どこまで計上できる?! 経費の虎の巻

2月16日から確定申告がスタートしましたね。すでに申告済みの方も多いようですが、確定申告の作業をしている際、だれもが1度は「経費はどこまで計上していいのだろう?」と悩むのではないでしょうか?今回は、この悩みをズバッと切り刻んでみたいと思います。なお、参考にする場合は、自己責任でお願いしますね。
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目次
守らなければいけないポイント
さまざまな費用を必要経費にするためには、必ず守るべきルールがあります。
それは”必要経費になるものは、事業に関連している支出だけ”です。
これが大前提となりますが、裏を返せば事業に関連さえしていれば必要経費にできるのです。ここだけしっかり押さえておけば、どんな費用であっても怖くありませんよ。
仕事中に飲むコーヒー代は?
家事上の経費でも事業に実際使っている部分に対応する費用を、個人事業主の費用として計上できる家事按分。主に、家賃や水道光熱費、電話料金、インターネット料金、自宅のローンの利息、自宅の減価償却費などを使用割合や面積割合などに基づき按分します。「トイレなどの共用部分はどうするの?」と思う方、これらの共用部分も仕事で使用するため、按分可能です。また、リビングや寝室でも仕事をすることがある方は、使用比率がどのくらいかをしっかり把握したうえで家事按分すれば大丈夫。
そのほか、自動車の減価償却費、ガソリン代、火災・損害保険料なども仕事に使った割合に応じて必要経費にできますし、休憩中に飲むコーヒー代、トイレットペーパーや洗剤なども家事按分が可能。なお、必ず按分の根拠は用意しておき、税務調査の際にはその根拠資料を提示しましょう。
テレビや音響機器も全額費用?
青色申告を選択している個人事業主の方は、30万円未満の備品を購入した時に、全額費用(年間300万円まで)にすることができる特典があります。資産に計上するよりも所得が減り税金を抑えることができますね。
仮に、テレビや音響機器などを使う仕事の場合、これらの機器セットが30万円未満であれば、買った時の全額を費用にするなんてことも可能です。仕事に使用するパソコンやデスク、応接セット、中古の営業車などなど、あらゆるものを費用として経費計上しちゃいましょう。
出張ついでに観光。経費にできる?
交通費は、領収書をもらえないから費用にできないと思っている人も少なくないようです。いつ、何のために、どこからどこまでで、いくら掛かったかをメモに残し、これを証憑(しょうひょう)として必要費用に計上できます。仕事の関係から宿泊しなければならない場合でも、領収書を必ずもらって理由を記載しておけば税務調査の時も全く問題ありません。
出張ついでに観光をした場合は、旅費は必要経費に、宿泊費は日数按分で必要経費と家事費に分ければ大丈夫です。ただし事業主が出張した場合の日当や食事代などは、法人と異なり費用にできませんのでご注意ください。なお、どのような日程で出張と観光を行ったのか、メモでしっかり残しておきましょう。
運転免許取得にかかる費用も経費?
セミナー参加費用、セミナー会場への交通費なども事業に必要な支出であれば、全額必要経費に計上可能です。
たとえば、飲食店を経営している場合でひとりの飲食代であっても、調査・研究のためなど事業に直接必要と認められるものであれば必要経費にできます。「調査するため、家内と一緒に食事に行った」なんて費用も大丈夫。
また、自動車を使う仕事の場合、従業員が運転免許を取得するためにかかる支出も必要経費に計上できてしまいます。
ただし、税務署から否認されないよう、調査レポートや支出理由など記載したメモを作成し、客観的な説明資料を残しておく配慮は必要ですよ。
新聞は経費。では、スポーツ新聞やマンガは?
仕事に直接関係する新聞代、仕事に直結する専門誌代、勉強のための書籍なども費用に計上できます。マンガ家の方が、ほかのマンガ家の作品を読む必要があれば、週刊マンガでもコミックでも必要経費にできますし、マンガを描くために食事に行く必要や雑誌を読む必要があるならば、これらも必要経費に計上可能です。ただし、一般紙やスポーツ新聞を費用に落とすのは難しいかも。もしも、チャレンジする方は、仕事にしか使っていないことをしっかり証明する根拠を用意しておきましょう。
友達との食事は交際費?
取引先との飲み代は交際費として必要経費に計上できますが、友達との飲み代を交際費に計上できません。
ただし…、友達がたまたま仕事関係の人だった、仕事の相談をした、仕事の紹介を受けたなど、仕事に関係あるものであれば、友人との飲み代も費用計上可能でしょう。また、取引先と昼食をとりながら会議を行った場合などの費用は会議費となりますので、必ず経費に落としましょう。職人の方であれば、コーヒーなどをおごることもあるのでは。そのような場合もいつ、だれと、何のためのものかをメモにしっかり残していれば費用に計上できます。
ただし、いつも同じ人と飲み会をするようなときは、交際費とは認められない可能性も高いため、ご注意を。そういう場合は、持ち回りで費用の負担するのも1つの手ではないでしょうか……。
どうでしょう?”必要経費になるものは、事業に関連している支出だけ”、お分かりになりましたか?日々の支出をよく見ると、事業に関連するものがまだまだあるかもしれません。もれなく必要費用に計上して、少しでも節税しちゃいましょう。
photo:Thinkstock / Getty Images