給与計算での「雇用保険料」の計算
労働保険は、労災保険と雇用保険の総称です。そして、個人事業主・法人にかかわらず、従業員を1人でも雇ったら労災保険と雇用保険に加入しなければなりません。
そのうち、毎月の従業員給与から控除する雇用保険料は、どのように計算するかご存知ですか? 雇用保険料の計算について、実際に具体例を挙げながらお話します。
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目次
ある会社員の例
会社員Aさんを例に挙げましょう。Aさんの会社は雇用保険に加入しています。Aさんは被保険者のため毎月の給与から雇用保険料を控除されています。下図はAさんの2022年4月の給与明細書を抜粋したものです。図の黄色部分にAさんの給与から控除する雇用保険料の額を入れたいと思います。Aさんに関する情報は以下のとおりです。
- 年齢 … 42歳
- 勤務している会社の業種 … 卸売業

雇用保険料控除の対象となる年齢
2020年(令和2年)4月1日からすべての雇用保険被保険者について雇用保険料の納付が必要となっています。
2017年(平成29年)1月1日より雇用保険の適用拡大があり、65歳以上で新たに雇用された方も雇用保険の適用対象となっていますが、2020年(令和2年)3月31日までの間は、高年齢労働者に関する雇用保険料は免除されていました。
雇用保険料率
2022年(令和4年)度 2022年4月1日から2023年3月31日の雇用保険料率は、下図のとおりです。
令和4年度雇用保険は、2段階更新に注意
2022年(令和4年)度の雇用保険は、年度の途中から保険料率が変更となりますので、ご注意ください。(赤文字は変更部分)
・2022年(令和4年)4月から、事業主負担の保険料率が変更になります。
・2022年(令和4年)10月から、労働者負担・事業主負担の保険料率が変更になります。

【引用画像】厚生労働省:「雇用保険料率について」より抜粋
Aさんの勤務している会社は卸売業なので「一般の事業」に該当し、労働者が負担する保険料率は3/1,000であることがわかります。
- 雇用保険料率 …… 3/1,000
雇用保険料を求める計算式
労働者が負担する雇用保険料は以下の計算式で求めます。
雇用保険料 = その月の支給額合計 × 保険料率(%)
社会保険料を計算するときに使用した「標準報酬月額」ではありませんので注意してください。
Aさんの雇用保険料
保険料率と計算式がわかったところで、Aさんの負担する雇用保険料を計算してみましょう。
Aさんの支給額合計は381,217円ですので以下のようになります。
- 雇用保険料=381,217円×3/1,000=1,143.651円⇒1,144円
計算結果に端数がある場合は、50銭以下切り捨て、50銭超切り上げです。
雇用保険料には、社会保険料と違って保険料額表はありませんが、都度、現在の料率であるかを確認するなどしましょう。
給与ソフトを利用している場合も、常に最新の法令対応をしているか確認しておくと安心ですね。
まとめ
「弥生給与」なら、雇用保険料の計算ふくめて、毎月の給与計算や年末調整、社会保険業務をスムースに進められます。
雇用保険料は、「弥生給与」のような給与計算ソフトを使った場合は、自動計算されますが、求め方は理解しておきましょう。
- 【関連記事】
- 労働保険とは?制度と年度更新について解説
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給与計算ソフトを活用しましょう
従業員を雇用すると、給与計算から、社会保険、年末調整などの業務が発生します。金銭にかかわることなので、ミスがないように遅滞なく行う必要があります。
しかも、給与関連業務は、法令改正や保険料の計算など毎年細かな変更があります。常に最新の法令に対応した処理が求められます。そんな給与関連業務にかかる負担を軽減するためには、給与計算ソフトの利用が効果的です。
「弥生給与」や「やよいの給与計算」では、給与計算業務に必要な機能を網羅。給与・賞与計算、社会保険、年末調整までミスなく確実にできます。給与支払報告書の電子提出にも対応しています。あんしん保守サポートに加入していれば、常に最新の情報が提供されます。
弥生給与(やよいの給与計算)では、「労働保険 概算・確定 保険料申告書」を作成することはできませんが、「労働保険 概算・確定 保険料申告書」の資料として[労働保険料算定基礎賃金集計表]と[労働保険料集計表]を作成することができます。

※[労働保険料集計表]は弥生給与のみの機能です。やよいの給与計算では[労働保険料算定基礎賃金集計表]のみ作成できます。
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