「開業届」を出す際の失敗しないチェックポイント

スモールビジネス事業者が開業時に税務署に提出する「開業届」は、正しくは「個人事業の開業・廃業等届出書」と言います。「開業届を出してないと、できない事!?」という記事でも、その重要性については述べられていますが、今回は「開業届」に記入する際のチェックポイントや提出が遅れた時の注意点、業種によっては必要とされるその他の届出などについてご紹介します。
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目次
- POINT
-
- 要チェック!職業欄の記入
- 開業届の提出が遅れたら、青色申告ができなくなる
- その他の届出や申請も忘れないように!
「開業届」に記入する際の3つの留意点
●職業欄の記入について
開業届の記入は特に難しいものではありませんが、中で最も特筆すべきは職業欄です。なぜなら、個人事業税(所得税(国税)ではなく、地方税)が、かかってくるからです。この個人事業税は、事業所得が290万円を超えると業種によっては、かかります。
この個人事業税の税率は、第一種事業5%、第ニ種事業4%、第三種事業5%(あん摩等医業に類する事業及び装蹄師業は3%)があり、この3つの区分に総計70の法定業種が列挙されています。
この法定業種には該当しない業種(ライター、SE、プログラマー、アフィリエーターなど)が増えていますが、実はこれらが個人事業税の対象となるかは各都道府県の判断となり、事業所得が290万円を超えた段階でお尋ねがあるそうです(ちなみに、東京都は作家業を個人事業税の対象とはしていません)。
そこで、自分の職業がどの法定業種に当てはまるかどうか分からない人は、その業務実態がライターに近かったら文筆業とするなど、法定業種以外を書いた方が、将来利益が出た時に有利かもしれません。
●開業日について
「開業日」をいつにするかはいろいろな見解があるようですが、通常、店舗やECサイトを立ち上げて事業を開始した日と考えてよいでしょう。ただし、事業の準備を始めた日を開業日にしてもかまいせん。開業準備の段階でも税務署は開業届を受け付けてくれます。
●事業の概要について
この欄は、税務署に伝わるようにできるだけ具体的に書いてください。ただし、この欄に記入した事業しかできなかったり、逆に記入した事業を必ず実施しなくてはいけなかったりという訳ではありません。今後で行う予定があるものは一緒に書いておいた方が税務調査の際に突っ込まれないと思われます。
開業届の提出が遅れた場合は、青色申告ができない可能性も
開業届の提出期限は開業後1カ月以内となっていますが、この期日を過ぎてしまうこともあるようです。その場合はどうなるのでしょうか?
実際のところ、提出が1カ月以上遅れたとしてもペナルティは特にありません。開業届提出の有無に関わらず、事業所得として確定申告を済ませた場合、事実上開業していると税務署は見なしますので、後日に開業届を提出する際には事実上の開業日まで遡った日付で開業届を出せばよいでしょう。
ただし、青色申告を始めようと思っている人は注意が必要です。2カ月を超えて開業日を遡り、かつ「青色申告承認申請書」の提出期限(3月15日)より後に開業届を提出した場合、その年の分から青色申告で行いたいと思っても、白色でしか認められなくなってしまうからです。
業種によっては、「開業届」以外の届出や許認可申請が必要!
独立開業する事業の内容によっては、監督官庁に対する許認可申請や届出が必要です。以下のようにスモールビジネス事業者に関連するものは以下のように4種類があります。
1.許可:飲食店、建設業、一般人材派遣業、リサイクルショップなど
2.免許:不動産業、酒類販売業など
3.登録:旅行代理業、貸金業など
4.届出:理・美容院、クリーニング店、駐車場など
この中で最も手軽なものは書類の提出だけで済む「4.届出」です。許認可の書類提出先は官庁や地方自治体など、それぞれ異なりますので、自らの事業にどのような認許可が必要かどうかだけでなく、その届出先まで確認しておきましょう。
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