「解雇」とはなにか? 禁止事項と基本的なルール
テレビドラマなどで「お前なんかクビだ!明日から来るな!」と雇い主が従業員に叫ぶシーンがあったりしますね。これを「解雇」と言いますが、それはどのようなものでしょうか。今回は「解雇」についての禁止事項と基本的なルールなどをまとめてみました。
[おすすめ]「弥生の給与計算ソフト」なら目的や業務別に選べる!まずは無料体験
目次
解雇とは
そもそも「解雇」とはなんでしょう。法的に言うと「雇用契約の終了」のうちのひとつです。「雇用契約の終了」には「退職」と「解雇」の2種類があります。「解雇」は会社側から一方的に雇用契約を終了させることです。
「退職」については、「『退職』とは何か? 退職の種類と手続き、規程」をご覧ください。
解雇への高いハードル
解雇は、会社がいつでも自由に行えるというわけではありません。冒頭部分で挙げたテレビドラマのようなわけにはいかないのです。解雇するには、社会の常識に照らして納得できる理由が必要です。これを「解雇権濫用法理」といい、労働契約法の中で明文化されています。
例えば、解雇の理由として「勤務態度が悪い」「業務命令に従わない」など、労働者側に問題があることが考えられますが、一度の失敗ですぐに解雇が認められるわけではありません。労働者の落ち度の程度や労働者に対する指導の有無、会社の被った損害の大きさ、悪意か故意かなどさまざまな事情が考慮され、無効となるケースもあります。
解雇が禁止される場面
上記の労働契約法の他にも、労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などでも一定の場合については解雇が禁止されています。以下はその主なものです。
- 業務上の傷病による療養のために休業する期間とその後30日間の解雇
- 産前産後休業の期間とその後30日間の解雇
- 女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを理由にした解雇
- 労働者が育児・介護休業を申し出たり、休業をしたことを理由にした解雇
手続き上のルール
解雇を行う際には、原則として少なくとも30日前に労働者に対し解雇の予告をする必要があります。予告を行わないで解雇した場合には「解雇予告手当」として30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。ただし、30日以上前の解雇予告か30日分以上の解雇予告手当かの二者択一というわけではありません。その二つの日数を合わせて30日分以上であればOKです。例えば、もし解雇予告が10日前だったとしても、平均賃金の20日分の解雇予告手当を支払えば良いことになります。
ここで間違えやすいのは、解雇予告もしくは解雇予告手当の支払いさえすればどんな理由でも解雇できるわけではないと言うことです。上記で挙げた「解雇権濫用法理」や「解雇が禁止される場面」のハードルをクリアしなくてはいけません。
まとめ
「解雇」とは何か、基本的な部分をお話しました。できれば避けたいことですが、あらかじめ就業規則に解雇事由を定めておくことが大切です。
知っておきたい基礎知識|雇用と給与|まとめINDEX
- はじめて従業員を雇うときに知っておきたいこと
- 従業員の雇用には、どんな手続きが必要か?
- 従業員を雇用するときに準備する必要書類
- 労働保険・社会保険とは何か?
- 社会保険の手続き
- 労働保険の手続き
- 労働保険の年度更新とは
- 住民税 普通徴収と特別徴収の違いと手続き
- 標準報酬月額とはなにか? 決定のタイミングはいつ?
- 算定基礎届・月額変更届とは?
- 給与の源泉徴収と源泉所得税納付の手続き
- 賞与での社会保険の計算と手続きについて
- 年末調整とはなにか?
- 給与計算・年間スケジュール
- 給与計算のための就業規則・給与規程のポイント
- 給与計算・給与明細書の作成前に準備すること
- 給与計算での支給項目と非課税扱いになる手当
- 給与計算での「社会保険料」の計算
- 給与計算での「雇用保険料」の計算
- 給与計算での源泉所得税の計算方法
- 給与での支給額の算出方法と給与計算後の納付事務
- 「退職」とは何か? 退職の種類と手続き、規程
- 「解雇」とはなにか? 禁止事項と基本的なルール
- 「休職」とは?基本的なルールと必要な手続き
- 妊娠・出産・育児・介護に関する「休業」と必要な手続き