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11.消費税計算で仕入税額控除のできる取引・できない取引

企業が消費税として実際に納税する金額は、売上にかかる消費税額から、仕入代金などにかかる消費税額を控除した金額であることは、「04.消費税の納付額の計算方法と課税形式」で述べたとおりです。
そして、この仕入代金などにかかる消費税額を控除することを、仕入税額控除と呼ぶことも説明しました。
注意点としては、消費税法では商品の仕入だけでなく、諸経費の支払や設備の購入なども「仕入」と呼ぶのでしたね。そして、消費税が課税される仕入のことを、課税仕入と呼びます。

仕入税額控除のできる取引(課税仕入)とは

ここで、仕入税額控除のできる取引、つまり課税仕入の定義を確認しておきたいと思います。

「課税仕入とは、事業者が、事業として他の者(※1)から資産を譲り受け、もしくは借り受け、または役務の提供(※2)を受けること(※3)をいう」

(※1) 他の者には、課税事業者だけでなく、免税事業者や消費者も含まれる
(※2) 給与等を対価とする役務の提供は除かれる
(※3) 仮に、他の者が事業としてその資産を譲り渡し、もしくは貸し付け、またはその役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので、輸出免税等により消費税が免除されるもの以外のものに限る

注釈の(※1)を見てわかるように、課税仕入であるかどうかは、他の者の属性に依らず、取引のみに着目して判断すればよいというわけです。
そして、「他の者の属性によらず」というのは、(※3)に記載されているように「仮に、他の者が事業として」行ったと仮定すれば良いということです。

例えば、事業者が、ある消費者から中古車を購入した場合、消費者は「事業として」行っているわけではないため、他の者の属性に着目すれば、この取引は不課税取引となります。
しかし、上記の通り、取引が課税仕入かどうかは他の者の属性に依らず判断すればよいのです。
したがって、事業者にとっては、「仮にその消費者が事業として中古車の販売を行ったとした場合」、中古車の購入は課税取引に該当するため、この取引を課税仕入として扱います。
同様に、事業者が、他の事業者から中古車を購入した場合、他の事業者が免税事業者であり、消費税を請求されなかったとしても、支払った対価の額に消費税が含まれているものとして、この取引を課税仕入として扱います。
取引をする相手方の属性ではなく、取引自体に着目して課税仕入かどうかを判断させることで、取引の相手方が課税事業者かどうかを確認することなく、消費税額を計算できるようにして、取引の安定性と予測可能性を担保しています。

仕入税額控除のできない取引とは

一方、上記の課税仕入の定義の(※2)に記載されている給与等のように、仕入税額控除のできない取引も存在します。それが不課税取引と非課税取引です。
「消費税の基礎知識:2. 消費税の対象となる取引・対象とならない取引」の記事で記載した、それぞれの取引の具体例を再掲しておきます。

つまり、取引の相手方を課税事業者と仮定した場合に、

相手方にとっては…… 自社にとっては……
課税売上高 課税仕入高
免税売上高 免税仕入高
非課税売上高 非課税仕入高
不課税売上高 不課税仕入高

というように対応するということです。
そのため、ある取引が不課税取引、非課税取引、輸出免税取引、課税取引のいずれに該当するのかを適切に判断できるようになっておかなければ、消費税額の計算はできないということです。
消費税が課されるかどうかを判定する国税庁のフローチャートが掲載されているページがありますので、もう一度確認しておいてください。
【参考】
国税庁:消費税のあらまし 2 どんな取引が課税対象?

知っておきたい基礎知識|消費税|まとめINDEX

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