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スモビバ流PRの極意:マスコミのネタ探しの切り札とは?

「全国紙やテレビで取り上げてもらいたい。けれど、個人事業主や中小企業には関係のない話かな」と、最初からあきらめていませんか。大手メディアの記者は、日ごろからネタ探しに苦労しています。ですので、メディアの特性を理解し、ちょっとした段取りを踏めば、全国紙やテレビで取り上げてもらうことは、実は高いハードルではありません。在京キー局でニュース番組を10年担当した経験から、その秘訣を解説していきます。

POINT
  • 大手マスコミの記者は、いつもネタを探している
  • 記者独自の発想や人脈による記事だけでは、紙面を埋められない
  • 大手マスコミの隠れたネタ元は、実は業界紙

「ネタ」に飢えている記者たち

「どこかに、まだ誰も取り上げていない、面白い話はないものか」。新聞、テレビ、雑誌の記者は日々、悩んでいます。記者の日常の半分以上が、ネタ探しといってもいいほどです。「まだ誰も取り上げていない」ネタを見つけるというのは、実はかなり難しいのです。

例えば、テレビでよく見る「おいしい飲食店」特集。ひとつのテレビ局で、1日平均3時間は、「おいしい店」を取り上げているのではないでしょうか。1時間で10店紹介しているとすると、1日で30店。地上波の民放キー局は5局ありますから、1日150店です。1年にすると、延べ5万店近くに達します。実際には、「おいしい店」が続々と開店しているわけではありません。5万店の多くは「どこかの番組で既に取り上げられたことがある」店になっています。「他のメディアが取り上げていないもの」を見つけるのは、至難の業なのです。

同じ社内の記者同士であっても、数少ないネタを奪い合っています。以前、わたしがある企業に取材依頼の電話をかけたときのこと。取材の趣旨など、ひと通り説明し終えると、電話の向こうの広報担当者が困惑した様子で、一言。「ちょうど今、おたくのテレビ局の、他の番組の方が取材に来られているのですが、それとは別なのでしょうか」。同じ社内の記者であっても、事前に情報共有しないほど、ネタ探しの競争は激しいものなのです。

独自ネタだけでは紙面を埋められない現実

「記者は広く人脈を張り巡らせ、聞きつけた情報を基に記事にする」。記者の仕事というと、こんなイメージを持っているのではないでしょうか。「理想の記者像」ではあるのですが、実態はやや異なります。

本紙やネット向けなど、記者は毎日、何本もの記事を書かなくてはいけません。人脈だけに頼っていては、ノルマの記事本数を埋めることはできない。しかも近年、多くのマスコミの経営状態は決して良くはありません。現場に立つ記者の数は減る一方です。反対に、本紙だけではなく、自社のネットメディア向けの記事も書く必要に迫られています。記者はますますネタ探しに苦しむ状況に追い込まれています。

割り当てられた紙面の枠を何とか埋めなくてはいけない。記者は他のメディアが取り上げた記事であっても、切り口や紹介する商品などを「アレンジ」することで、別の記事に仕立てられないかと考えるようになります。

マスコミのネタ探しの切り札とは

少しでも参考になりそうな記事はないものか。記者は毎日、多くのメディアをチェックします。日経、朝日、読売といった全国紙は当たり前。主要なビジネス誌にも当然、目を通します。そして、記者には困ったときの切り札とでも言うべき、ネタ元媒体があります。それが、業界紙です。

なぜ、密かな切り札が業界紙なのでしょうか。ひとつは競合企業ではないということがあります。競合他社の記事を「アレンジ」するというのは、心理的に抵抗感が出てしまいます。ライバル記者に負けた気分になってしまうからです。

もうひとつは、特定の分野に絞っているという、業界紙の特性です。守備範囲が広い、テレビや全国紙の記者がまだ気づいていない、新しい動きをいち早く取り上げていることが、時々あるのです。そして、最も大きいのは読んでいる人が少ないということです。業界紙はネット掲載をしていないことが、ほとんど。二番煎じの記事を出したとしても、気がつく人が少ないのです。業界紙で面白そうな話を見つけたら、大手メディアの記者は後追いで、その企業に問い合わせを入れることがあります。

記者の置かれた厳しい労働環境と、業界紙の専門性。それが、業界紙を密かなネタ元にしているのです。

【続編はこちら】

スモビバ流PRの極意:個人事業主や自営業者はまずは業界紙を狙え

photo:Thinkstock / Getty Images

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