住民税 普通徴収と特別徴収の違いと手続き
従業員を雇ったら、給与の支払い義務が生じます。そして、従業員の給与から社会保険料や所得税(国税)、住民税(地方税)などを控除することになります。今回はそのなかのひとつ、住民税の手続きについてお話します。
[おすすめ]「弥生の給与計算ソフト」なら目的や業務別に選べる!まずは無料体験
目次
普通徴収と特別徴収
住民税の手続き関係でまず最初におさえておきたい「普通徴収」と「特別徴収」という言葉があります。
普通徴収とは、住民税を従業員本人が市区町村へ納める制度です。市区町村から納税通知書が従業員本人の自宅に郵送されます。
個人事業主の場合の住民税は、普通徴収です。所得税の確定申告を行うとその情報に基づき市区町村から納税通知書が個人事業主宛に郵送されます。
特別徴収とは、会社が住民税を従業員の毎月の給与から控除して市区町村へ納める制度です。市区町村から「特別徴収税額通知書」が会社へ郵送されます。会社は特別徴収義務者と呼ばれます。
今回はこの特別徴収についてご説明します。
住民税の納付の流れ
特別徴収の場合、住民税は以下の流れで納付します。
① 会社は、従業員に支払った1年間(1月から12月まで)の給与額を翌年1月に市区町村へ報告する
② 市区町村は税額の計算をする
③ 5月に市区町村が会社へ税額を通知する(特別徴収税額通知)。
会社は税額を従業員へ通知する
④ 会社は従業員へ支払う各月(6月から翌年5月まで)の給与から住民税を控除(特別徴収)する
⑤ 会社は市区町村へ住民税を納付する
住民税は、給与を支払った月の翌月10日までに納付します。ただし、給与の支給人員が常時10人未満の場合には市区町村に申請し承認を受けることにより納付を6月と12月の半年に1度とすることができます。これを納期の特例といいます。
また、住民税額の計算のもとになる給与額は1月から12月までというスパンですが、住民税を給与から控除するときは6月から翌年5月までです。少しややこしいので時系列で表します。

新卒の場合、住民税の控除はいつから?
新卒者が4月に入社した場合、住民税を給与から控除するのはいつからでしょうか。これは上の図からもわかるように入社した翌年の6月からになります。
退職者はどうする?
従業員が定年や転職などで退職した場合には、市区町村へ「給与支払報告書・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を提出します。以下の3つのパターンがあります。
① 普通徴収へ切り替え…未徴収税額を個人(従業員本人)で納付する場合
② 一括徴収…未徴収税額を給与や退職金から一括して徴収する場合
③ 特別徴収継続…転職先で継続して特別徴収を行う場合
それぞれの記入例は下記リンクを参考にしてみてください。
【参考】
杉並区公式ホームページ
中途入社の場合
中途入社の従業員から申し出があった場合には「特別徴収切替届出書」を市区町村に提出し特別徴収への切り替えをします。記入例はこちらです。
【参考】
杉並区公式ホームページ
まとめ
会社は住民税の「特別徴収義務者」となり、きちんと①給与支払いを報告し、②給与から住民税を控除し、③納める、という義務があるのです。正しく理解しておきましょう。
記事監修:青木学(税理士)
————————
給与計算ソフトを活用しましょう
従業員を雇用すると、給与計算から、社会保険、年末調整などの業務が発生します。金銭にかかわることなので、ミスがないように遅滞なく行う必要があります。
しかも、給与関連業務は、法令改正や保険料の計算など最新の法令に対応した処理が必要なので、常に最新の法令に対応した処理が求められます。そんな給与関連業務にかかる負担を軽減するためには、給与計算ソフトの利用が効果的です。
「弥生給与」や「やよいの給与計算」では、給与計算業務に必要な機能を網羅。給与・賞与計算、社会保険、年末調整までミスなく確実にできます。給与支払報告書の電子提出にも対応しています。あんしん保守サポートに加入していれば、常に最新の情報が提供されます。また給与・賞与明細の発行までで充分な方には、クラウドソフト「やよいの給与明細 オンライン」もおすすめです。労務関連の業務効率化にご活用ください。
知っておきたい基礎知識|雇用と給与|まとめINDEX
- はじめて従業員を雇うときに知っておきたいこと
- 従業員の雇用には、どんな手続きが必要か?
- 従業員を雇用するときに準備する必要書類
- 労働保険・社会保険とは何か?
- 社会保険の手続き
- 労働保険の手続き
- 労働保険の年度更新とは
- 住民税 普通徴収と特別徴収の違いと手続き
- 標準報酬月額とはなにか? 決定のタイミングはいつ?
- 算定基礎届・月額変更届とは?
- 給与の源泉徴収と源泉所得税納付の手続き
- 賞与での社会保険の計算と手続きについて
- 年末調整とはなにか?
- 給与計算・年間スケジュール
- 給与計算のための就業規則・給与規程のポイント
- 給与計算・給与明細書の作成前に準備すること
- 給与計算での支給項目と非課税扱いになる手当
- 給与計算での「社会保険料」の計算
- 給与計算での「雇用保険料」の計算
- 給与計算での源泉所得税の計算方法
- 給与での支給額の算出方法と給与計算後の納付事務
- 「退職」とは何か? 退職の種類と手続き、規程
- 「解雇」とはなにか? 禁止事項と基本的なルール
- 「休職」とは?基本的なルールと必要な手続き
- 妊娠・出産・育児・介護に関する「休業」と必要な手続き