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花くまゆうさくさん「一歩前に出る勇気があれば、なにかあるし道は開けますよ、たぶん。」

ウェブや雑誌、書籍などさまざまなメディアで強烈な個性を放つ、漫画家・イラストレーターの花くまゆうさくさん。アフロの男性と、禿げ上がったおじさんという2人のキャラクターが織りなす世界に、思わずプッと笑ってしまった経験がある人は少なくないだろう。映画化もされた『東京ゾンビ』等の漫画のほか絵本やエッセイも手がけるなど、15年以上にわたり第一線で活躍を続ける花くまさんに、漫画家として独立するまでのエピソードや、これから独立を目指す人へのメッセージを伺った。

20代前半は苦労の時。その経験があるから今がある

花くまゆうさく氏「5年ほどバイトをしながら漫画を描き続けていましたが、『ガロ』&『ザ・チョイス』への挑戦はしていませんでした。まだ『ガロ』には力不足だと思ってたので。そのくせ他の商業誌へは応募してたんですよ、失礼な奴ですね(笑)。それで小さな賞は何度か受賞して、多少の仕事はありました。でも『やっぱり食べていくのは無理かな』と思って、一度あきらめたんです。消火器を作る工場に就職して、工員として生きて行くつもりでした。そしていつか『ガロ』に入選すればいいかなと」

仕事の傍らで漫画は描き続けたが、いろいろな漫画雑誌に持ち込むのはきっぱりと止め、作品を応募するのは5年間目標にしていた『ガロ』だけにした。会社に漫画を描いていることが知られるのを避けるため、「花くまゆうさく」というペンネームを使い始めたのもこの頃のことだ。

「ところが覚悟キメて就職したのがよかったのか、ほどなく『野良人』という作品で入選したんです。それをきっかけに仕事の依頼が増え始めて、『やっぱり漫画家だけでいきたい』と気持ちは高まりました。でも、正社員で働き始めたばかりで、社内であるプロジェクトチームにも入っていましたし、辞めるとは言い出しにくくて……。それで『1年、勤めたら辞めよう』と決めて、昼間は工場で働き、夜は漫画を描くという生活を送りました」

そして1年後、工場を辞めた花くまさんは、ついに漫画家として完全に独立。同じ頃、もう1つの目標だった「ザ・チョイス」入賞も果たした。

「今になって昔のことを思い返すと、アルバイトしたり会社に勤めたりしていた頃は未熟で無神経なところもあって、『自分は子供だったんだな』と感じます。今もまだまだ未熟で幼稚ですけどね、若い頃はもっと酷い。ずいぶん苦労もしましたが、20代前半をそうやって過ごしたことは良かったと思いますね。もし技術的にも精神的にも未熟なうちにポッと世に出てしまっていたら、酷い大ヤケドして自滅していたと思いますよ。」

独立を目指すなら、人生を棒に振るくらいの覚悟が必要

会社を辞めてから15年以上、仕事が途切れたことがなく、「毎日、何かしら仕事のことを考えなくてはならない状態」が続いているという花くまさん。ここ数年は、日々の仕事をこなすうちに時間がどんどん過ぎていくことに焦る気持ちもある。

「長編の漫画はしばらく描けていません。やらなければと思いながらできていない今の状況には、葛藤がありますね。でも、忙しくてもコンスタントに凄い作品を出している方もたくさんいますから、ただ単に自分が甘いだけですけど。いずれは大きな作品に取り組みたいですし、それを実現することが今後の課題ですね。凄くよくできた映画を見ると、こんな凄い作品を漫画で作りたい!とあせります」

長きにわたり第一線で活躍し続けている花くまさんは、漫画家やイラストレーターを志望する人からアドバイスを求められることもある。そんな時に伝えるのは「人生を棒に振るくらいの覚悟が必要」ということだ。

花くまゆうさく氏「もちろん、漫画家やイラストレーターになるには、才能もある程度は必要でしょう。でも、それだけではダメで、行動する勇気が必要だと思います。まず何かしら行動しないと何も始まりません。まっとうな勤め人でない道を目指すんだから覚悟をキメてやるしかないんじゃないですか、ヤケクソかもしれないですけど。一歩前に踏み出す勇気があれば、なにか道は開けますよ、たぶん!」

独立を目指せば、不安定な将来に恐怖心を感じることもある。

「まっとうな勤め人でない道を選んでおいて、保証も欲しいなんて都合よすぎだぞ!と自己暗示かけて乗り切りましょう。」

<SPECIAL>

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インタビュー終了後、メッセージと一緒に気さくにキャラを描いてくれた花くま先生(!)

花くまゆうさく はなくまゆうさく

花くまゆうさく氏

1967年東京都生まれ。セツモードセミナー卒業。『野良人』で第2回月刊「ガロ」長井勝一賞に入選。『イラストレーション』(玄光社)誌上コンペティション「ザ・チョイス」で第13回年度賞優秀賞を受賞。漫画単行本『労働2号』『東京ゾンビ』(いずれも青林工藝舎)、『メカ★アフロくん』(マガジンハウス、幻冬舎文庫)や絵本『ムンバ星人いただきます』、映画・テレビ・プロレス・格闘技について中学生気質で書き下ろしたエッセイ『青いオトコの汁』(アートン)など著書多数。

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