03.消費税の申告・納税が課される事業者と、免税される事業者とは?
消費税は国内取引と輸入取引に関して課税されますが、一定の条件を満たす小規模事業者(典型的な例は開業したばかりの個人事業者)については、消費税の納税義務が免除されます。
裏を返せば、一定の条件を満たし消費税の納税が免除された事業者以外の事業者には納税義務が課されることになります。
今回はどのような場合に消費税の納税義務が免除されるのか説明していきます。
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目次
消費税の納税義務の条件とは?
消費税は、事業者が国内において事業として行った資産の譲渡および役務の提供等と保税地域から引き取られる外国貨物(輸入取引)に対して課税されます。
ここで資産の譲渡等とは、資産の譲渡(物販等)、貸付け(不動産の賃貸など)および役務の提供(サービスの提供)を指します。
このように消費税は国内取引に広く課税されますが、事業者の事務処理等の負担を考慮して、小規模事業者については消費税を免除する措置がなされています。
ここでいう小規模事業者とは、「その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である事業者」を言います。
また、消費税の納税義務が免除となる事業者のことを「免税事業者」と呼びます。
基準期間とは何か?
基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は消費税が免税となりますが、基準期間とはいつの期間を指すのでしょうか?
基準期間は個人事業者の場合と法人の場合では考え方が多少異なります。以下の図をご覧ください。
- ① 個人事業者…その年の前々年(その年が、2017年の場合、基準期間は2015年になります)
- ② 法人…その事業年度の前々事業年度
つまり、今期の2年前(法人の場合は2期前)が基準期間に該当します。
ただし、前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間となります。
半期決算法人が、2017年4月1日から2017年9月30日を課税期間とする場合における、基準期間の判定を具体的にやってみると以下のとおりとなります。
その事業年度開始の日 | 2年前の日 | 前日 | 1年を経過する日までの間 | 開始した各事業年度を合わせた期間 |
---|---|---|---|---|
2017年4月1日 | 2015年4月2日 | 2015年4月1日 | 2016年3月31日までの間 | 2015年4月1日から2015年9月30日までの事業年度と、2015年10月1日から2016年3月31日までの事業年度を合わせた期間 |
基準期間の課税売上高とは?
基準期間の課税売上高とは、2年前(2期前)の課税売上高(税抜)のことです。
また、課税売上高は、売上返品等の金額の合計額(税抜)を控除する必要があります。つまり、「売上から返品等を控除した純売上高」が課税売上高となるということです。法人に関して、基準期間が1年でない場合は課税売上高を年換算する必要がありますので、法人に関しては基準期間の判断同様に注意が必要です。
知っておきたい基礎知識|消費税|まとめINDEX
- ~はじめに~ 知っておきたい基礎知識:消費税
- 01.消費税の仕組み
- 02.消費税の課税対象となる取引・対象とならない取引
- 03.消費税の申告・納税が課される事業者と、免税される事業者とは?
- 04.消費税の納付額の計算方法と課税形式
- 05.消費税の納付額の計算方法 〜簡易課税の計算〜
- 06.消費税の対象となる取引と「非課税取引」「不課税取引」の違い
- 07.消費税の非課税取引の仕組み
- 08.消費税における輸出免税取引の仕組み
- 09.消費税における会計処理(税込経理方式、税抜経理方式)の違い
- 10.消費税における課税売上割合と課税売上割合に準ずる割合
- 11.消費税計算で仕入税額控除のできる取引・できない取引
- 12.消費税における仕入控除税額の計算方法の決め方
- 13.消費税における仕入控除税額の控除時期と計算方法
- 14.消費税計算での対価の返還と貸倒れの場合の処理
- 15.消費税における個別対応方式の計算方法
- 16.消費税における一括比例配分方式の計算方法
- 17.消費税の簡易課税の仕組みとみなし仕入率
- 18.消費税における各種届出書と提出期限
- 19.消費税の確定申告期間と納付の期限
- 20.消費税の軽減税率制度の仕組みと税額計算の特例
- 21.消費税におけるインボイス制度(適格請求書保存方式)の仕組みと必要な記載事項