーマン」だったからです。本来、居酒屋が勝負すべきポイントである食事やサービスではなく、従業員のあり方の「新しさ」で、マスコミにアピールしたのです。
「本業」ではなく、「スタイル」でアピール
「リストラ居酒屋」は、料理などの居酒屋の本筋ではないにしても、まだ本業そのもので勝負をしました。しかし、本業とはほとんど関わりのない部分で勝負した例もあります。
ワイドショーなどでコメンテーターを務めたり、新聞に連載を持ったりしている方々で、本業が何かわからないような、若い人たちを見たことはないでしょうか。仮に、メディアでは「マーケター」と、紹介されていたとします。しかし、実際は、ほとんどの視聴者や読者は知らないでしょう。視聴者だけではなく、出演させている番組のプロデューサーや、雑誌の編集者も理解していないのかもしれません。そもそも「本業」で評価されるような実績自体がない可能性すらあります。
では、どうしてメディアに起用されたのか。それは、本業以外に「新しさ」を打ち出しているからです。本業での実績で自分を売り出すのではなく、「働き方」という「スタイル」で「新しさ」をアピールしている人たちがいます。マスコミは「新しさ」に飢えているのです。仮に、本業での実績を伴わない「新しさ」であったとしても、「何か」新鮮なものを感じさせることで飛びついてしまうケースがあるのです。
実際に、王道である商品やサービスの中の「新しさ」ではなく、既存の業界への問題意識など、事業を起こそうと思ったときの原点の中に意外にも「新しさ」を打ち出すヒントがあるのかもしれません。
商品やサービス、あるいは自分自身のなかにある「新しさ」(ニュース)を掘り起こす作業が、結果として、メディアに取り上げられる第一歩となるのです。
photo:Thinkstock / Getty Images